紫音の少女

柊 潤一

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ゼルダ、空を飛ぶ

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    次の日の朝、紫音とシュリ婆は朝食を食べたあと紫音の部屋でゼルダ王子が来るのを待っていた。

「おはようございます。ご用意は出来ていますでしょうか?」

「はい、大丈夫です。ところでゼルダ様、地図はお持ちじゃないでしょうね?」

「えぇ、持ってませんが・・・取りに行きましょうか?」

「いえ、それには及びません。ゼルダ様は当然この辺りの地理にはお詳しいですよね?」

「ええ、まあ・・・」

「じゃあ、ちょっとそこに座っていただけますか」

ゼルダが座った横に紫音も並んで座った。

「お婆さん、ちょっと待っていてくださいね」

紫音はそう言ったあと、ゼルダの手をそっと握った。

ゼルダは驚いて紫音を見た。

「目を閉じて何も考えずに心を落ち着かせていただけますか」

ゼルダは紫音の言う通りにした。

突然、頭の中に紫音の姿が飛び込んできた。

(し、紫音殿・・・)

(怖がらないで。そのままで心を落ち着かせていて下さいね)

(分かりました)

ゼルダは紫音に心を預けた。

(じゃいきますね)

紫音は上へ上へと昇っていき、と同時にゼルダの意識も一緒に、空に向かって昇って行った。

そして城が一握り程の大きさになった時、二人の動きはぴたりと止まった。

(おお、これは凄い・・・)

ゼルダは眼下に広がる光景に見入った。

(ゼルダ様、ゴダールへ案内して下さいますか?)

(どうやってですか?)

(ただ行きたい方へ行こうと思えばいいのです)

ゼルダはゴダールを探し、見つけるとその方向へ行こうと思った。

とたんに二人は、ゴダール目指して飛んでいた。

(これは、面白い)

ゼルダはぐんぐんスピードを上げていき、すぐにゴダールの首都タウロに着いた。

紫音は、町の場所と様子を頭に入れた。

(じゃ次は、ファルアークに行ってもらえますか)

(了解、紫音殿!では、しゅっぱぁーつ!)

ゼルダはおどけていた。

(ゼルダ様ったら・・・)

ゼルダは空を自由自在に飛べる事に浮かれ、空を目指してどんどん昇って行った。

(ちょっと・・・ゼルダ様、どこへ行くのです?)

(いえ・・・ハハ・・・空の上には何があるのかなと)

(駄目です。ファルアークへ行きましょう)

(でも、まだ時間はありますよ。少し位いいじゃないですか。前から行ってみたかったんです)

(もう・・・ゼルダ様、駄々をこねるんじゃありません。今度連れてきてあげますから、ファルアークに行って下さい)

(ほんとですか?じゃあ、向かいましょう)

ゼルダは、地上に降りて行きながら、ファルアーク国を目指した。

(ゼルダ様ったら、子供みたいですわ)

(ははは・・・たまに妹に言われますね。さぁ、ここがファルアーク国の首都カインですよ) 

紫音は、ファルアーク国の首都カインの位置と町の様子を頭に入れた。

(さぁ、帰りましょうか)

(もう帰るのですか?)

(だから、今度ゆっくり連れて来てあげますから)

(あ、そうでしたね。じゃあ、帰りましょう)

(もぅ・・・ほんとに)

(いや・・・ハハ・・・つい興奮してしまいました。後は貴女に任せます)

(じゃ帰りましょうね)

紫音とゼルダは同時に目を開けた。

「もぅゼルダ様ったら!」

紫音は笑いながら横にいるゼルダの腕を叩いた。

「いや、つい夢中になってしまいました」

ゼルダはそう言って頭をかいた。

「なにか二人で楽しそうじゃの。そんなに楽しいものならわしも連れていってくれんかえ」

「お婆さんも連れていってもらうと良いですよ。空を飛ぶのがあんなに楽しいとは思わなかった」

「ほお、それは面白そうじゃの」

「また今度行きましょうね」

紫音は言いながら、ゴダールの首都タウロの近くと部屋とをつなぐ通路を作った。

部屋の中にドア一枚分の空間が現れ、その向こうにタウロの町が見えていた。

「おお、これは・・・幻ではないでしょうね」

「入れば向こうにちゃんと着きますよ。さぁ入りましょう」

紫音が中に入り、シュリ婆とゼルダも続いて入っていった。
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