妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

文字の大きさ
26 / 309
妄想編

26話【off duty】新條 浩平 20歳:自宅前(新條編)

しおりを挟む
『あんっ、あんっ、いい、いいのっ、もっと、もっと突いて!!』
『ここか!? ここがいいのか!?』
『ああっ、そこよ、そこ、もっと、ああ、ああああっ!』

 ガチャ。ガチャガチャ。ガタガタ、ドンドン!

 ……おい、なんだよ、今すっげーいいとこなのに、こんな夜中に誰だよ!? アパートのドアを開けようとする音。無視しようかと思ったけど、泥棒のわりには大胆だし、誰か急用なのかも?
 俺はビデオの一時停止ボタンを押すと、テレビの電源を切って、もうちょっとでイキそうだった俺の息子を無理やりジャージのズボンの中にしまった。上着を羽織って、何とか勃起してるのがばれないようにする。
 魚眼レンズから覗くと、意外にも立っているのは女性だった。ドアを開けると、女性が固まって、次の瞬間、とんでもない悲鳴を上げようとする。え、ちょっと待ってよ、今誰か来ちゃったら、俺、完全に変質者じゃん!? こんなかわいい女の人が叫んでて、目の前には勃起した男って、マジやばいからっ!
 俺はあわてて女の人の口をふさいだ。……あっ、やべ、こっちの手……ああ、大丈夫、チンコしごいてたのは反対の手だった。
女性はしりもちをついて、なおもじたばたともがく。……ちょっと、これ、本当に俺が襲ってるみたいになっちゃってますけど! やばいって、早く何とかしないと……!

「やめてくださいよ、人を不審者みたいに……。勝手に人んちに入ってこようとして、あなたのほうが不審者じゃないですか」

 テンパりながらも、何とか相手を落ち着かせようと、丁寧に話して聞かせる。……お、よかった、ちょっと正気に戻ったみたいだぞ。

「手、離すけど、叫ばないでくださいね?」

 女性がうなずいた。よかった、何とか警察に捕まるのは免れそうだ。そっと手を離すと、女性は息苦しかったのか、はあはあと大きく息をついだ。……押さえてた手のひらに、この人の温もりが残ってる。なんか、あったかくて、湿ってる。……あ、やばい、こんな状況なのに、また俺の息子が……。

「部屋、間違えてません?」

 俺が落ち着いて話してきかせると、女性はみるみる青くなって、俺んちのドアの前で土下座を始めた。

「すすす、すみませんでした! ホントすみませんっっ!」

 必死の形相で謝ってる。そこまで慌てることないのに。部屋を間違えるくらい、誰だってあるよ。なんか、なごむなあ、この人。ほら、もう目なんかこんなに涙溜めて、今にも泣きそう。うるうるした大きな目で、そんな上目遣いにすがるように見られたらさあ……って……あれ? この人……。もしかして……? 私服だと、別人みたいに見えるけど……そう、だよね?

「……もしかして、先生ですか? 藍原先生」

 うん、間違いない。絶対そうだ。先生は、俺のこと、覚えていないみたい。そりゃそうだ、毎日出会う何十人もの患者の中のひとりだもんな。

「す、すみません、よく覚えていなくて、あの、いつお会いしましたっけ、何でいらっしゃいました?」

 え、それ、ここで聞く? ……て、そうか、覚えてないんだから仕方ないよな。

「あの、2週間くらい前に、……痔で」

 ……ちょっと、恥ずかしい。こんなアパートの廊下で、そんなこといわせないでよ……。

「どうですか、その後、調子のほうは!?」
「あ、おかげさまで、すごく調子いいです」

 ……なんだ、この会話。

「お酒も控えてます? 飲みすぎたら次は救急搬送じゃ済まないかもしれませんよ」

 え、先生、痔のことだけじゃなくて、その前に俺が急性アルコール中毒で運ばれたことも、覚えてくれてたの? なんだかうれしいような、恥ずかしいような。でも、偶然会っちゃった俺に、こんなに体調を気遣った声をかけてくれるなんて、いい先生だなあ。うん、やっぱり、なごむなあ。

 藍原先生は、後ずさりしながら気まずそうに隣の自分の部屋に入っていった。それを見送ってから、俺も部屋に戻る。テレビをつけたら、AV女優のイキそうな顔がアップで静止してた。
 ……なんだろう。さっきまであんなに夢中になってチンコしごいてたのに、そんな自分がすげぇしょーもない生き物に思えてくる……。あんなに可愛く恥ずかしがって恐縮する藍原先生を見ちゃうと……。ていうか、診察室で会ったときは、可愛いなとは思ったけど、やっぱ医者だし、頼もしいような安心感みたいなのがあった。でも、今の藍原先生は……。
 俺はしばらく立ち尽くしたあと、もう一度テレビの電源を切った。そのまま布団に入る。目を閉じると、潤んだ目で俺を見つめてくる藍原先生の顔が……。やばい、それだけで息子が元気になるって、どんだけだよ。
 結局俺は、布団を頭までかぶって、さっきの続きを始めた。……すみません、藍原先生。今夜のおかずにさせていただきマス。
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...