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26 聖域
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前をふわふわと飛ぶルルについていくと、大きな木が見えてきた。青々とした葉をつけた枝を広げたその木は、大人が5人で手を繋いでやっと一回り程の幹の太さだ。見上げるとまるで天まで届きそうにそびえ立つそれに私は圧倒された。
見上げすぎてふらふら歩いている私をルルが楽しそうに笑った。
「リツカ、危ないよ」
「うん」
上の空で返事を返す。
「大きいね、この木」
呟いた私にまたルルが笑う。
「当たり前じゃん!核の木なんだから!」
「核、の木?」
核ってどういうことだろう。またわからないことができた。ルルに問い返す。と、
「核の木とは幻獣を、この世界を守るものだ」
どこからか声が聞こえてきた。はっと視線を前に戻すと、そこには真っ白な
「キツネ!?」
思わず叫んだ私にそのキツネは目を細めた。っていうかもともと細いからほとんどわからないんだけど。気がする、程度だ。
「いかにも。わしはキツネだ。して、お前は何者だ?」
「私は…」
自分は何者か。その問いに答えが詰まった。なんと答えていいのかわからない。答えかけてぐっと止まった私にキツネは尻尾をゆるりと振った。
「リツカ!この人がユーリム様だよ!ユーリム様、これはリツカ!」
ルルに突然紹介されて慌てて頭を下げる。
ユーリム様と呼ばれたそのキツネは私を一瞥して
「…まあいい。ルル、案内ご苦労」
「うん!リツカ、またね!」
ルルは、ばいばーいと元気に去っていった。残されたのは私とユーリム様。
「リツカ、ついてこい」
そう言ってユーリム様は核の木と呼ばれた大きな木に向かって歩きだした。前を歩くユーリム様をじっと観察する。私と同じ白色の毛並みは、色こそ白と言えるが、私よりもふわふわと毛足が長く、光を反射して銀色にも見えた。
木の根元に辿り着くと、そこの空気が他よりも澄んでいると感じた。…なんだろう、すごく落ち着く。ここは安心する場所だ。
「…核の木は文字通り、聖域の核だ。この木が清浄な魔力を放つ。それによって聖域は守られている」
「核の木が、守る…」
おもむろに口を開いたユーリム様が説明してくれた。
「わしは核の木の守り人だ。それぞれの聖域1人いる」
木を見上げていたユーリム様が、つと視線を私に向けた。
「と、これくらいは幻獣にとって常識だ。それを知らないお前はいったいどこから来た?」
「私は…」
私はこれまでのことを全てユーリム様に話すことにした。違う世界で生きていたこと、死んだと思ったらこの世界にいて、この姿になっていたこと。私がわかることはとても少ない。でもそれを全て話した。少しでも何かわかればいい。私がこの姿になった理由が。ユーリム様は黙って私の話を聞いてくれている。
木漏れ日がユーリム様の白い毛を照らしてキラキラと光っていた。それがとても幻想的で、この綺麗な場所にぴったりだと思った。
見上げすぎてふらふら歩いている私をルルが楽しそうに笑った。
「リツカ、危ないよ」
「うん」
上の空で返事を返す。
「大きいね、この木」
呟いた私にまたルルが笑う。
「当たり前じゃん!核の木なんだから!」
「核、の木?」
核ってどういうことだろう。またわからないことができた。ルルに問い返す。と、
「核の木とは幻獣を、この世界を守るものだ」
どこからか声が聞こえてきた。はっと視線を前に戻すと、そこには真っ白な
「キツネ!?」
思わず叫んだ私にそのキツネは目を細めた。っていうかもともと細いからほとんどわからないんだけど。気がする、程度だ。
「いかにも。わしはキツネだ。して、お前は何者だ?」
「私は…」
自分は何者か。その問いに答えが詰まった。なんと答えていいのかわからない。答えかけてぐっと止まった私にキツネは尻尾をゆるりと振った。
「リツカ!この人がユーリム様だよ!ユーリム様、これはリツカ!」
ルルに突然紹介されて慌てて頭を下げる。
ユーリム様と呼ばれたそのキツネは私を一瞥して
「…まあいい。ルル、案内ご苦労」
「うん!リツカ、またね!」
ルルは、ばいばーいと元気に去っていった。残されたのは私とユーリム様。
「リツカ、ついてこい」
そう言ってユーリム様は核の木と呼ばれた大きな木に向かって歩きだした。前を歩くユーリム様をじっと観察する。私と同じ白色の毛並みは、色こそ白と言えるが、私よりもふわふわと毛足が長く、光を反射して銀色にも見えた。
木の根元に辿り着くと、そこの空気が他よりも澄んでいると感じた。…なんだろう、すごく落ち着く。ここは安心する場所だ。
「…核の木は文字通り、聖域の核だ。この木が清浄な魔力を放つ。それによって聖域は守られている」
「核の木が、守る…」
おもむろに口を開いたユーリム様が説明してくれた。
「わしは核の木の守り人だ。それぞれの聖域1人いる」
木を見上げていたユーリム様が、つと視線を私に向けた。
「と、これくらいは幻獣にとって常識だ。それを知らないお前はいったいどこから来た?」
「私は…」
私はこれまでのことを全てユーリム様に話すことにした。違う世界で生きていたこと、死んだと思ったらこの世界にいて、この姿になっていたこと。私がわかることはとても少ない。でもそれを全て話した。少しでも何かわかればいい。私がこの姿になった理由が。ユーリム様は黙って私の話を聞いてくれている。
木漏れ日がユーリム様の白い毛を照らしてキラキラと光っていた。それがとても幻想的で、この綺麗な場所にぴったりだと思った。
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