10 / 41
10 隊員たちとシグさん
しおりを挟む
翌日、朝食を食べ終わってからシグさんは仕事に行くと言って軍服を着こんだ。その間にシグさんの職業について聞いてみる。
「俺の仕事?あぁ、軍人だ。まあ警護とか魔獣狩りとかな。おれは主に対魔獣の任務だが」
昨日立てた私の推測は間違っていなかったことがわかった。
やっぱりここは軍隊だったのか。対魔獣ということはシグさんは強いのかな…
じゃあ、と部屋を出ていこうとしたシグさんに、置いていかれてもどうしようもないし、いろんなことを見てみたくて私は慌てて大きな声で何度も鳴く。シグさんはそんな私を振り返ってくれた。
「なんだ?」
私は表でシグさんに連れていって欲しいことを伝えてみた。
「あー、まあそれもそうだな。一緒に来てもいいが俺がいいって言うとき以外は側を絶対離れるなよ。後、言葉わかってるくらいなら多少はいいが、文字は読めないふりしとけ」
「にゃー」
いい子の返事をしてしっぽも一度振っておく。
するとシグさんは私をひょいと拾い上げて自分の肩に乗せた。危ういバランスににゃあにゃあ抗議をする。
「うるせぇ。お前と俺じゃ歩幅が違いすぎるんだよ。猫ならバランスくらいとって掴まってろ」
と、理不尽に言われる。
そんなこというなら軍服に爪立てるからね‼
シグさんはうるさい私を完全に無視して部屋を出て、相変わらず私にとっては迷路のような廊下をずんずん歩いていく。
しばらく歩くと大きな扉の前についた。シグさんがドアを開けると、中にはたくさんの白い軍服をきた人がいた。
「あ、隊長。おはようございます」
「あれ、その猫どうしたんですか?」
「かっわいー!真っ白だ!」
何人もの人がシグさんに声をかける。私を見てみんな目を丸くしている。
「おはよう」
「昨日拾った」
など、シグさんも一言ずつ返している。そんなやり取りをしつつ部屋の一番奥までたどり着いたシグさんはパン!と1度手を打った。
「朝議を始める」
その言葉に中にいた人たちはみな静かになってシグさんの回りに集まった。
「報告とか連絡、何かあるやつ?」
「はい。昨日の魔獣討伐依頼の件ですが、昨夜は魔獣が出ることもなく、討伐は終了してよさそうです。」
「了解。次は?」
「はい。こちらは新たな案件です。王都の近くの村から討伐の依頼です。ここから帰る際にその依頼を片付けてこいとカーター様からのお達しです」
「またか。人使いの荒い人だな。わかった。次!」
「はい。昨日の討伐の件について詳しく報告に来るようにと。黒団の基地長からです」
「ちっ、めんどくせぇ。誰か行ってくれ」
「隊長をご指名です」
「…了解。他は?」
「あ、今日こちらの基地長がお帰りになられる予定です」
「予定より速いな、了解。他はないか?…よし、なさそうだな。じゃあ解散」
てきぱきと報告されることを片付けて、シグさんは解散を宣言した。飛び交う発言や部屋の中が物珍しく、私はじっと肩の上で大人しくしていた。
「ねこちゃーん!元気?」
昨日のレオンさんが近づいてきて声をかけてきた。レオンさんの耳にピアスがそれぞれ3つずつついているのに気がついた。どれもキラキラしていてレオンさんにぴったりだ。
「にゃーん」
と返事をしておく。いい子ー、と頭を撫でられて私は目を細めた。
「それにしてもこの子、こんなに真っ白だったんだねー。すっごくきれいじゃん!」
「あぁ。俺も驚いた」
シグさんもレオンさんに応じている。
「この子、シグが飼うの?」
「あぁ。そのつもりだ」
シグさんがはっきり言ってくれて、嬉しくて頭をシグさんにすりすりする。
「かっわいいねー」
それを見てレオンさんがそう言ってくれて、それも嬉しくて、レオンさんが撫でてくれる手にもすりすりしておく。
「シグ、この子の名前は?決めたの?」
「リツカだ」
「リツカ?変わった名前だね。なんでまた?」
「なんとなくだ」
シグさんと目が合って、シグさんはにやっと口角をあげた。二人しか知らない秘密の共有感がなんだか楽しくて嬉しかった。
「さあ、俺は報告に行ってくる。ちょっとこいつを頼む」
シグさんはそう言って私の首根っこを掴んで持ち上げた。
ちょ、その持ち方止めてよ!猫みたいじゃん!猫だけどさ!
そうしてレオンさんに渡す。
「いってらっしゃーい」
レオンさんが言うのに合わせて、私もその腕の中からにゃーんと鳴いて挨拶の代わりにした。
「俺の仕事?あぁ、軍人だ。まあ警護とか魔獣狩りとかな。おれは主に対魔獣の任務だが」
昨日立てた私の推測は間違っていなかったことがわかった。
やっぱりここは軍隊だったのか。対魔獣ということはシグさんは強いのかな…
じゃあ、と部屋を出ていこうとしたシグさんに、置いていかれてもどうしようもないし、いろんなことを見てみたくて私は慌てて大きな声で何度も鳴く。シグさんはそんな私を振り返ってくれた。
「なんだ?」
私は表でシグさんに連れていって欲しいことを伝えてみた。
「あー、まあそれもそうだな。一緒に来てもいいが俺がいいって言うとき以外は側を絶対離れるなよ。後、言葉わかってるくらいなら多少はいいが、文字は読めないふりしとけ」
「にゃー」
いい子の返事をしてしっぽも一度振っておく。
するとシグさんは私をひょいと拾い上げて自分の肩に乗せた。危ういバランスににゃあにゃあ抗議をする。
「うるせぇ。お前と俺じゃ歩幅が違いすぎるんだよ。猫ならバランスくらいとって掴まってろ」
と、理不尽に言われる。
そんなこというなら軍服に爪立てるからね‼
シグさんはうるさい私を完全に無視して部屋を出て、相変わらず私にとっては迷路のような廊下をずんずん歩いていく。
しばらく歩くと大きな扉の前についた。シグさんがドアを開けると、中にはたくさんの白い軍服をきた人がいた。
「あ、隊長。おはようございます」
「あれ、その猫どうしたんですか?」
「かっわいー!真っ白だ!」
何人もの人がシグさんに声をかける。私を見てみんな目を丸くしている。
「おはよう」
「昨日拾った」
など、シグさんも一言ずつ返している。そんなやり取りをしつつ部屋の一番奥までたどり着いたシグさんはパン!と1度手を打った。
「朝議を始める」
その言葉に中にいた人たちはみな静かになってシグさんの回りに集まった。
「報告とか連絡、何かあるやつ?」
「はい。昨日の魔獣討伐依頼の件ですが、昨夜は魔獣が出ることもなく、討伐は終了してよさそうです。」
「了解。次は?」
「はい。こちらは新たな案件です。王都の近くの村から討伐の依頼です。ここから帰る際にその依頼を片付けてこいとカーター様からのお達しです」
「またか。人使いの荒い人だな。わかった。次!」
「はい。昨日の討伐の件について詳しく報告に来るようにと。黒団の基地長からです」
「ちっ、めんどくせぇ。誰か行ってくれ」
「隊長をご指名です」
「…了解。他は?」
「あ、今日こちらの基地長がお帰りになられる予定です」
「予定より速いな、了解。他はないか?…よし、なさそうだな。じゃあ解散」
てきぱきと報告されることを片付けて、シグさんは解散を宣言した。飛び交う発言や部屋の中が物珍しく、私はじっと肩の上で大人しくしていた。
「ねこちゃーん!元気?」
昨日のレオンさんが近づいてきて声をかけてきた。レオンさんの耳にピアスがそれぞれ3つずつついているのに気がついた。どれもキラキラしていてレオンさんにぴったりだ。
「にゃーん」
と返事をしておく。いい子ー、と頭を撫でられて私は目を細めた。
「それにしてもこの子、こんなに真っ白だったんだねー。すっごくきれいじゃん!」
「あぁ。俺も驚いた」
シグさんもレオンさんに応じている。
「この子、シグが飼うの?」
「あぁ。そのつもりだ」
シグさんがはっきり言ってくれて、嬉しくて頭をシグさんにすりすりする。
「かっわいいねー」
それを見てレオンさんがそう言ってくれて、それも嬉しくて、レオンさんが撫でてくれる手にもすりすりしておく。
「シグ、この子の名前は?決めたの?」
「リツカだ」
「リツカ?変わった名前だね。なんでまた?」
「なんとなくだ」
シグさんと目が合って、シグさんはにやっと口角をあげた。二人しか知らない秘密の共有感がなんだか楽しくて嬉しかった。
「さあ、俺は報告に行ってくる。ちょっとこいつを頼む」
シグさんはそう言って私の首根っこを掴んで持ち上げた。
ちょ、その持ち方止めてよ!猫みたいじゃん!猫だけどさ!
そうしてレオンさんに渡す。
「いってらっしゃーい」
レオンさんが言うのに合わせて、私もその腕の中からにゃーんと鳴いて挨拶の代わりにした。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
侯爵令嬢ソフィアの結婚
今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない
そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる
美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ
その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた
結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて…
表紙はかなさんです✨
ありがとうございます😊
2024.07.05
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる