虹の月 貝殻の雲

たいよう一花

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Ⅲ 誓約

20. 狂気の再来(4)

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<主根>の先端が、じわじわとレイの中に埋め込まれてゆく。
潤いの足りない秘部が、いきりった剛直を拒絶し、痛みを訴える。レイは苦痛に眉根を寄せ、呻きながら魔王の肩を掴んだ。手に付いた土が、魔王の白いシャツを汚してゆく。

レイが後ろに力を入れ、全身で自分を拒んでいるのを感じ取った魔王は、苛立ちもあらわに牙を剥いた。

――レイの口から、掠れた悲鳴がほとばしる。

魔王の指がレイの尻に深く食い込み、後孔が強い力で無理やり引き裂かれる――男根という、凶器によって。
魔王はそれを一気に最奥まで捩じ込むと、無情にもそのまま、抽送を開始した。

苦痛に泣き叫ぶレイの爪が、魔王の肩の皮膚に布ごと食い込む。僅かな痛みを伴うその不快感も、狂気に燃え盛る今の魔王には、まるで感知されていなかった。

「うっ……ぐぅっ……ふっ……がっ…は…っ!」

下から深く突き上げられ、魔王の抜き身が内蔵を押し上げる。次の瞬間には一気に引き抜かれ、また刀身めがけて打ち落とされる。
上下に激しく揺さぶられ、欲望を吐き出す道具のように扱われながら、レイはただ、悲しくて仕方なかった。

(……なぜ言わなかった。こうなる前に。この男の狂気を煽る前に……。ただひと言……王妃になる、と……)

内側を<主根>で抉られながら、外に張り出た<従根>が、ぞりぞりと双丘の谷間をこすり上げる。深く楔を打ち込まれるたび、絶望的な痛みが、体を襲う。

昨夜の、優しい愛に満ちた営みが、まるで夢のようだった。

――猛り狂う獣のような、男。
言葉もなく、情もなく。
一つに繋がりながら、遥か遠くに隔たっている。

レイの目から、大粒の涙がいくつも溢れ出て、しとどに頬を濡らす。
肉体的な苦痛より、悲しみに悲鳴を上げている心の方が、もっと痛かった。

(――愛して、いるのに。どうして俺は、魔王の望む言葉をやらなかった?……俺が……魔王こいつを……狂気へと追いこんだ……)

涙に霞む視界。

レイは目を見開くと、魔王の双眸を覗き込んだ。
その目に少しでも正気の片鱗が残っていれば、今からでも遅くはないと……今からでも、王妃になると告げれば、魔王を止められるのではないかと、微かな望みをかけて。

しかしその思いも虚しく、魔王はレイの中から凶器のごとき肉棒を完全に引き抜くと、レイをうつ伏せにして土の上に投げ出した。

展開は急だった。

乱暴に地面に放り出されたレイは、手を付き体勢を整えようとしたが、間髪かんはつれずに後ろから再び貫かれ、くぐもった悲鳴を上げた。
秘肉を押し分けるように捩じ込まれたそれは、魔王の<従根>だった。

「……っ! ぐふっ! うぐぅ…………ぐあああああ!!」

有り得ないほど深く貫かれ、レイは半狂乱で絶叫した。
もはや性行為ではなく、拷問だった。

突起を具えた凶悪な刀身が、無理やり捩じりこまれ最奥を穿つと、次の瞬間には抜け出るぎりぎりまで引き抜かれた。そして再び、勢いをつけて奥まで打ち込まれる。その暴虐が、素早い動きで繰り返される。

「ああっ! あぐっ! うあああっ! あっ! ひっ……いっ……!ぐあああああっ!」

もう何も、考えられなかった。
肉と肉がぶつかり合う音が響き、レイの悲鳴と逼迫ひっぱくした呼吸音が、枯れ木の合間を虚しくこだまする。

魔王が深く腰を打ち据えるたび、四つん這いになったレイの膝と腕が地面にめりこみ、小石の混じった砂粒が、ザリザリと肌に食い込み裂傷を作ってゆく。
結合部からは魔王の先走りと共に鮮血が滴り、レイの太腿を赤く染め上げ、後から後から溢れ出ては、地面に吸いこまれていった。

レイは絶えまなく悲鳴を上げながら、過去に舞い戻ったような錯覚を覚えた。

初めて魔王に犯され、死を予感した――あの夜に。

無理やり体を開かれ、突き上げられる激痛。
狂気を宿し、別人のように荒れ狂う男。
その嵐に翻弄され、なすすべもなく蹂躙される恐怖。

しかし繰り返される悪夢のような状況は、決定的な違いを忍ばせていた。

――それはレイが、魔王への愛を自覚していることだった。
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