貴方の理想の女の子を演じるのは、もう疲れました

流雲青人

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 翌日。
 グーミリアはいつも通り学園へと向かった。
 いつもなら、ディウスと共に登校していたが、もうその必要もなくなった。

「おはようございます、グーミリア。って! その髪型どうしたんですかっ!?」

「おはよう、ルミ」

「えっと……グーミリア、なんですよね?」

「そうだけど」

 ディウスとの婚約解消により、いろいろな事からグーミリアは解放された。
 その結果だろうか。友人であるルミは、唖然としている。学園に入学してから仲良くなった彼女とは今ではもう五年程の付き合いとなる。
 しかし、今考えてみるとディウスとグーミリアの間にあった歪な関係性についてを詳しく話したことは無かった。

 ルミは青色の瞳を瞬かせた後、長い淡い金色の髪を翻しながら手招きをする。
 その後について行けば、そこはよく二人が利用する空き教室だった。
 ぽんぽんと隣に座るよう催促され、グーミリアは腰を下ろした。


「えっと……まずいろいろ聞きたいことがあるんですけど。グーミリア、で合ってますよね?」

「もちろん」

「確かに婚約者の理想の女性を演じてるとは聞いていましたが……もしかして噂って本当なんですか?」

「噂がどんなものか知らないけど、婚約解消された話だったら本当だよ」

 他人事のように話すグーミリアに、ルミは瞳を丸くする。そして、これまでの彼女とはまるで別人の様なグーミリアに驚きを隠せなかった。

 初めて出会った時から、グーミリアは笑顔の絶えない可愛らしい女の子だった。常に笑みを浮かべ、その声色は優しく柔らかで誰も包み込んでくれる様な包容力を感じさせられた。
 田舎町から出てきた地位の低い貴族であるルミにも、分け隔てなく接してくれた。
 そんな心優しいグーミリアだからこそ、ルミは心を開き、今では親友だと胸を張って言える関係性になったと言える。

 グーミリアが、婚約者のために自分を演じている……そう話してくれたことは確かにあった。
 しかし、あまりにも別人のような変貌っぷりに戸惑いと不安が過ぎる。


「ルミ」

「は、はい!!」

「リボン、ゆるんでる。直すから、後ろ向いて」

「あ、ありがとう…ございます」


 グーミリアに促され、ルミは後ろをむく。
 美しい長い金色の髪。特に髪型にこだわった事はなかったが、グーミリアの可愛らしい髪型に憧れて共にお揃いのリボンを買って容姿に気を遣い始めた。

 器用な手つきで髪を整え、リボンが結ばれていく。
 その様子は、以前のグーミリアと全く同じで更にルミの鼓動を速くする。


「……いろいろあって髪の毛切ったんだけど、もうお揃いのリボンを付けれないのは残念」



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