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ディウスという男は、とにかく理想が高い男だった。
父親から寄せられる大きな期待、故のもの。それに応えるべく、努力を積み上げてきた。
その結果、自分自身への多大なる自信をみにつける事ができた。
そして時期当主となる己の妻となる人ならば、と築き上げたのが彼の【理想の女性像】だった。
そんな理想の女性としてグーミリアは大変当てはまる存在だったと言えるだろう。
しかし、そんなグーミリア以上に彼の思い描く理想の女性、リリと出会った。
だからディウスはグーミリアとの婚約を解消し、新たな婚約者としてリリを迎えようと思っていたのだが。
「おい、リリ。お前、正気なのか!?」
「い、今のはただの勘違いで。その...!」
リリは丸い瞳を潤ませながら必死に弁明する。
新たな婚約者として迎え入れた子爵令嬢のリリは、確かにディウスの理想の女性像に当てはまる存在だった。
だが、今の状況には頭を抱えるしかなかった。なにせリリはディウスが愛読する作家の本。他所の国から取り入れたもので、異国語で綴られた作品であるその物語を読みとく事ができなかったのだ。
「これぐらいの言語も把握していないとは、呆れた。グーミリアは読めていたぞ」
「......でた、またそれ」
リリは手にしていた本をディウスへと投げつける。表情、声色。どれにも怒りが浮かびあがっている。
「いつもいつもグーミリア、グーミリア!そんなにあの人がいいならもう一回婚約したらいいじゃない!」
「お、おい!リリ!」
吐き捨てる様に言葉を投げ、リリは部屋を飛び出して行ってしまった。
それ以降、リリた会うことなく、ただただ時間が過ぎていった。そしてディウスは未だになぜリリがあそこまで怒りをあらわにしたのか分からなかった。
__そもそも、あれくらい読めて当然だろう。俺の婚約者になる者とならば。
リリを選んだのは間違いだったのだろうか。
そんな考えが浮かび、ディウスは首を横に振る。
グーミリアと違いリリはディウス自身が見付け、選んだ婚約者だ。リリを否定するとなると、それはつまり自分自身の【見る目】が無かった、ということになる。
それはプライドの高いディウスにとって何よりもあってはいけない真実だった。
「今日は特に生徒会の仕事もない。リリの屋敷を尋ねてみるか」
そう言葉をこぼしながら階段を降りている時だった。
「グーミリア先輩、お疲れ様。今終わったの?」
「お疲れ様。うん、そう。レオも? にしても随分早いね。いつも私の方が早いのに」
「今日は担任の先生の話、珍しく短かったんだよね」
「そうなんだ。じゃあ一緒に行こうか」
聞こえてきた声にディウスは咄嗟に身を隠した。なにせその声は、グーミリアとレオの声だったからだ。
そして何よりディウスは驚いた。二人がとても仲睦まじい様子で会話していたからだ。
いつから二人はこんなに仲睦まじい関係だったのか。記憶を巡らすも、ディウスの中で二人が一緒にいた様な場面は全く覚えがない。それもそのはず、その様な事は一切ディウスが許さず、阻止してきたのだから。
だんだんと遠くなっていく二人の背中を見つめながら、ディウスは拳を握りしめ、唇を噛み締めた。
「レオ。やっぱり俺は、お前が気に入らない……」
突然現れた自分の義理の弟。
最初は兄として手本になろうと、レオの兄として相応しい立派な存在になろうと思っていた時もあった。
しかし、いつしか気づいてしまったのだ。
離れていく二人の背を見つめながら、ディウスは乾いた笑みを浮かべ、呟く。
「やはり、俺はお前には一生敵わないんだろうな
」
認めたくない事実。それを噛み締めながら、ディウスは二人の背中を見送った。
父親から寄せられる大きな期待、故のもの。それに応えるべく、努力を積み上げてきた。
その結果、自分自身への多大なる自信をみにつける事ができた。
そして時期当主となる己の妻となる人ならば、と築き上げたのが彼の【理想の女性像】だった。
そんな理想の女性としてグーミリアは大変当てはまる存在だったと言えるだろう。
しかし、そんなグーミリア以上に彼の思い描く理想の女性、リリと出会った。
だからディウスはグーミリアとの婚約を解消し、新たな婚約者としてリリを迎えようと思っていたのだが。
「おい、リリ。お前、正気なのか!?」
「い、今のはただの勘違いで。その...!」
リリは丸い瞳を潤ませながら必死に弁明する。
新たな婚約者として迎え入れた子爵令嬢のリリは、確かにディウスの理想の女性像に当てはまる存在だった。
だが、今の状況には頭を抱えるしかなかった。なにせリリはディウスが愛読する作家の本。他所の国から取り入れたもので、異国語で綴られた作品であるその物語を読みとく事ができなかったのだ。
「これぐらいの言語も把握していないとは、呆れた。グーミリアは読めていたぞ」
「......でた、またそれ」
リリは手にしていた本をディウスへと投げつける。表情、声色。どれにも怒りが浮かびあがっている。
「いつもいつもグーミリア、グーミリア!そんなにあの人がいいならもう一回婚約したらいいじゃない!」
「お、おい!リリ!」
吐き捨てる様に言葉を投げ、リリは部屋を飛び出して行ってしまった。
それ以降、リリた会うことなく、ただただ時間が過ぎていった。そしてディウスは未だになぜリリがあそこまで怒りをあらわにしたのか分からなかった。
__そもそも、あれくらい読めて当然だろう。俺の婚約者になる者とならば。
リリを選んだのは間違いだったのだろうか。
そんな考えが浮かび、ディウスは首を横に振る。
グーミリアと違いリリはディウス自身が見付け、選んだ婚約者だ。リリを否定するとなると、それはつまり自分自身の【見る目】が無かった、ということになる。
それはプライドの高いディウスにとって何よりもあってはいけない真実だった。
「今日は特に生徒会の仕事もない。リリの屋敷を尋ねてみるか」
そう言葉をこぼしながら階段を降りている時だった。
「グーミリア先輩、お疲れ様。今終わったの?」
「お疲れ様。うん、そう。レオも? にしても随分早いね。いつも私の方が早いのに」
「今日は担任の先生の話、珍しく短かったんだよね」
「そうなんだ。じゃあ一緒に行こうか」
聞こえてきた声にディウスは咄嗟に身を隠した。なにせその声は、グーミリアとレオの声だったからだ。
そして何よりディウスは驚いた。二人がとても仲睦まじい様子で会話していたからだ。
いつから二人はこんなに仲睦まじい関係だったのか。記憶を巡らすも、ディウスの中で二人が一緒にいた様な場面は全く覚えがない。それもそのはず、その様な事は一切ディウスが許さず、阻止してきたのだから。
だんだんと遠くなっていく二人の背中を見つめながら、ディウスは拳を握りしめ、唇を噛み締めた。
「レオ。やっぱり俺は、お前が気に入らない……」
突然現れた自分の義理の弟。
最初は兄として手本になろうと、レオの兄として相応しい立派な存在になろうと思っていた時もあった。
しかし、いつしか気づいてしまったのだ。
離れていく二人の背を見つめながら、ディウスは乾いた笑みを浮かべ、呟く。
「やはり、俺はお前には一生敵わないんだろうな
」
認めたくない事実。それを噛み締めながら、ディウスは二人の背中を見送った。
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