白い猫と白い騎士

せんりお

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長い廊下をシグさんに抱っこされたまま進む。
途中たくさんの人とすれ違った。みんな黒い軍服か白い軍服かのどちらかを着ている。白い軍服の人のほうが多いようだ。白い軍服の人たちはみなシグさんに会釈して通っていった。
なるほど、服の色で立場の違いがわかるようだ。
すれ違う人はみんな帯剣していたりなにかしらの武器を持っているようで、そのことと軍服とからここは軍隊かなにかなのだろうかと推測する。

建物は横に広く、上は三階までのよう。中はまるで迷路のようだ。完全に歩いてきた道が分からなくなったときシグさんが1つのドアを開けた。
ここがシグさんの部屋なのかな?

部屋の中はとても広かった。柔らかそうなソファーと高級そうな机。机の上には書類が整然と積み上がっている。軽く間仕切られたようになっている部屋の奥には大人の男性二人でも余裕そうな大きなベッドが見える。

シグさんは私を抱いたまま部屋の中に1つあったドアに向かって歩き出した。
そこはお風呂場になっているようで、これもまた広い。

「お前汚いからな。まずきれいにならないとこの部屋を歩くことは許さん」

なるほど。お顔と態度そのままのたいそうなきれい好きなんですね!そういや部屋もきっちり整頓してあったわ!
とりあえず「にゃー」と返事をしておく。

風呂場の床に私を下ろすと、シグさんは上着を脱いでシャツの袖を捲った。

っていうかこの世界って水道とか湯沸かしとかあるのかな、と疑問に思う。
蛇口っぽいものはあるけど壁にパイプとかないんだけどなー。

シグさんの行動をじっと観察しているとシグさんは手のひらを蛇口の上にかざした。すると水がいきなり出てくる。

「にゃっ⁉(なんで⁉)」

「すまん、猫って水が嫌いなんだったか。そっとやればよかったな」

おぉ、突然優しいですね。でもなんで今、水出たの…?まさかっていうか薄々わかってきてたけど、ここは剣と魔法の世界ですかね⁉





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