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沈丁花禄郎でございます!
沈丁花禄郎でございます!
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episode6 前編 「見た目も心もオシャレをするということ」
絵梨奈と真美はひょんなことから町保存会の面々に伊豆に日帰り旅行
に誘われ、行くことになった。ふたりはあの人たちと丸一日過ごす自信が無く少々心細
かったので、西園寺正隆も一緒に行ってもらう事にした。
朝8時30分 駅前に町保存会のメンバー、絵梨奈、真美、西園寺の面々が集まった。
西園寺は「初めまして!西園寺と申します。よろしくお願いします!これ父に持って行きなさいと言われて。つまらないものですが、良かったらみなさんでどうぞ」と言って
高級スイーツの入った綺麗な紙袋を渡した。
保存会のメンバーもひと通り簡単な自己紹介をして、「ありがとうございます!よろしくどうぞ」と元気に挨拶した。
竜次は謎の人物だが、今日もそれを発揮してマイクロバスを用意した。運転は大型免許を持つ竜次だった。
バスは伊豆に向かって出発した。
早速、街保存会のメンバーは高級スイーツを開けはじめた。
絵梨奈「ちょっと、帰ってから食べれば」と言った。
西園寺「まあまあ、絵梨奈さんいいじゃないですか。こんなに美味しそうにものを食べるの見るの初めてで、僕はすごくうれしいですよ」と爽やかな笑顔を見せた。
メンバーは、時々小競り合いをみせながら、一心不乱に高級スイーツをむさぼり食った。
絵梨奈と真美以外、沈丁花自作のしおりを見ながら、『おお牧場は緑』を歌った。
しおりには各々に野生のクローバーがそっとセロテープで貼られていた。
ひとしきり歌い終わったところで、ライママが「お礼にアタシがめちゃくちゃ美味しいお蕎麦屋さんを紹介するわよ」と言った。ライママは今日は着物ではなく、バスガイドの格好をしていた。「そこのお蕎麦屋さん、伊豆の奥にあって『狸小路』という店でね、マスターが信州から蕎麦の実を取り寄せててね、臼で挽いた蕎麦粉をすぐに手打ちにして作ってくれるのよ。」と興奮気味に語った。
「おつゆもね、北海道産の鰹節とか昆布とか使っててね。とにかくこだわってるのよ。」とつづけた。
一同全員「美味しそう」「楽しみ!」と心躍らせた。
ワイワイガヤガヤとはしゃいでるうちにバスはお蕎麦屋さんに到着した。
みんなで店内に入りお座敷に座った。
沈丁花が「マスター!もりそば8つお願いします。」と注文した。
みんなワクワクしていた。
お蕎麦がテーブルに運ばれて来た。
みな静かに食べはじめた。すると街保存会のメンバーから感嘆の声があがった。
「こりゃたまげた!」
「蕎麦の香りが口いっぱいに広がる!」
「信州のそばの実の味がしっかりと出てるね」
「打ちたてだけあってコシがあるね」
「おつゆも鰹の香りがたっててまろやか!」
「これは一流料亭の味だよ!」
「ライママ、こんなうまい蕎麦食ったの初めてだよ!ありがとう!」
などと唸り、うんちくをひとしきり垂れた。
感極まって泣き出す者もいた。
西園寺も「とてもおいしいです!」とつづけた。
絵梨奈と真美は終始黙って食べていた。
みな満足して食べ終えた。
沈丁花は絵梨奈と真美に「バスのほう行ってるから払っといてくれる?」と頼み、2万円渡した。
絵梨奈と真美はお会計をしようと「ご馳走様でした。おいくらですか?」と大将に言った。
大将「えーと、もりそば一枚400円なんで、3200円だね」
絵梨奈・真美「そんなにお安いんですか?」
大将「ふつうだけど…」
絵梨奈・真美「ちなみにお蕎麦のレシピとかってどんな感じなんですか?」
大将「レシピもなにも近所の製麺所で配達してもらってる麺だけど…」
絵梨奈・真美「おつゆは?」
大将「おつゆ?あー業務用スーパーでいつも買ってるものだけど…」
絵梨奈・真美「……」
絵梨奈と真美は店の軒先で楽しそうにはしゃいでる街保存会の面々をみたとき、その絵面がセピア色に変わり、頭の中に哀しい音楽が流れた。
さらにバスガイドの格好をして、自作の『ワクワク伊豆ツアー』と書かれたガイドフラッグを揺らし、誇らしげな顔をしているライママがさらにセピア色になって、さらに哀しい音楽が流れた。
絵梨奈と真美のところに西園寺がやってきて「食べ物なんて雰囲気ですから笑」と小声で一言囁き、爽やかな笑顔を見せて去って行った。
episode6 後編につづく
絵梨奈と真美はひょんなことから町保存会の面々に伊豆に日帰り旅行
に誘われ、行くことになった。ふたりはあの人たちと丸一日過ごす自信が無く少々心細
かったので、西園寺正隆も一緒に行ってもらう事にした。
朝8時30分 駅前に町保存会のメンバー、絵梨奈、真美、西園寺の面々が集まった。
西園寺は「初めまして!西園寺と申します。よろしくお願いします!これ父に持って行きなさいと言われて。つまらないものですが、良かったらみなさんでどうぞ」と言って
高級スイーツの入った綺麗な紙袋を渡した。
保存会のメンバーもひと通り簡単な自己紹介をして、「ありがとうございます!よろしくどうぞ」と元気に挨拶した。
竜次は謎の人物だが、今日もそれを発揮してマイクロバスを用意した。運転は大型免許を持つ竜次だった。
バスは伊豆に向かって出発した。
早速、街保存会のメンバーは高級スイーツを開けはじめた。
絵梨奈「ちょっと、帰ってから食べれば」と言った。
西園寺「まあまあ、絵梨奈さんいいじゃないですか。こんなに美味しそうにものを食べるの見るの初めてで、僕はすごくうれしいですよ」と爽やかな笑顔を見せた。
メンバーは、時々小競り合いをみせながら、一心不乱に高級スイーツをむさぼり食った。
絵梨奈と真美以外、沈丁花自作のしおりを見ながら、『おお牧場は緑』を歌った。
しおりには各々に野生のクローバーがそっとセロテープで貼られていた。
ひとしきり歌い終わったところで、ライママが「お礼にアタシがめちゃくちゃ美味しいお蕎麦屋さんを紹介するわよ」と言った。ライママは今日は着物ではなく、バスガイドの格好をしていた。「そこのお蕎麦屋さん、伊豆の奥にあって『狸小路』という店でね、マスターが信州から蕎麦の実を取り寄せててね、臼で挽いた蕎麦粉をすぐに手打ちにして作ってくれるのよ。」と興奮気味に語った。
「おつゆもね、北海道産の鰹節とか昆布とか使っててね。とにかくこだわってるのよ。」とつづけた。
一同全員「美味しそう」「楽しみ!」と心躍らせた。
ワイワイガヤガヤとはしゃいでるうちにバスはお蕎麦屋さんに到着した。
みんなで店内に入りお座敷に座った。
沈丁花が「マスター!もりそば8つお願いします。」と注文した。
みんなワクワクしていた。
お蕎麦がテーブルに運ばれて来た。
みな静かに食べはじめた。すると街保存会のメンバーから感嘆の声があがった。
「こりゃたまげた!」
「蕎麦の香りが口いっぱいに広がる!」
「信州のそばの実の味がしっかりと出てるね」
「打ちたてだけあってコシがあるね」
「おつゆも鰹の香りがたっててまろやか!」
「これは一流料亭の味だよ!」
「ライママ、こんなうまい蕎麦食ったの初めてだよ!ありがとう!」
などと唸り、うんちくをひとしきり垂れた。
感極まって泣き出す者もいた。
西園寺も「とてもおいしいです!」とつづけた。
絵梨奈と真美は終始黙って食べていた。
みな満足して食べ終えた。
沈丁花は絵梨奈と真美に「バスのほう行ってるから払っといてくれる?」と頼み、2万円渡した。
絵梨奈と真美はお会計をしようと「ご馳走様でした。おいくらですか?」と大将に言った。
大将「えーと、もりそば一枚400円なんで、3200円だね」
絵梨奈・真美「そんなにお安いんですか?」
大将「ふつうだけど…」
絵梨奈・真美「ちなみにお蕎麦のレシピとかってどんな感じなんですか?」
大将「レシピもなにも近所の製麺所で配達してもらってる麺だけど…」
絵梨奈・真美「おつゆは?」
大将「おつゆ?あー業務用スーパーでいつも買ってるものだけど…」
絵梨奈・真美「……」
絵梨奈と真美は店の軒先で楽しそうにはしゃいでる街保存会の面々をみたとき、その絵面がセピア色に変わり、頭の中に哀しい音楽が流れた。
さらにバスガイドの格好をして、自作の『ワクワク伊豆ツアー』と書かれたガイドフラッグを揺らし、誇らしげな顔をしているライママがさらにセピア色になって、さらに哀しい音楽が流れた。
絵梨奈と真美のところに西園寺がやってきて「食べ物なんて雰囲気ですから笑」と小声で一言囁き、爽やかな笑顔を見せて去って行った。
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