【R18】夜のショタカフェへようこそ!〜僕は愛する人に身請けされる〜

玄野クロ(星屑灯)

文字の大きさ
28 / 62
お店の裏側

【夜】知らなかったこと@疑問

しおりを挟む

 「……知らねぇ闇に、触れることになるぞ?」
「あ……」

 アヤは少し目を細めると、唇をキュッと嚙んだ。店長の目は笑っていない。恐らく、これは本当の話だ。

“……ボク達だって、闇、だよね……?”

 店長の優しさかもしれない。そう思いながらも、アヤはウミへの心配と、未知の世界への好奇心に勝てなかった。

「お、教えてください……」
「……分かったよ。……ちょっと、こっちに来い。今日はキャストも黒服も多い。俺達が多少抜けても問題ねぇ。お前はキープだしな」
「は、はい!」

 アヤは店長に連れられて、ロッカーへと向かった。そして、戻ってきたドアから一番遠い椅子へと二人で座る。

「……さっきの続きだがな。そっちはな、全然キャストの扱いが違うんだわ」
「扱い、が? ですか?」
「あぁ。……次の質問だ。【調教部屋】は知ってるな?」
「あ……はい。トラブルを起こしたり、問題がある子が入る部屋だって……」
「強ち間違ってねぇ。さて、ここで問題です。……その、調教部屋に入れられた子は、どうなるでしょうか?」
「え……えっと、その……何か、罰を受けるんじゃ……」
「半分正解ってとこだな」
「……違うんですか?」
「一つは、こっちの店、子猫のキャストが入ることはまずない。お前らには言い方が悪いかもしれないが、トラブルを起こさないように躾けてるつもりだからな」
「……」

 アヤは思わず手のひらを握った。店長の言う通り、店に出る上での指導は厳しく受けているし、お客様の前に立てば相手がどんな人でも粗相のないように過ごしているつもりだ。商品だからなのか、殴られることはほぼないし、傷をつけられることもない。
 短い新人期間が終われば、何人もの黒服を相手にシミュレーションを何度も行い、様々な状況に対応できるようにまるで調教にも似た教育を受けている……と言っても確かに過言ではないだろう。

「確かに、あの部屋に入ったやつは罰を受ける。そこは正解だ。残りの半分は……普通解けんわなぁ……」

 はぁ、と溜息を吐いて、店長はアヤの頭をクシャクシャと撫でた。

「……罰を受けた上で、その系列店にぶち込まれるんだ」
「……え?」

 店長はグッと低く重たい声でアヤに言い放った。

「元々は全くの素人だろうし、そんな耐性もないだろうけどな。ま、地獄だろうよ」
「……そう、なんですか」
「なんせ、調教部屋出身だからな。扱いなんてたかが知れてる。ルールなんざ、『壊さなきゃオーケー』ぐらいなもんよ」
「壊す……って……」
「長いこと店に出せないのは困る。あっちは昼も夜も客は変わらねぇ。相手してつまらねぇのも困る。こっちのあぶねぇ欲望は受け止めて欲しい。反抗的すぎるのも嫌だが、従順なのも面白みがねぇ。……なんて、注文が多いんだよ」
「……なんて言ったらいいか……」
「なんのオブラートもなくぶちまけちまえば、『死んでなくて欠損もなければ、酷く扱っても良いし、精神攻撃を与えても良い』なんだよな。その中なら、プレイの制限もない。こっちじゃ禁止されている、『調教、ハードSM、スカトロ、拡張、リョナ』なんてぶっ壊れ一直線なのも問題なしってこと」

 知らない世界に、背筋がゾクリとした。

「で、でも店長……なんで、なんでそれがトリカイ? さんと関係あるんですか……」
「……じゃあ、ここでもう一つ問題だ。あの調教部屋には、どんな人が入るでしょうか?」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...