初夏には日向で一緒に過ごすべし!

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1話

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私の名前はルビー。
この世界の意味で宝石って言う意味よ。
なかなか気に入っているのよ。
たまに、名前負けしてるなんて奴がいるけど、気にしないわ。
だって、私のお父さんもお母さんも、私の事を可愛いと言ってくれるもの。
親バカですって?
それでも良いじゃない!女の子はみんなお姫様みたいになりたいって、一度は思う物じゃないの?
この街では、女の子はみんな自分の名前に因んだ物を身につけて、好きな相手にアピールするの。
『私は自分に自身を持ってます』って事!
グイグイ押しすぎると相手が嫌がるって聞くから、行き過ぎも注意なのよね!
ただ、自身を持ってるライバル達は良き好敵手、嫌いではないわ!

私の両親は靴屋をしてるの。この街ではそれなりに知られているのよ。
仕事が丁寧なんですって。
私もいつかこの靴屋を継ぐの。
そのためには私、婿養子?ってやつを探す必要があるんですって。でも、その位置に落ち着きたいって人を探すのは骨が折れるかも、って今日この頃感じているの。
男の子なら、自分の家に入って欲しいって思う物じゃないのかしら?詳しくは分からないわ。大人同士の話を盗み聞きしてただけだから。ま、私としては気の合う相手がいいなって、いつも思うの。

この国は、ある一強国の属国で、海産資源に恵まれた途上国家よ。
ここにしかない資源を大国に提供する事で、今の地位と利益を手に入れているの。
詳しくは時間があって、私の気が向いた時に説明するわ。

…あ、見て見て、あの人だり分かるかしら?

女の子達にキャーキャー言われて困ってるのは、この街で人気の男の子。
ディル、って言うの。
ディルの側にはいつだって人が集まってるの。
私はとてもその中に入るなんて出来ないし、今まで出来なかったわ。
だって、第一どうやって話しかけたらいいわけ?
競争率なんて知りたくもないわ。

あ、こっち向いた。

ディルとはたまに目が会うの。
頭にしてるな真っ赤な花飾りを無意識にさわってしまう。
ズレてないかしら。
急に不安になる。
本当は私の名前からすると、宝石を身につけるものだけれど、そんな高価なものを身につけられるほど、私自身で稼いでいないし、何より豚に真珠状態よ。私のお気に入りの名前をこれ以上けなされたくないの!いいの、大人の女性になったら、もっと綺麗になるんだから。その時に宝石の件は考えるわ。

そんな事を考えていると、女の子達の群れにおされて、ディルとその他一行の群れは次第に小さくなっていく。
遠くから、『あちらにいいお店が』とか『新しく出来たお菓子屋さんで』とか聞こえた。
思い返してみれば、彼女達の気合の入れ方は普通ではない。 
花の名前を持つ子は、花の冠。花柄のワンピース。
音の名前の子は、風にそよぐハープの耳飾り。シャンシャンと細やかな音のする髪飾り。
金属の名前の子は、金縁のバック、メガネ、靴。 
皆、思考を凝らしたものばかり。
私は?
私はいいの。いつもの私のまま。
一番好きな赤の、花飾り。まるで、宝石のよう。

ふと、頭上に影がさし、思いがけぬ人物が。
『……やあ、ルビー。王都に行ってたんだよ。---会いたかった。』
お互いを意識しだしたのはいつだっただろうか。前にあった時には、この花飾りをくれた。

『ルビーは宝石のようなこの花がよく似合うよ。これ、君にだよ。もらってくれたら嬉しいな。』

そう言って、昼間の休みにいつもの場所で日向ぼっこしていた私にくれた。私達の間でそんな会話があったなんて、誰も知らない。

その花言葉の意味は---この国ではとても有名で-------。

『魔術師の会議って、面白くてね』
彼がそう言って笑う。
そう、彼はこの国にはよくいる魔法を使える人達の一人で、その中でもかなり魔法に長けてるのだ。
その彼は、王都出会った同じ魔法使いの話や、出来事を面白おかしく話すものだから、私は本当に久しぶりに心の底から笑った。あぁ、安心する。


二人で、肩を並べて、いつもの木の影まで歩いて行く。
私は座り、膝を並べて彼の方に身体を傾ける。
彼は寝そべって片方の手に頭を預けている。
何気ない日常が、こんなにも愛おしい。
世界は今動いているのしら? 
もしかして、止まってる?だって、たまに世界の音が、聞こえなくなるから-----。
今、遠くに見えるあの海も、ここまで漂う潮風も、全てがこの私がここに居ると感じさせる。

『ルビ~?聞いてた?』
はっとして、彼のグリーンの瞳を見つめた。
『ごめんなさい、ちょっとぼーっとして……』
すると、彼は肩をすくめて仕方なさそうに笑った。
『いつもの君だ。---その髪飾り、よく似合ってるよ。そうだ、今度僕の友達に会わない?近々、魔術師仲間で小さなパーティーがあるんだ。その髪飾りもしっかり付けて来てよね!』
こちらの顔色を伺いながら、返事を待つ彼は背伸びしていない、私の前での彼そのもの。
『もちろん!外したりしたいわ。それに、誘ってくれて嬉しい!ぜひ連れて行ってね』 
その返事に、彼は満面の笑みを浮かべる。
『いつだってルビーの笑顔は、僕の気持ちを明るくしてくれるね。ありがとう...それから---,』
その後も話は尽きない。

風が髪を巻き上げながら通り過ぎ、黄金の平原を駆け上がりながら海飛沫を彼方に散らす。

きっと、沢山の出来事があっても、私達なら----

そう思うルビーの髪飾りに彼の手がそっと触れた。

この花飾りのモチーフとなった花、その花の花言葉は、------人生の輝き,-----。
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