12 / 13
12
しおりを挟む「それで、急にどうしたの?何かあった?」
誰もいない空教室へやってきた二人。
レオはいつもと様子が違うグーミリアに違和感を抱いていた。一方のグーミリアはただただ自分の思いのままレオに会いに来ただけだった。だからこうも心配そうな声色で尋ねられる意味が理解出来ていなかった。
その時、ふと思った。
ディウスと話をして、レオに無性に会いたいと思った。
以前のグーミリアであれば、何かしらの理由を導きだした末に行動を起こしていただろう。それが効率的で、一番最善の選択だと先の未来まで予想した上で。
「......わからない。けど、ディウスと話してて。それで」
ぐるぐると頭の中でたくさんの言葉と何かが溢れだし、混ざり合う。
ぐちゃぐちゃになった思考。こんな事は初めてで、どう言葉を表すべきか頭を悩ませるグーミリアにレオは優しく声掛ける。
「大丈夫。ゆっくりでいいから」
レオの優しさに甘えて、ゆっくり頭の中を整理していく。
これまでディウスはレオに関する話は一切してきたことは無かった。
今思えば、明らかにレオを意識してのことだったのだろう。
「......兄さんが俺のこと、何か言ってた?」
その言葉に正直に頷けば、レオは眉を下げ、困ったように笑った。
「やっぱり。んで、思いのまま言い返して俺の所に来たってところかな。兄さん、どうせ何で俺と関わっているのか、とか言われたんでしょ」
「いや。私がレオをたぶらかしてるんじゃないか、って疑ってきて。けど、いろいろな面で矛盾してて。とにかくモヤモヤした。そしてらレオに会いたくなって気づいたらレオのところまで来てた」
「......本当に、よく恥ずかしげもなく」
グーミリアの言葉にレオは頬を染めると同時に頭を抱える。
ディウスの理想の女の子を演じてきたと、グーミリアは言う。そして本当の自分が分からない、自分は空っぽなのだと言った。けれど、レオはそうは思わない。
なにせ昔からレオの中でグーミリアという存在は変わらないのだから。
「兄さん、そんな事言ってたんだ。まぁ、簡単に想像がつく。きっとグーミリア先輩が俺にとられるんじゃないかって不安なんだろうね」
「...絶対にあり得ない」
レオの言葉にグーミリアは首を横に振る。
一方的に婚約を解消してきたのディウスだ。しかも、彼の思い描く理想の女性に出会ったから、と。
もし真実ならばいくらなんでも自分勝手すぎる故に、到底信じられない話だ。
「だって絶対にグーミリア先輩に近づくなって牽制してきてたくらいだからね。自分から切り捨てたくせに、いざ俺がこうしてグーミリア先輩と仲良くしたら矛先を向けてくる。ずっと我慢してた俺の気も知らないで。いや、知ってたから牽制してたのかも。認めたくないけど、あの人は俺のこと何気に理解してるから」
先ほどかあらレオの言っている言葉の意味が分からず、グーミリアは置いてけぼり状態だった。
困惑するグーミリアにレオは優しく微笑んだのち、告げる。
それは甘くとけてしまいそうな程に優しい声色で。
「俺、実はグーミリア先輩のこと好きなんだよね。もうずっと昔から」
その言葉に時が止まったような。そんな気がした。
171
あなたにおすすめの小説
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
婚約破棄ですか? 無理ですよ?3
星宮歌
恋愛
「頼む、婚約破棄、させてくれぇっ!」
そんな情けない声が響いたのは、トトッコ王国の夜会の場。マーシャル公爵家においてのことだった。
「婚約破棄? 無理ですよ?」
シリーズ第3弾。
ひとまず、これで少し一段落?
色々種明かし編となるので、『婚約破棄ですか? 無理ですよ?』と続編の『婚約破棄ですか? 無理ですよ?2』を読んでからでも良いですし、先にこの作品を読んでから、過去の作品を見てみるのも面白いかと思います。
短編にするには文量が多くなりそうなので、長編ということで。
そして、タイミングが良いので、恋愛小説大賞に応募してみます!
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる