道楽草

十三岡繁

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波動関数

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 学生の頃は物理学者になって、宇宙の謎を解きたいという夢を持っていた時期もありました。思えば決定的に挫折したのが高校で習った電子のあたりでしょうか…。

 それまで電子というのは粒みたいなものがあって、それが原子核の周りをまわっているというイメージでした。中学までは教科書の絵もそんな感じで書いてあったと思います。しかし高校の授業で習うのは、電子の位置は確率でしか分からないというものでした。

 電子はどこか特定の場所に存在しているが、観察するまでそれがどこにあるのかは分からない…今の技術だと確率でしか分からないというのであれば納得できます。技術が向上すれば確率ではなく電子の位置が特定できるといあことです。どこか決まったところにあるんですから…。

 でもそうではないんです。特定の場所には存在していないんです。どこにでも存在しているし、どこにも存在していないんです。だから確率でしか分からない。これがどうにも納得できないし理解ができませんでした。アインシュタインだって納得が行かなかったくらいですから、私に理解できるはずもありません。

 しかしどうやら様々な実験によって、それは間違いないという事になっています。物質の根本がそんな感じなので、言い換えるとこの世界の全てのものは確定しているわけではなくて、確率を示す関数だけが存在しているということになります。詳しいことはネットで検索するなどしてもらわないとここでは説明できませんが、そういう事らしいです。

 このよく分からない話を、物凄く理解しやすく説明してくれるのがシミュレーション仮説です。この世界はコンピューターゲームの仮想世界のようなものだというやつですね。確かにゲームの中の世界は、ユーザーが何かしらをしない限りは、全ては関数で定義された存在でしかありません。例えば宝箱の中身が役立つアイテムなのかミミックなのかは、プレーヤーが宝箱を空けてみるまでは、確率の関数でしかありません。イーロンマスク氏等はこの世界は、シミュレーション世界で間違いないと発言してますね。

 仏教でははるか昔からそんな考え方をしていたようです。でもシミュレーションだからそれがどうしたみたいな話もしています。私は仏教に関しては宗教というよりは哲学に近いような捉え方をしています。

 このあたりの宇宙観はSFやファンタジーの物語を考えるにあたっては、いつも心の奥底の方にあるものです。ただ現実世界では、そういう世界の真理を考えるよりは、もっと俗っぽく自分が現実と感じるこの世界を生きる人たちが、幸せを感じられるようなそんな手助けを建築ができないものかと考えて仕事に取り組んでいます。
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