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沈丁花禄郎でございます!
沈丁花禄郎でございます!
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episode6 完結編
ゲームコーナーでひとしきりいろんな意味で熱くなった一行は、バスに戻ってお土産屋さんに向かった。
バスの中。
絵梨奈「ところで、沈丁花さんのその派手な服どこで買ったんですか?」
沈丁花「これ?これは、セレクトショップで買ったやつかな。河口湖のアウトレットモ
ールでね。」
絵梨奈「セレクトショップとアウトレットモールって真逆ですよね?」
沈丁花は無表情で遠くを見つめた。
絵梨奈「虫眼鏡が大胆にあしらってあって可愛いですね。どこのブランドなんですか?」
沈丁花「だろ? これはたしか、オレンズレンズのものだったかな。あまりおいらブランド気 にしないのよ」
絵梨奈「何ですか?そのオレンジレンジみたいな名前のブランド。私聞いた事ないですね」
西園寺「絵梨奈さんが知らないだけですよ」
真美「そうだよ」
沈丁花「そういえば、おいら、小学生の頃ワルだったんだよ。荒れちゃてさー。」
絵梨奈「どんな風に荒れてたんですか?」
沈丁花「え?給食でカレーでるだろ?」
絵梨奈「出ますね」
沈丁花「給食当番の時にさー、先生のカレーのルーを少し少なくよそったり、肉を少し少なくしたり、野菜を多めに入れたりしてやっただよ」
絵梨奈「プッ」
沈丁花「何笑ってんだよ。何が可笑しいんだよ。言ってみろよ!小馬鹿にしてやがると
お前ん家ちだけサンタさん来ねーからな!!!」
一同「まぁまぁ」
ライママ「沈ちゃん、新しいお友達ができてよかったわねー」
一同「よかったよかった」
沈丁花「こんな奴お友達でも何でもないですよ!おとももちではあるけど」
絵梨奈「そうですよ」
バスは春の日差しにつつまれて進む。
沈丁花「みんなおいらトウモロコシ茹でてきただよ。みなさんどうぞ」
沈丁花はみんなに素手でトウモロコシを鷲掴みにして配った。
一同「美味いよ!沈ちゃん!ありがとう!」と美味しく食べた。
沈丁花「絵梨奈も遠慮しないで食べろし」
絵梨奈「どうも。私は今お腹空いてないので、家に帰っていただきます」
沈丁花「そう?」
西園寺「絵梨奈さん、これ甘くて美味しいですよ」
絵梨奈「はははは……」
そんなこんなでバスは土産物店に到着した。
店内でみなバラバラになって、お土産を見て回っていた。
ライママが絵梨奈のところへやって来た。
「エリちゃん、この可愛いビー玉がついたキーホルダーなんてどう?みんなの思い出と友情の印に色違いで」
絵梨奈「ああ、いいですねー」
ライママ「エリちゃんはそうねー、気品のある子だから紫なんてどう?」
絵梨奈「ありがとうございます。じゃあ紫にします」と嬉しそうに微笑んだ。
ライママ「せっかくだから色々いっぱい買っちゃいなよ」
絵梨奈「ああ、そうですねー」と嬉しそうに笑った。
一行は買い物を終えてバスに乗り込んだ。
バスは東へと向かった。
バスはスナック『来夢来人』に無事到着した。
日が暮れてあたりは真っ暗に包まれていた。
みんなビールでお疲れ様の乾杯をした。
絵梨奈「そういえば、みなさんキーホルダー何色にしました?」
沈丁花「おいらは紫!ライママがおいらに紫合うって」
竜次「俺も紫」
掟カローラ「俺も紫」
一同「私も紫」
絵梨奈「……」
沈丁花「ママは何色買ったんすか?」
ライママ「えーと、私は買ってないですね」
絵梨奈「さっき、思い出がなんとかとか、友情がなんだとかって……」
真美「ママさんは何を買ったですか?」
ライママ「えーと、私はそういえば、何も買ってないですね」
真美「そうでしたか」
沈丁花「そういえば、みんな腹減ったろ?なんか軽くつまみでもおいらが作るよ」
一同「うわー嬉しい」
絵梨奈「何作ってくれるんですか?」
沈丁花「ペペロンチーノスパゲッティーを作ろうと思って」
一同「うわー!楽しみ!」と口を揃えた。
沈丁花は白い熊さんのイラストの入った三角巾とエプロンをつけて、調理を開始した。
沈丁花の調理の模様をみんな楽しく見ていた。
沈丁花「ママ、味の素どこにあるの?」
ライママ「ああ、ごめん、今、味の素切らしちゃてて」
沈丁花「味の素ないの?」
ライママ「ないのよ」
沈丁花「AD、なんでないの?」
一同「AD?!」と顔を見合わせた。
沈丁花「味の素がないと味が決まらないよ。おいら帰る」
一同「なんで?」
店先で帰ろうとする沈丁花の肩をつかんで、みんな帰るのを止めた。
西園寺には止める手を振り払う沈丁花の動作がスローモーションに見え、頭の中に哀しい音楽が流れた。
絵梨奈「沈丁花さん!帰るのはいいけど、さっきからずっと沈丁花さんの肩にカマキリが乗ってますよ」
沈丁花は振り向かず歩いていった。
掟カローラ「ダメだありゃ。あいつはテレビの見過ぎだ」
みんな笑った。
沈丁花の肩に乗っているカマキリと三角巾にプリントされた熊さんを背負った沈丁花の姿は小さくなって行った。
それを見た西園寺は小さな哀愁を感じていた。
角を曲がると沈丁花は即座にクイックモーションで、カマキリを肩からそっと取り出して安全な場所に逃してあげたのだった。
沈丁花はカマキリを安全な場序に逃してあげる優しさと、行きがかり上ひくにひきない意地を併せ持つ男だった。
episode7 『涙の婚活パーティー 野望篇』につづく。
ゲームコーナーでひとしきりいろんな意味で熱くなった一行は、バスに戻ってお土産屋さんに向かった。
バスの中。
絵梨奈「ところで、沈丁花さんのその派手な服どこで買ったんですか?」
沈丁花「これ?これは、セレクトショップで買ったやつかな。河口湖のアウトレットモ
ールでね。」
絵梨奈「セレクトショップとアウトレットモールって真逆ですよね?」
沈丁花は無表情で遠くを見つめた。
絵梨奈「虫眼鏡が大胆にあしらってあって可愛いですね。どこのブランドなんですか?」
沈丁花「だろ? これはたしか、オレンズレンズのものだったかな。あまりおいらブランド気 にしないのよ」
絵梨奈「何ですか?そのオレンジレンジみたいな名前のブランド。私聞いた事ないですね」
西園寺「絵梨奈さんが知らないだけですよ」
真美「そうだよ」
沈丁花「そういえば、おいら、小学生の頃ワルだったんだよ。荒れちゃてさー。」
絵梨奈「どんな風に荒れてたんですか?」
沈丁花「え?給食でカレーでるだろ?」
絵梨奈「出ますね」
沈丁花「給食当番の時にさー、先生のカレーのルーを少し少なくよそったり、肉を少し少なくしたり、野菜を多めに入れたりしてやっただよ」
絵梨奈「プッ」
沈丁花「何笑ってんだよ。何が可笑しいんだよ。言ってみろよ!小馬鹿にしてやがると
お前ん家ちだけサンタさん来ねーからな!!!」
一同「まぁまぁ」
ライママ「沈ちゃん、新しいお友達ができてよかったわねー」
一同「よかったよかった」
沈丁花「こんな奴お友達でも何でもないですよ!おとももちではあるけど」
絵梨奈「そうですよ」
バスは春の日差しにつつまれて進む。
沈丁花「みんなおいらトウモロコシ茹でてきただよ。みなさんどうぞ」
沈丁花はみんなに素手でトウモロコシを鷲掴みにして配った。
一同「美味いよ!沈ちゃん!ありがとう!」と美味しく食べた。
沈丁花「絵梨奈も遠慮しないで食べろし」
絵梨奈「どうも。私は今お腹空いてないので、家に帰っていただきます」
沈丁花「そう?」
西園寺「絵梨奈さん、これ甘くて美味しいですよ」
絵梨奈「はははは……」
そんなこんなでバスは土産物店に到着した。
店内でみなバラバラになって、お土産を見て回っていた。
ライママが絵梨奈のところへやって来た。
「エリちゃん、この可愛いビー玉がついたキーホルダーなんてどう?みんなの思い出と友情の印に色違いで」
絵梨奈「ああ、いいですねー」
ライママ「エリちゃんはそうねー、気品のある子だから紫なんてどう?」
絵梨奈「ありがとうございます。じゃあ紫にします」と嬉しそうに微笑んだ。
ライママ「せっかくだから色々いっぱい買っちゃいなよ」
絵梨奈「ああ、そうですねー」と嬉しそうに笑った。
一行は買い物を終えてバスに乗り込んだ。
バスは東へと向かった。
バスはスナック『来夢来人』に無事到着した。
日が暮れてあたりは真っ暗に包まれていた。
みんなビールでお疲れ様の乾杯をした。
絵梨奈「そういえば、みなさんキーホルダー何色にしました?」
沈丁花「おいらは紫!ライママがおいらに紫合うって」
竜次「俺も紫」
掟カローラ「俺も紫」
一同「私も紫」
絵梨奈「……」
沈丁花「ママは何色買ったんすか?」
ライママ「えーと、私は買ってないですね」
絵梨奈「さっき、思い出がなんとかとか、友情がなんだとかって……」
真美「ママさんは何を買ったですか?」
ライママ「えーと、私はそういえば、何も買ってないですね」
真美「そうでしたか」
沈丁花「そういえば、みんな腹減ったろ?なんか軽くつまみでもおいらが作るよ」
一同「うわー嬉しい」
絵梨奈「何作ってくれるんですか?」
沈丁花「ペペロンチーノスパゲッティーを作ろうと思って」
一同「うわー!楽しみ!」と口を揃えた。
沈丁花は白い熊さんのイラストの入った三角巾とエプロンをつけて、調理を開始した。
沈丁花の調理の模様をみんな楽しく見ていた。
沈丁花「ママ、味の素どこにあるの?」
ライママ「ああ、ごめん、今、味の素切らしちゃてて」
沈丁花「味の素ないの?」
ライママ「ないのよ」
沈丁花「AD、なんでないの?」
一同「AD?!」と顔を見合わせた。
沈丁花「味の素がないと味が決まらないよ。おいら帰る」
一同「なんで?」
店先で帰ろうとする沈丁花の肩をつかんで、みんな帰るのを止めた。
西園寺には止める手を振り払う沈丁花の動作がスローモーションに見え、頭の中に哀しい音楽が流れた。
絵梨奈「沈丁花さん!帰るのはいいけど、さっきからずっと沈丁花さんの肩にカマキリが乗ってますよ」
沈丁花は振り向かず歩いていった。
掟カローラ「ダメだありゃ。あいつはテレビの見過ぎだ」
みんな笑った。
沈丁花の肩に乗っているカマキリと三角巾にプリントされた熊さんを背負った沈丁花の姿は小さくなって行った。
それを見た西園寺は小さな哀愁を感じていた。
角を曲がると沈丁花は即座にクイックモーションで、カマキリを肩からそっと取り出して安全な場所に逃してあげたのだった。
沈丁花はカマキリを安全な場序に逃してあげる優しさと、行きがかり上ひくにひきない意地を併せ持つ男だった。
episode7 『涙の婚活パーティー 野望篇』につづく。
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