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第一部 序章 伝説となってしまった切り忘れ
第2話 雷撃少女の殲滅劇
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美琴が踏み込んだ際、地下にあるダンジョンの中だと言うのに落雷のような轟音が鳴り響いた。あまりの音の大きさに、三人組は揃って体をびくりと跳ねさせる。
瞬く間に三人を通り抜けて先頭を走っているスモールドラゴンに肉薄し、稲光のような速さで薙刀を振るう。
確かな手応えとともに、スタンピードの中では最も体が大きなスモールドラゴンは、哀れにも真っ二つに切り裂かれてしまう。
「次」
ぼろぼろと体を崩壊させていくスモールドラゴンを軽く一瞥した後、迫ってくる速度の衰えない軍勢の方を見やる。
「雷薙《らいなぎ》」
持っている薙刀の名を口にして、その力の一端を解放する。
呪具・雷薙。美琴が唯一持っているモンスターに有効な武装であり、美琴自身の能力にもバフをかけてくれる優れもの。
美琴は普段は今使っている雷の力を使わずに探索に勤しんでいるが、これは単純に使いすぎると持っている機器に影響してしまうからだ。
持っている浮遊カメラは、型落ちのものではあるがあらゆる術師からデータを取ることで、呪術師の使う呪力と魔術師の使う魔力に対する高い耐性を持っている。
しかし美琴は純粋な呪力でも魔力でもないため、どんな影響が及ぶのは想像できないため、配信者として活動するためにとクラウドソーシングで稼いだなけなしのお金で買った機器が壊れてしまったら元も子もないので、使わずにいたのだ。
でももうぶっちゃけ、これだけやっても増えないんだったらいっそのこと壊れてもいいから、思い切り暴れてストレスを発散させてしまえと色々と振り切れてしまった。
もしこれで壊れたら後で後悔するのは自分だからやめろと、残っている自制心が必死に訴えてきているが、もう止まらない。
「セェイ!」
鋭い気合と共に雷光のように踏み込み、まとめて数体を細切れにする。
軍勢の真ん中に飛び込んだ美琴を喰らおうと一斉に飛びかかってくるが、近くにいたブラックハウンドを石突でかちあげてから尻尾をむんずと掴み、抗議の声を上げさせる暇もなく毒の鱗粉を撒き散らして動きを麻痺させようとしてくる、モスマン目掛けて投げ飛ばす。
衝突して揃って壁にぶつかり、ぐちゃりと潰れる音がする頃にはすでに別のモンスターが標的となっていた。
百七十二とかなりの高身長な美琴よりも倍以上体の大きな鬼が率いる醜い容姿をした小鬼達が、錆びていたり欠けているナイフや短刀、血の痕のようなものがついている棍棒を振りかざして迫ってくるが、雷薙の一閃と共に放たれた特大の雷で消滅させる。
鉄塊と言ってもいいほど分厚くて巨大な剣をがむしゃらに振り回しながら迫ってくる鬼は、その剣を上に弾きあげて胴体をガラ空きにした後、電磁加速で打ち出した回し蹴りで胴体を分断する。
それでもまだ息絶えず、諦め悪く美琴の細い腰を掴もうと腕を伸ばしてくるが、ひらりと避けた後に雷薙で細切れにする。
「な、なんなんだあの子!?」
「は? えぇ? はい??」
「あ、後ろ———って、もう消し炭に!?」
美琴の張った結界の外から、三人がそれぞれに困惑した声をあげる。
そんな彼らをよそに、美琴はまだ残っているモンスターに向き直る。
戦闘音を聞きつけたのか、それとも元々後続に控えていたのか、続々とモンスターが姿を見せる。
しかしどれだけ来ようが、今の美琴には八つ当たり相手のサンドバッグでしかない。
何度目か、雷鳴のような轟音と共に地面を蹴ってモンスターの軍勢に突っ込んでいき、どんどん加速していく薙刀で切り裂いていく。
無感情に薙ぎ払われる薙刀は正確にモンスターを綺麗に両断し、体をぼろぼろと崩壊させていく。
一度に数体のモンスターが襲い掛かってきても、一秒後には仲良く体が崩れていく。
一方的に蹂躙という表現がしっくりくるほどにモンスターに八つ当たりしていると、後ろに浮かんでいた一つ巴がバチンと音を立てて一つに重なり、強く輝く三つ巴に変化していた。
これは美琴が自力で編み出した、自身の体から溢れる電撃を貯蓄していき、一定以上蓄積したのちに一気に全開放するオリジナルの技術だ。
「諸願七雷・三紋———白雷」
すっと雷薙をかかげ、頭上にある三つ巴から強烈な雷エネルギーをその刃に収束させる。
びりびりと唸るような高濃度のエネルギーが刀身から放たれ、それに怖気付いたのかモンスター達が一斉に逃げ出す。
だがその行動を取るにしてはあまりにも遅く、情け容赦なく薙刀が振るわれる。
特大の雷が薙刀の軌道に合わせて放たれて、一瞬のうちに逃げようとしていたモンスターを飲み込み、消滅させる。
残されたのは、奇跡的に消滅せずに残った核石とモンスターの一部だけだった。
本当は今使った技まで使う必要はないのだが、あまり長時間戦い続けると戦闘音を聞きつけたモンスターがやって来そうだったので、余計な被害を生み出さないためにエネルギーが溜まった瞬間にぶっ放したのだ。
「はあ、こんな八つ当たりしたって、再生数も登録者も伸びやしないのに。何やってんだか……」
モンスターだったものの残骸のすぐ近くまで歩いていき、それを見下ろしながら何をやっているのだろうかとため息を吐く。
「スタンピードを一人で殲滅しやがったよあの女の子……」
「いったい何者なんだ……」
「唖然としている場合じゃないでしょ! あの! 助けてくれてありがとうございます! あなたはいったい───」
「勝手に手を出してごめんなさい。できればここでのことは、誰にも話さないでもらえますか? あと、急いでここを離れたほうがいいと思いますよ」
流石に今の戦い方はやりすぎているので、一方的なワンサイドゲームを広められるのは勘弁してほしいと思い、口止めをお願いしておく。
その三人組はそのあとに何かを言おうとしていたが、白雷を放った時にダンジョンの中ということもあってただでさえでかい雷鳴が反響してとんでもない音量になったので、モンスターがわらわらとやってくるかもしれない。
いつまでも同じ場所にとどまり続けるのはまずいのでそのことを警告した後、美琴はその場からさっさと立ち去って行った。
♢
助けられた三人組、慎司、和弘、彩音は、ただただ困惑していた。
それもそのはずだろう。スタンピードはダンジョン内で発生するモンスターによる災害、怪物災害の一つに数えられ、毎年数多くの探索者がこのスタンピードによって大怪我、あるいは死亡している。
そんな災害に見舞われた三人は、最悪ここで命を落としてしまうかもしれないと覚悟していたというのに、ダンジョン内の最悪の災害の一つであるはずのスタンピードを女の子がたった一人で殲滅したのだ。
そんなもの、目の当たりにした日には当然困惑するし、何より圧倒されるだろう。
「何だったんだ、今の……」
「なんというか、どっちが災害なのか分からなかったような気がする」
「ちょっと、助けてもらっておいてそれはないでしょ。……まあ、分からなくもないけど」
慎司、和弘、彩音の三人は、パーティーでダンジョンを攻略する探索者で、配信者でもある。
そのチャンネル登録者数は圧巻の七十万人を超える、超人気の配信者なのだ。
「夢だって思いたいけど、あそこに転がっている核石や素材が現実だって物語ってる……」
「マジで何なんだよ、あれ。魔術や呪術なんかじゃなかったぞ」
「え、じゃあまさか魔法使い?」
「いやいやいや、魔法使いはみんな例外なく国に管理されているだろ。こんなところに来ている余裕もないし、強すぎるからってここに来る許可すらもらえないだろ」
「じゃあ、一体何なんだ、あの女の子……」
三人そろって呆然としていると、配信画面に次々とコメントが書き込まれていることに彩音が気付く。
”大丈夫だった!?”
”怪我はなさそうでよかったああああああああ!”
”もうちょっとで探索者ギルドに通報するところだったよ!”
コメント欄には多くの、三人のことを気遣うようなコメントが書かれていく。
”何だったんだろう、今の探索者の女の子……”
”どう考えても魔術とか呪術とかそんな次元じゃ無かったよね?”
”あのスタンピード、全部最低でも上から三番目の準一等と一等のモンスターだったよね? なんで一人で殲滅してんだあの子?”
”あれは夢か? それとも幻覚?”
”魔法使いじゃないとしたらもしかして神様?”
”神様なら雷神じゃね? 雷使ってたし”
”なら雷神少女か”
”いや、神がダンジョンに来るわけねーでしょ”
”それはそう”
あまりにもとんでもない出来事だったからか、すさまじい速度でコメントが流れていく。
「なんかあり得ない動きしてたよな。消えたと思ったら一瞬でモンスター細切れにしてたし」
「スモールドラゴンなんて、そもそもいつ近付いたのかすら見えなかったよ」
”あやちゃんとかっちゃんですら見えなかったの!?”
”もしかして大手探索者クランのホワイトレイヴンズかブラッククロスのやつらか?”
”いや、あそこの探索者でもスタンピード単独殲滅は無理だろ”
彩音達の周囲には、登録者の魔力か呪力で浮遊して追従するカメラが飛び回っている。
つまり、三人とも現在もしっかり配信中で、美琴が暴れているシーンというのはばっちり配信に乗っかっていた。
”なんかもう切り抜かれて再生数えげつねーんだけどw”
”AI作成のフェイク動画だと思われてて草なんだワ”
”誰かあの電撃少女を特定してくれない?”
「あの子秘密にしてくれって言ってなかったか?」
和弘が美琴の言っていたことを思い出して、拡散させ始めている視聴者を止めようと口にする。
「無理だろ。人の口に戸は建てられないって言うだろ? そもそも俺達の配信に映ってたんだ。どれだけあの子が秘密にしてほしいって言っても、結局拡散されるよ」
「なんか、悪いことしちゃった気分になりそう……」
あまりにも衝撃的な光景は視聴者の心を掴んだのか、止まることなく瞬く間に拡散されていく。
どれだけ制止しようとしても、とても歯止めが効くような状況ではない。
どんどんコメント欄で盛り上がり、五万人の視聴者達によって拡散されていくのを三人は、ただ黙って見ることしかできなかった。
瞬く間に三人を通り抜けて先頭を走っているスモールドラゴンに肉薄し、稲光のような速さで薙刀を振るう。
確かな手応えとともに、スタンピードの中では最も体が大きなスモールドラゴンは、哀れにも真っ二つに切り裂かれてしまう。
「次」
ぼろぼろと体を崩壊させていくスモールドラゴンを軽く一瞥した後、迫ってくる速度の衰えない軍勢の方を見やる。
「雷薙《らいなぎ》」
持っている薙刀の名を口にして、その力の一端を解放する。
呪具・雷薙。美琴が唯一持っているモンスターに有効な武装であり、美琴自身の能力にもバフをかけてくれる優れもの。
美琴は普段は今使っている雷の力を使わずに探索に勤しんでいるが、これは単純に使いすぎると持っている機器に影響してしまうからだ。
持っている浮遊カメラは、型落ちのものではあるがあらゆる術師からデータを取ることで、呪術師の使う呪力と魔術師の使う魔力に対する高い耐性を持っている。
しかし美琴は純粋な呪力でも魔力でもないため、どんな影響が及ぶのは想像できないため、配信者として活動するためにとクラウドソーシングで稼いだなけなしのお金で買った機器が壊れてしまったら元も子もないので、使わずにいたのだ。
でももうぶっちゃけ、これだけやっても増えないんだったらいっそのこと壊れてもいいから、思い切り暴れてストレスを発散させてしまえと色々と振り切れてしまった。
もしこれで壊れたら後で後悔するのは自分だからやめろと、残っている自制心が必死に訴えてきているが、もう止まらない。
「セェイ!」
鋭い気合と共に雷光のように踏み込み、まとめて数体を細切れにする。
軍勢の真ん中に飛び込んだ美琴を喰らおうと一斉に飛びかかってくるが、近くにいたブラックハウンドを石突でかちあげてから尻尾をむんずと掴み、抗議の声を上げさせる暇もなく毒の鱗粉を撒き散らして動きを麻痺させようとしてくる、モスマン目掛けて投げ飛ばす。
衝突して揃って壁にぶつかり、ぐちゃりと潰れる音がする頃にはすでに別のモンスターが標的となっていた。
百七十二とかなりの高身長な美琴よりも倍以上体の大きな鬼が率いる醜い容姿をした小鬼達が、錆びていたり欠けているナイフや短刀、血の痕のようなものがついている棍棒を振りかざして迫ってくるが、雷薙の一閃と共に放たれた特大の雷で消滅させる。
鉄塊と言ってもいいほど分厚くて巨大な剣をがむしゃらに振り回しながら迫ってくる鬼は、その剣を上に弾きあげて胴体をガラ空きにした後、電磁加速で打ち出した回し蹴りで胴体を分断する。
それでもまだ息絶えず、諦め悪く美琴の細い腰を掴もうと腕を伸ばしてくるが、ひらりと避けた後に雷薙で細切れにする。
「な、なんなんだあの子!?」
「は? えぇ? はい??」
「あ、後ろ———って、もう消し炭に!?」
美琴の張った結界の外から、三人がそれぞれに困惑した声をあげる。
そんな彼らをよそに、美琴はまだ残っているモンスターに向き直る。
戦闘音を聞きつけたのか、それとも元々後続に控えていたのか、続々とモンスターが姿を見せる。
しかしどれだけ来ようが、今の美琴には八つ当たり相手のサンドバッグでしかない。
何度目か、雷鳴のような轟音と共に地面を蹴ってモンスターの軍勢に突っ込んでいき、どんどん加速していく薙刀で切り裂いていく。
無感情に薙ぎ払われる薙刀は正確にモンスターを綺麗に両断し、体をぼろぼろと崩壊させていく。
一度に数体のモンスターが襲い掛かってきても、一秒後には仲良く体が崩れていく。
一方的に蹂躙という表現がしっくりくるほどにモンスターに八つ当たりしていると、後ろに浮かんでいた一つ巴がバチンと音を立てて一つに重なり、強く輝く三つ巴に変化していた。
これは美琴が自力で編み出した、自身の体から溢れる電撃を貯蓄していき、一定以上蓄積したのちに一気に全開放するオリジナルの技術だ。
「諸願七雷・三紋———白雷」
すっと雷薙をかかげ、頭上にある三つ巴から強烈な雷エネルギーをその刃に収束させる。
びりびりと唸るような高濃度のエネルギーが刀身から放たれ、それに怖気付いたのかモンスター達が一斉に逃げ出す。
だがその行動を取るにしてはあまりにも遅く、情け容赦なく薙刀が振るわれる。
特大の雷が薙刀の軌道に合わせて放たれて、一瞬のうちに逃げようとしていたモンスターを飲み込み、消滅させる。
残されたのは、奇跡的に消滅せずに残った核石とモンスターの一部だけだった。
本当は今使った技まで使う必要はないのだが、あまり長時間戦い続けると戦闘音を聞きつけたモンスターがやって来そうだったので、余計な被害を生み出さないためにエネルギーが溜まった瞬間にぶっ放したのだ。
「はあ、こんな八つ当たりしたって、再生数も登録者も伸びやしないのに。何やってんだか……」
モンスターだったものの残骸のすぐ近くまで歩いていき、それを見下ろしながら何をやっているのだろうかとため息を吐く。
「スタンピードを一人で殲滅しやがったよあの女の子……」
「いったい何者なんだ……」
「唖然としている場合じゃないでしょ! あの! 助けてくれてありがとうございます! あなたはいったい───」
「勝手に手を出してごめんなさい。できればここでのことは、誰にも話さないでもらえますか? あと、急いでここを離れたほうがいいと思いますよ」
流石に今の戦い方はやりすぎているので、一方的なワンサイドゲームを広められるのは勘弁してほしいと思い、口止めをお願いしておく。
その三人組はそのあとに何かを言おうとしていたが、白雷を放った時にダンジョンの中ということもあってただでさえでかい雷鳴が反響してとんでもない音量になったので、モンスターがわらわらとやってくるかもしれない。
いつまでも同じ場所にとどまり続けるのはまずいのでそのことを警告した後、美琴はその場からさっさと立ち去って行った。
♢
助けられた三人組、慎司、和弘、彩音は、ただただ困惑していた。
それもそのはずだろう。スタンピードはダンジョン内で発生するモンスターによる災害、怪物災害の一つに数えられ、毎年数多くの探索者がこのスタンピードによって大怪我、あるいは死亡している。
そんな災害に見舞われた三人は、最悪ここで命を落としてしまうかもしれないと覚悟していたというのに、ダンジョン内の最悪の災害の一つであるはずのスタンピードを女の子がたった一人で殲滅したのだ。
そんなもの、目の当たりにした日には当然困惑するし、何より圧倒されるだろう。
「何だったんだ、今の……」
「なんというか、どっちが災害なのか分からなかったような気がする」
「ちょっと、助けてもらっておいてそれはないでしょ。……まあ、分からなくもないけど」
慎司、和弘、彩音の三人は、パーティーでダンジョンを攻略する探索者で、配信者でもある。
そのチャンネル登録者数は圧巻の七十万人を超える、超人気の配信者なのだ。
「夢だって思いたいけど、あそこに転がっている核石や素材が現実だって物語ってる……」
「マジで何なんだよ、あれ。魔術や呪術なんかじゃなかったぞ」
「え、じゃあまさか魔法使い?」
「いやいやいや、魔法使いはみんな例外なく国に管理されているだろ。こんなところに来ている余裕もないし、強すぎるからってここに来る許可すらもらえないだろ」
「じゃあ、一体何なんだ、あの女の子……」
三人そろって呆然としていると、配信画面に次々とコメントが書き込まれていることに彩音が気付く。
”大丈夫だった!?”
”怪我はなさそうでよかったああああああああ!”
”もうちょっとで探索者ギルドに通報するところだったよ!”
コメント欄には多くの、三人のことを気遣うようなコメントが書かれていく。
”何だったんだろう、今の探索者の女の子……”
”どう考えても魔術とか呪術とかそんな次元じゃ無かったよね?”
”あのスタンピード、全部最低でも上から三番目の準一等と一等のモンスターだったよね? なんで一人で殲滅してんだあの子?”
”あれは夢か? それとも幻覚?”
”魔法使いじゃないとしたらもしかして神様?”
”神様なら雷神じゃね? 雷使ってたし”
”なら雷神少女か”
”いや、神がダンジョンに来るわけねーでしょ”
”それはそう”
あまりにもとんでもない出来事だったからか、すさまじい速度でコメントが流れていく。
「なんかあり得ない動きしてたよな。消えたと思ったら一瞬でモンスター細切れにしてたし」
「スモールドラゴンなんて、そもそもいつ近付いたのかすら見えなかったよ」
”あやちゃんとかっちゃんですら見えなかったの!?”
”もしかして大手探索者クランのホワイトレイヴンズかブラッククロスのやつらか?”
”いや、あそこの探索者でもスタンピード単独殲滅は無理だろ”
彩音達の周囲には、登録者の魔力か呪力で浮遊して追従するカメラが飛び回っている。
つまり、三人とも現在もしっかり配信中で、美琴が暴れているシーンというのはばっちり配信に乗っかっていた。
”なんかもう切り抜かれて再生数えげつねーんだけどw”
”AI作成のフェイク動画だと思われてて草なんだワ”
”誰かあの電撃少女を特定してくれない?”
「あの子秘密にしてくれって言ってなかったか?」
和弘が美琴の言っていたことを思い出して、拡散させ始めている視聴者を止めようと口にする。
「無理だろ。人の口に戸は建てられないって言うだろ? そもそも俺達の配信に映ってたんだ。どれだけあの子が秘密にしてほしいって言っても、結局拡散されるよ」
「なんか、悪いことしちゃった気分になりそう……」
あまりにも衝撃的な光景は視聴者の心を掴んだのか、止まることなく瞬く間に拡散されていく。
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