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19 入り江の町ニルガ
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門をくぐるとそこは活気に溢れていた。
ニルガはそこそこ大きな町のようだ。
大きな入り江がありそこは港として発展している。シグさんはパトロールも兼ねて広場辺りをぐるっと一周してくれた。この前の場所とは違い、商人が多いようだ。あちこちで交渉しているのを見かける。
そう言えば魔獣の討伐でこの町に寄ったと言っていたけれど、なにも問題ないように見える。
『シグさん、この町に魔獣がいるの?』
『いや、この町は魔の森とは少し距離がある。要請があったのは郊外からだ。ここにはとりあえず報告を受けに来たんだ』
そう言ってシグさんは馬をニルガ基地に向けた。
私はその間町を歩いて見回ることにした。
もちろんシグさんからはしっかりと注意をいただいた。
『お前は迷子になった実績があるからな。信用はそこまでしないが、ちゃんと帰ってこいよ。いいな。一時間だぞ』
そこまで言わなくったってさ、と内心むくれながら町を歩く。道沿いにはたくさんの露店が並んでいる。店も多くありショーウィンドーから中を見るのも楽しく気分は上昇していった。猫が歩いていると多くの人が声をかけてくる。
「猫ちゃーんどこ行くのぉー?」
「お、ちび!お前見ない顔だなー」
大人も子供も声をかけてきて、楽しそうに笑っている。いい町だなと思った。
と、また声がかかった。
「きれいな白猫だね」
散々声をかけられたのでにゃーんと返事だけして通りすぎようと思った。
だが次に続く言葉にギクリとして足を止めた。
「いい魔力だ。幻獣かな?」
その声の主を振り返る。それは長身で金色の髪の男。その人は黒い軍服を着ていた。黒ってことは黒団だ。シグさんとは所属が違う。
「振り向いたってことは言葉もわかってるね?やっぱり幻獣か」
しまった!迂闊だった。シグさんにバレないようにって言われたのに馬鹿か私は。ここはどうするべきかと悩んでいる私にその人は音も立てずに距離をつめた。
「っ!」
そして首をつまんで持ち上げられる。
っどいつもこいつも猫はここを持てばいいと思って!あんまりいいもんじゃないんだよ!少しもがいてみるが自分が苦しくなって止めた。
「珍しいね。幻獣は存在すら伝説的なもの。こんなところにいていいものじゃない。君は何でここにいる?」
口調は柔らかいが目は全く笑っていない、冷たい色だった。何故か知らないけど私がここにいることを歓迎していないようだ。
「幻獣なら念話を使えるだろう?使って話してみなよ」
絶対嫌だ。この人と話したらヤバい気がする。
「話せない?それともご主人の命令?まあ誰かはある程度は予想がつくけど」
っなんでこの人こんなに!?ものすごい悪意を感じて身がすくむ。ちょ、ヤバい、シグさん…!
「これはこれは黒団第一部隊副隊長様がなんの御用でこんな町に?」
その言葉とともに姿を表したのは…シグさんだった。ヒーローのようなタイミングに内心で歓喜の声をあげる。
「その猫は私のものなのですが」
私をつかんでいた男はゆっくりとシグさんの方を向く。特に驚きを見せなかったことからシグさんの登場を予想していたことがわかる。シグさんを見るその目には激しい悪意がはっきりとある。この人はシグさんを嫌っているようだ。それも激しく。
「この猫が君の?これは幻獣でしょう。なぜ君が幻獣と共にいる?」
ひやひやしている私とは対照的にシグさんは平然と返す。
「幻獣?その猫が?ご冗談を。それより返していただけますか?もうここを出なければならないので」
その返答に金髪の男は鼻で笑った。
「ふっ、まあいいか。今日は私も用があるからね」
そして私をシグさんの胸にどんと押し付ける。
「また会おう。幻獣の猫ちゃん」
シグさんは私を受け止めて、悪意を全面に押し出す男を強い視線で見た。その男は去り際、すれ違いにシグさんに囁いた。
「化け物は化け物とってことか?お似合いだね」
その言葉は不穏なもので私は思わず顔を上げてその男が去っていく背中を見つめた。
ニルガはそこそこ大きな町のようだ。
大きな入り江がありそこは港として発展している。シグさんはパトロールも兼ねて広場辺りをぐるっと一周してくれた。この前の場所とは違い、商人が多いようだ。あちこちで交渉しているのを見かける。
そう言えば魔獣の討伐でこの町に寄ったと言っていたけれど、なにも問題ないように見える。
『シグさん、この町に魔獣がいるの?』
『いや、この町は魔の森とは少し距離がある。要請があったのは郊外からだ。ここにはとりあえず報告を受けに来たんだ』
そう言ってシグさんは馬をニルガ基地に向けた。
私はその間町を歩いて見回ることにした。
もちろんシグさんからはしっかりと注意をいただいた。
『お前は迷子になった実績があるからな。信用はそこまでしないが、ちゃんと帰ってこいよ。いいな。一時間だぞ』
そこまで言わなくったってさ、と内心むくれながら町を歩く。道沿いにはたくさんの露店が並んでいる。店も多くありショーウィンドーから中を見るのも楽しく気分は上昇していった。猫が歩いていると多くの人が声をかけてくる。
「猫ちゃーんどこ行くのぉー?」
「お、ちび!お前見ない顔だなー」
大人も子供も声をかけてきて、楽しそうに笑っている。いい町だなと思った。
と、また声がかかった。
「きれいな白猫だね」
散々声をかけられたのでにゃーんと返事だけして通りすぎようと思った。
だが次に続く言葉にギクリとして足を止めた。
「いい魔力だ。幻獣かな?」
その声の主を振り返る。それは長身で金色の髪の男。その人は黒い軍服を着ていた。黒ってことは黒団だ。シグさんとは所属が違う。
「振り向いたってことは言葉もわかってるね?やっぱり幻獣か」
しまった!迂闊だった。シグさんにバレないようにって言われたのに馬鹿か私は。ここはどうするべきかと悩んでいる私にその人は音も立てずに距離をつめた。
「っ!」
そして首をつまんで持ち上げられる。
っどいつもこいつも猫はここを持てばいいと思って!あんまりいいもんじゃないんだよ!少しもがいてみるが自分が苦しくなって止めた。
「珍しいね。幻獣は存在すら伝説的なもの。こんなところにいていいものじゃない。君は何でここにいる?」
口調は柔らかいが目は全く笑っていない、冷たい色だった。何故か知らないけど私がここにいることを歓迎していないようだ。
「幻獣なら念話を使えるだろう?使って話してみなよ」
絶対嫌だ。この人と話したらヤバい気がする。
「話せない?それともご主人の命令?まあ誰かはある程度は予想がつくけど」
っなんでこの人こんなに!?ものすごい悪意を感じて身がすくむ。ちょ、ヤバい、シグさん…!
「これはこれは黒団第一部隊副隊長様がなんの御用でこんな町に?」
その言葉とともに姿を表したのは…シグさんだった。ヒーローのようなタイミングに内心で歓喜の声をあげる。
「その猫は私のものなのですが」
私をつかんでいた男はゆっくりとシグさんの方を向く。特に驚きを見せなかったことからシグさんの登場を予想していたことがわかる。シグさんを見るその目には激しい悪意がはっきりとある。この人はシグさんを嫌っているようだ。それも激しく。
「この猫が君の?これは幻獣でしょう。なぜ君が幻獣と共にいる?」
ひやひやしている私とは対照的にシグさんは平然と返す。
「幻獣?その猫が?ご冗談を。それより返していただけますか?もうここを出なければならないので」
その返答に金髪の男は鼻で笑った。
「ふっ、まあいいか。今日は私も用があるからね」
そして私をシグさんの胸にどんと押し付ける。
「また会おう。幻獣の猫ちゃん」
シグさんは私を受け止めて、悪意を全面に押し出す男を強い視線で見た。その男は去り際、すれ違いにシグさんに囁いた。
「化け物は化け物とってことか?お似合いだね」
その言葉は不穏なもので私は思わず顔を上げてその男が去っていく背中を見つめた。
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