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タノールとの戦い2
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兵士たちは、おおー、と応えて剣を振りかざした。
紫音達が先頭に立ち、ゲートをくぐると、兵達も後に続いた。
目の前にタノールの城が見え、その前に敵の兵が待ち受けていた。
そしてその中から、馬に乗った男が、兵隊をかき分けて先頭に現れた。
ハシバ国王はその男に声高に呼びかけた。
「わしはイシュタル国のハシバ国王である。そなた達のメイチ国王は捕虜として預かっている。今すぐ国を明け渡すがよい」
「何を言うか。メイチなどもう国王ではない。たった今からこのデオポルトがゴダード国の国王となった」
先頭の男が答えた。
「ならば力ずくで奪うまでのこと」
ハシバ国王が言った。
「何を言うか」
デオポルトはせせら笑った。
「それしきに人数で何が出来る。奪えるものなら奪ってみせい!」
そう言うと、デオポルトは兵隊の中へ紛れ込んだ。
それを待っていたかのように、敵の兵たちは弓を引き絞り、一斉に紫音たちに矢を放った。
空から孤を描いて、何百本という矢が唸りを上げ、雨のごとく紫音達に襲い掛かった。
兵達は、向かってくる矢の数の多さに皆すくみあがった。
そして射抜かれると思った瞬間、矢は空中にぴたりと止まり、静止したあとバラバラと落ちていった。
敵の兵達の奥から、矢を撃て~と言うデオポルトの声が聞こえてきて、再び矢が紫音たちを襲ってきたが、また空中で止まると、そのまま下に落ちてしまった。
二度三度と、矢は繰り返し敵の兵たちから放たれたが、結果は同じことだった。
紫音たちの前に、夥しい数の矢が散らばった。
敵の兵達は、その不思議な光景にあとずさりした。
その時、空に二つの影が現れた。
みるみるうちにやって来た巨大なそれは、大きな翼を羽ばたかせ、頭はライオンで、山羊の胴体を持ち、尻尾が蛇の不思議な生き物だった。
二頭の巨大な生物は、キェェェェという叫び声を上げながら敵の兵士達の前に立ち塞がり、いきなり首を振り口から火を吐き出した。
敵の兵士達は、恐怖の声を上げながら逃げ惑った。
左右に逃げ惑う彼らの前に、今度は地面から巨大な虎が二頭湧き出し、グオオオという咆哮をあげながら、兵士たちに襲い掛かった。
何万といた兵士達は、不思議な生物の吐き出す火に焼かれ、虎に襲われて次々と倒れていった。
四頭の巨大な獣達は、紫音達を護るように、静かにそばに寄り添ってきた。
紫音は、大音声で呼びかけた。
「皆の者、起きなさい!」
倒れていた敵兵達が、バラバラと立ち上がり、不思議そうに辺りを見回していた。
「今のは幻です。しかし、この獣達は幻ではありませ
ん」
その声と同時に、獣達は少し離れた林に向かって火を吐き出し、手で木々をなぎ倒した。
木々は、煙を出しながら燃え盛り、倒された木が転がった。
「降伏しないならば、今度は幻ではなく、本当に死に
ます」
兵士達は、皆平伏した。
しかし、一人だけ倒れたままで起きない者がいた。
そばの兵が、心臓に手を当てた。
「死んでいます」
死んでいたのはデオポルトだった。
ハシバ国王は、おそらくショック死したのであろう彼を、手厚く葬るように部下に指示した後、紫音共々城へ入って行った。
紫音達が先頭に立ち、ゲートをくぐると、兵達も後に続いた。
目の前にタノールの城が見え、その前に敵の兵が待ち受けていた。
そしてその中から、馬に乗った男が、兵隊をかき分けて先頭に現れた。
ハシバ国王はその男に声高に呼びかけた。
「わしはイシュタル国のハシバ国王である。そなた達のメイチ国王は捕虜として預かっている。今すぐ国を明け渡すがよい」
「何を言うか。メイチなどもう国王ではない。たった今からこのデオポルトがゴダード国の国王となった」
先頭の男が答えた。
「ならば力ずくで奪うまでのこと」
ハシバ国王が言った。
「何を言うか」
デオポルトはせせら笑った。
「それしきに人数で何が出来る。奪えるものなら奪ってみせい!」
そう言うと、デオポルトは兵隊の中へ紛れ込んだ。
それを待っていたかのように、敵の兵たちは弓を引き絞り、一斉に紫音たちに矢を放った。
空から孤を描いて、何百本という矢が唸りを上げ、雨のごとく紫音達に襲い掛かった。
兵達は、向かってくる矢の数の多さに皆すくみあがった。
そして射抜かれると思った瞬間、矢は空中にぴたりと止まり、静止したあとバラバラと落ちていった。
敵の兵達の奥から、矢を撃て~と言うデオポルトの声が聞こえてきて、再び矢が紫音たちを襲ってきたが、また空中で止まると、そのまま下に落ちてしまった。
二度三度と、矢は繰り返し敵の兵たちから放たれたが、結果は同じことだった。
紫音たちの前に、夥しい数の矢が散らばった。
敵の兵達は、その不思議な光景にあとずさりした。
その時、空に二つの影が現れた。
みるみるうちにやって来た巨大なそれは、大きな翼を羽ばたかせ、頭はライオンで、山羊の胴体を持ち、尻尾が蛇の不思議な生き物だった。
二頭の巨大な生物は、キェェェェという叫び声を上げながら敵の兵士達の前に立ち塞がり、いきなり首を振り口から火を吐き出した。
敵の兵士達は、恐怖の声を上げながら逃げ惑った。
左右に逃げ惑う彼らの前に、今度は地面から巨大な虎が二頭湧き出し、グオオオという咆哮をあげながら、兵士たちに襲い掛かった。
何万といた兵士達は、不思議な生物の吐き出す火に焼かれ、虎に襲われて次々と倒れていった。
四頭の巨大な獣達は、紫音達を護るように、静かにそばに寄り添ってきた。
紫音は、大音声で呼びかけた。
「皆の者、起きなさい!」
倒れていた敵兵達が、バラバラと立ち上がり、不思議そうに辺りを見回していた。
「今のは幻です。しかし、この獣達は幻ではありませ
ん」
その声と同時に、獣達は少し離れた林に向かって火を吐き出し、手で木々をなぎ倒した。
木々は、煙を出しながら燃え盛り、倒された木が転がった。
「降伏しないならば、今度は幻ではなく、本当に死に
ます」
兵士達は、皆平伏した。
しかし、一人だけ倒れたままで起きない者がいた。
そばの兵が、心臓に手を当てた。
「死んでいます」
死んでいたのはデオポルトだった。
ハシバ国王は、おそらくショック死したのであろう彼を、手厚く葬るように部下に指示した後、紫音共々城へ入って行った。
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