貴方の理想の女の子を演じるのは、もう疲れました

流雲青人

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「それで、急にどうしたの?何かあった?」

誰もいない空教室へやってきた二人。
レオはいつもと様子が違うグーミリアに違和感を抱いていた。一方のグーミリアはただただ自分の思いのままレオに会いに来ただけだった。だからこうも心配そうな声色で尋ねられる意味が理解出来ていなかった。

その時、ふと思った。
ディウスと話をして、レオに無性に会いたいと思った。
以前のグーミリアであれば、何かしらの理由を導きだした末に行動を起こしていただろう。それが効率的で、一番最善の選択だと先の未来まで予想した上で。

「......わからない。けど、ディウスと話してて。それで」

ぐるぐると頭の中でたくさんの言葉と何かが溢れだし、混ざり合う。
ぐちゃぐちゃになった思考。こんな事は初めてで、どう言葉を表すべきか頭を悩ませるグーミリアにレオは優しく声掛ける。

「大丈夫。ゆっくりでいいから」

レオの優しさに甘えて、ゆっくり頭の中を整理していく。

これまでディウスはレオに関する話は一切してきたことは無かった。
今思えば、明らかにレオを意識してのことだったのだろう。

「......兄さんが俺のこと、何か言ってた?」

その言葉に正直に頷けば、レオは眉を下げ、困ったように笑った。

「やっぱり。んで、思いのまま言い返して俺の所に来たってところかな。兄さん、どうせ何で俺と関わっているのか、とか言われたんでしょ」

「いや。私がレオをたぶらかしてるんじゃないか、って疑ってきて。けど、いろいろな面で矛盾してて。とにかくモヤモヤした。そしてらレオに会いたくなって気づいたらレオのところまで来てた」

「......本当に、よく恥ずかしげもなく」

グーミリアの言葉にレオは頬を染めると同時に頭を抱える。
ディウスの理想の女の子を演じてきたと、グーミリアは言う。そして本当の自分が分からない、自分は空っぽなのだと言った。けれど、レオはそうは思わない。
なにせ昔からレオの中でグーミリアという存在は変わらないのだから。

「兄さん、そんな事言ってたんだ。まぁ、簡単に想像がつく。きっとグーミリア先輩が俺にとられるんじゃないかって不安なんだろうね」

「...絶対にあり得ない」

レオの言葉にグーミリアは首を横に振る。
一方的に婚約を解消してきたのディウスだ。しかも、彼の思い描く理想の女性に出会ったから、と。
もし真実ならばいくらなんでも自分勝手すぎる故に、到底信じられない話だ。

「だって絶対にグーミリア先輩に近づくなって牽制してきてたくらいだからね。自分から切り捨てたくせに、いざ俺がこうしてグーミリア先輩と仲良くしたら矛先を向けてくる。ずっと我慢してた俺の気も知らないで。いや、知ってたから牽制してたのかも。認めたくないけど、あの人は俺のこと何気に理解してるから」

先ほどかあらレオの言っている言葉の意味が分からず、グーミリアは置いてけぼり状態だった。
困惑するグーミリアにレオは優しく微笑んだのち、告げる。
それは甘くとけてしまいそうな程に優しい声色で。


「俺、実はグーミリア先輩のこと好きなんだよね。もうずっと昔から」


その言葉に時が止まったような。そんな気がした。

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