白い猫と白い騎士

せんりお

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5 この世界を教えて

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振動が止まり、複数の人の声が聞こえてきて目が覚める。目を開けるともう森から抜けていて大きな建物の前だった。ずいぶん堅牢な作りの建物だ。回りを見回してみると結構多くの人がいる。

「あ、シグ!猫ちゃん起きたみたいだよ」

「あ?あぁ。お前こんだけ目を覚まさないってそれでも猫か?」

と言われ少しムッとする。でもそれは自分でも不思議だ。しばらくこんなに眠れた記憶がない。おかげで体がすっきりしている。それがこの男のおかげだと思うとなんか腹立つけど。

「隊長!討伐お疲れ様です!」

回りにいた人の中から一人、声をかけてくる男性がいた。男性、と言ってもまだ青年の域だろう。
隊長ってどういうことなんだろうかと疑問を抱きながらその青年を観察する。青年もなにか軍服のようなものを着ている。シグさんの着ているものと彼のものも同色で白色だった。彼の視線が私に向いて、怪訝そうな表情になった。

「あれ、その猫どうしたんですか?」

シグさんがたった一言だけで返す。

「拾った」

「ちょ、シグ。それじゃ簡潔すぎでしょ。カムリが困ってるじゃん!」

どうやら青年はカムリというらしい。

「…森で魔獣に追っかけられてた」

「あぁ、なるほど。そうだったんですね。隊長が小動物触ってるの意外すぎてびっくりしました」

なんか隊長とか上司っぽい人に、結構率直に言うんだね⁉カムリ君!

「ねー!そう思うよね!でもね、シグは意外と動物全般好きなんだよー!」

「え、そうなんですか⁉」

レオンさん、ちょっとそこらで止めといたほうがいいと思うなー冷気がくるなー頭上から…

「そうそう。こないだも「レオン、お前が報告書、書いとけよ」

案の定そう冷たい声で言い放ってシグさんは私を抱えたまますたすたと建物に向かって歩き始めた。「職権乱用だー!」とレオンさんの声が追いかけてくるが完全に無視している。
そっとシグさんの顔を見上げてみると今までと表情は変わっていないように思う。この人は無表情がデフォルトのようだ。
私の視線を感じたのかシグさんが見下ろしてきた。

「…今から俺の部屋に行く」

その声色も今までと何変わらなくて、この人は表情までか声色まで無色かと戦慄した。







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