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恋のオワリ、とハジマリ?
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カランカラン……
とあるバーに一人の女性が入店してきてカウンター席に腰掛けた。
バーのマスターはその女性は独りだと言うのに何処か満足気な表情を浮かべていることに興味を持った。
「お客様、何にします?」
「適当な物を頂戴。あっやっぱり強いのを」
「畏まりました」
かなり強めのをマスターは出すと女性は一気に半分近くを飲みほした。
「お客様、何か嬉しいことでもあったんですか?」
マスターは興味本位から客に対して質問を投げ掛けた勿論、客が嫌がるようであればこれ以上は何も言うまいと決めた上でのことだった。
「親友の背中を押すことが出来たんですよ。前は気付いてすらやれなかったら今回は出来て私嬉しいんです」
「それは良かったね。で背中を押すとは恋に関することですね」
「よく分かりましたねぇマスター。あれで良かったんです」
嬉しそうに語っていたのに急に落ち込んでしまう彼女の姿を見て、マスターは確信した。
「何か溜め込んでいる気持ちがあるのならオジさんがその捌け口になってあげますから、話して下さい。気持ちが楽になるかも知れませんよ」
長年バーを経営したきた熟練のマスターは彼女の満足感に満ち溢れたようでいて何処か儚げな感情を醸し出すのを察していたのだ。
「私も彼に恋していたんです」
「彼にとは親友が愛した男性にですか?」
「ええ、私の親友は高校を卒業した後東京に上京してからというもの彼とは大学も一緒で今に至るまで仲良くさせてもらってたんだけどいつの間にか好きになってしまったのよね」
「お客様は彼に告白はなさらなかったのですか?」
客であるその女性は首を横に振る。
「いいえ、話していて分かったの彼は今でも私の親友を愛しているのだと。だから言わなかった……いや、言えなかったかしら」
「そうですか、それは私が想像する以上にお辛かったのでしょう」
「実は親友と再会したのは実に八年ぶりなんです」
「八年ぶりですかそれは長いですね」
「ええ親友は上京した後、東京で仕事に就きその仕事の忙しさのせいなのか疎遠になっていたんですが先日親友の方から飲みの誘いがあり、今日行ってきたんです」
そこで女性は一呼吸置き残っていたお酒をぐいっと飲みきる。
「その場で私、親友に彼の今を伝えようと思っていました。もしも親友が彼の事を何とも想っていないのなら私が彼に告白する覚悟でした」
「だがその親友は彼の事をまだ好いていたということだね」
「ええ、こりゃー完全に完敗です。お互い好き同士ならくっつけちゃうしかないじゃないですか…………」
バーを訪れたその女性はマスターにそこまで打ち明けると目から涙が溢れ出し始め止められない程だった。
安易な慰めの言葉などが無意味なのを知っているマスターはその様子を黙って見ているだけに留めた。
時刻は十時を回り、女性客がバーに入店してから一時間が経過していた。
「だからあの二人には幸せになって欲しいんです」
自然に流れ出た涙も止まり、女性は二人が自分が背中を押したことで付き合うことになるだろうと嬉しそうに語る。
「だけどお客様も幸せになれることを忘れてはなりませんよ。幸せは案外身近にあったりするんですから」
「そうですね。マスターありがとうございます」
女性は会計を済ませ店を後にして夜道を歩いているとケータイの連絡アプリに一通の用件が入っていることに気付いた。
何だろうかとアプリを開くと動画が一本女性の知り合いから送られてきていて通りには自分以外居なかったので再生した。
「凛ねぇ、誕生日おめでとう!!!」
近所に住む少年から送られたメッセージに喜びを感じ、自分が今日誕生日を迎えたことを思い出した。
「そっか私誕生日だったんだ。すっかり忘れてたわ」
ピロン!
通知がもう一本入った。
そのメッセージには親友からの感謝の言葉が綴られていると同時に自分の誕生日を祝う内容だった。
「おめでと、すみれ」
女性の親友である明石すみれが彼と付き合うことになったと書かれていて、ほくそ笑む。
「私も彼氏欲しいィィィィーーーー」
~fin?~
とあるバーに一人の女性が入店してきてカウンター席に腰掛けた。
バーのマスターはその女性は独りだと言うのに何処か満足気な表情を浮かべていることに興味を持った。
「お客様、何にします?」
「適当な物を頂戴。あっやっぱり強いのを」
「畏まりました」
かなり強めのをマスターは出すと女性は一気に半分近くを飲みほした。
「お客様、何か嬉しいことでもあったんですか?」
マスターは興味本位から客に対して質問を投げ掛けた勿論、客が嫌がるようであればこれ以上は何も言うまいと決めた上でのことだった。
「親友の背中を押すことが出来たんですよ。前は気付いてすらやれなかったら今回は出来て私嬉しいんです」
「それは良かったね。で背中を押すとは恋に関することですね」
「よく分かりましたねぇマスター。あれで良かったんです」
嬉しそうに語っていたのに急に落ち込んでしまう彼女の姿を見て、マスターは確信した。
「何か溜め込んでいる気持ちがあるのならオジさんがその捌け口になってあげますから、話して下さい。気持ちが楽になるかも知れませんよ」
長年バーを経営したきた熟練のマスターは彼女の満足感に満ち溢れたようでいて何処か儚げな感情を醸し出すのを察していたのだ。
「私も彼に恋していたんです」
「彼にとは親友が愛した男性にですか?」
「ええ、私の親友は高校を卒業した後東京に上京してからというもの彼とは大学も一緒で今に至るまで仲良くさせてもらってたんだけどいつの間にか好きになってしまったのよね」
「お客様は彼に告白はなさらなかったのですか?」
客であるその女性は首を横に振る。
「いいえ、話していて分かったの彼は今でも私の親友を愛しているのだと。だから言わなかった……いや、言えなかったかしら」
「そうですか、それは私が想像する以上にお辛かったのでしょう」
「実は親友と再会したのは実に八年ぶりなんです」
「八年ぶりですかそれは長いですね」
「ええ親友は上京した後、東京で仕事に就きその仕事の忙しさのせいなのか疎遠になっていたんですが先日親友の方から飲みの誘いがあり、今日行ってきたんです」
そこで女性は一呼吸置き残っていたお酒をぐいっと飲みきる。
「その場で私、親友に彼の今を伝えようと思っていました。もしも親友が彼の事を何とも想っていないのなら私が彼に告白する覚悟でした」
「だがその親友は彼の事をまだ好いていたということだね」
「ええ、こりゃー完全に完敗です。お互い好き同士ならくっつけちゃうしかないじゃないですか…………」
バーを訪れたその女性はマスターにそこまで打ち明けると目から涙が溢れ出し始め止められない程だった。
安易な慰めの言葉などが無意味なのを知っているマスターはその様子を黙って見ているだけに留めた。
時刻は十時を回り、女性客がバーに入店してから一時間が経過していた。
「だからあの二人には幸せになって欲しいんです」
自然に流れ出た涙も止まり、女性は二人が自分が背中を押したことで付き合うことになるだろうと嬉しそうに語る。
「だけどお客様も幸せになれることを忘れてはなりませんよ。幸せは案外身近にあったりするんですから」
「そうですね。マスターありがとうございます」
女性は会計を済ませ店を後にして夜道を歩いているとケータイの連絡アプリに一通の用件が入っていることに気付いた。
何だろうかとアプリを開くと動画が一本女性の知り合いから送られてきていて通りには自分以外居なかったので再生した。
「凛ねぇ、誕生日おめでとう!!!」
近所に住む少年から送られたメッセージに喜びを感じ、自分が今日誕生日を迎えたことを思い出した。
「そっか私誕生日だったんだ。すっかり忘れてたわ」
ピロン!
通知がもう一本入った。
そのメッセージには親友からの感謝の言葉が綴られていると同時に自分の誕生日を祝う内容だった。
「おめでと、すみれ」
女性の親友である明石すみれが彼と付き合うことになったと書かれていて、ほくそ笑む。
「私も彼氏欲しいィィィィーーーー」
~fin?~
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