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茂木琢磨編
挽回
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偶然の出来事というのは連続してやってくるものだ。神社での一件から数日後。また自分は田村さんと学校外で遭遇することになる。それは学校が終わってから、塾へ寄った帰り道での事だった。学院は塾など行かずとも、学校の勉強だけをしっかりしていれば、大学受験も問題ないというスタンスだ。しかし自分はそれを一切信用していなかった。なので高校二年生になってからは市進学園という、これまた地元の現役予備校と言われる塾に通うことにした。塾の二年生の授業は週二回だが、学校が終わってから授業を受けると帰りは結構遅い時間になってしまう。
塾の校舎からの帰り道、駅まで行くには普通大通りを経由するのだが、その日は何となく線路沿いのガード下の道を歩いてみた。そこで田村さんんが先日の三人組に絡まれているところへ遭遇したのだ。
先日と違って、かなりしつこく誘われて彼女も困っているように見えた。この間はうまくあしらっている感じで、特に自分が何かをする必要は無かったが今回は違う。自分は彼女に声をかけた。
「なんか困ってますか?」そう言った途端に彼女だけでなく三人組もこちらを向いた。
「何だよにいちゃん、彼女の知り合い?」1人が自分にそう言ってきた。それに対して自分が何かを答える前に、間髪入れずに田村さんが言った。
「知りませんよこんな人」
それはまぁちょっとショックだった。確かに自分の存在感は薄いかもしれないが、図書委員はわずか二十数人なので、田村さんだけではなく全員の顔と苗字ぐらいは覚えている。自分の印象は彼女には全く残っていなかったらしい。
「ああ、分からないかな?図書委員で一緒の茂木ですよ」自分がそう言うと、田村さんは『あちゃー』という感じで手の平を額に当てた。
「まぁどうでもいいや。おにーさん丁度いいからちょっとお金貸してよ」今度は三人のうちで一番ガタイのいい奴が自分にそう言ってきた。
「今そんなに持ち合わせがないですし、第一知り合いでもないのにお金は貸しませんよね。これはカツアゲってやつですか?」思ったままが口に出た。ヤバそうな人間とは接触を避けてきたのもあるが、カツアゲというものをされそうになるのは、それが人生で初めてだった。
「ふざけんなよ」そう言って先ほどのガタイの一番いいやつが胸倉を掴みに来た。シャツのボタンがとれても嫌なので、自分はそれを軽くかわして左手でいなした。そうすると彼はちょっとふらついてしまった。もう少し体幹を鍛えたほうがいいかもしれない。
「なんだこいつ」そう言いながら他の1人が自分の後ろに回る。まぁ後ろから掴みかかるつもりかなというのは分かるのでそれも躱す。次に三人目も横から手首を掴んでこようとするのでそれも躱した。
入れ替わり立ち代わり3人は自分のどこかしらを掴んで来ようとするので、気持ち悪いのでそれらを全部躱して行った。男に掴まれてもうれしくはない。
「きもち悪いやつだな…幽霊かよ」ガタイのいいやつにそう言われてしまった。知らない人間を掴もうとする方が気持ち悪いと思うのだが、自分が気持ち悪いと言われてちょっと傷ついた。
「まぁいいや、おねーさんまたね」そう言って三人は去っていった。後には自分と田村さんが残された。
「茂木先輩凄いですね。どうして後ろの人の動きが分かるんですか?」田村さんに名前を言われて気が付いた。彼女は自分を巻き込まないように知らない人間のふりをしたのだろう。やはりこの間の神社でヘタレ認定を受けているに違いない。
「ああ、ちゃんと自分の事分かってたんだ。このあたりは遅くなると人通りが少ないから危ないよ」そうか、普通は後ろからかかってくる人間の動きは分からないんだろうなと思いつつ、適当に話を変えてごまかすことにした。
「あんまりこの道は使わないんですけど、今日はバイトで遅くなったんでたまたま…」そういう彼女に
「期末試験中なのにバイトしてるの?」と聞き返してしまった。そういう自分も試験期間中なのに塾通いをして試験と関係ない勉強をしている。
「試験期間は学校が早く終わるから稼ぎ時なんですよ」田村さんはそう言った。
「まぁ受験勉強のしどきでもあるけどね」推薦を狙うのでもない限り、高校の成績はそんなに気にしなくてもいいというのが持論だ。ただ3年で特進クラスに入るには学校の定期試験の成績も大切ではある。
そこま言って自分は思い出した。田村さんは確かA組だった。一学年十クラスもあるので、図書委員会のメンバーでもクラスを全て覚えているわけではないが、A組は特進クラスだ。失礼ながら彼女はその風貌と違和感があったので心にひっかかっていた。
特進クラスの入れ替えは学年ごとではあるが、特に優秀だったり逆に落ちこぼれた場合には、学期ごとの入れ替えも少しはある。つまり彼女は定期試験時にバイトしていても問題ないくらいに成績がいいという事なのだろう。
塾の校舎からの帰り道、駅まで行くには普通大通りを経由するのだが、その日は何となく線路沿いのガード下の道を歩いてみた。そこで田村さんんが先日の三人組に絡まれているところへ遭遇したのだ。
先日と違って、かなりしつこく誘われて彼女も困っているように見えた。この間はうまくあしらっている感じで、特に自分が何かをする必要は無かったが今回は違う。自分は彼女に声をかけた。
「なんか困ってますか?」そう言った途端に彼女だけでなく三人組もこちらを向いた。
「何だよにいちゃん、彼女の知り合い?」1人が自分にそう言ってきた。それに対して自分が何かを答える前に、間髪入れずに田村さんが言った。
「知りませんよこんな人」
それはまぁちょっとショックだった。確かに自分の存在感は薄いかもしれないが、図書委員はわずか二十数人なので、田村さんだけではなく全員の顔と苗字ぐらいは覚えている。自分の印象は彼女には全く残っていなかったらしい。
「ああ、分からないかな?図書委員で一緒の茂木ですよ」自分がそう言うと、田村さんは『あちゃー』という感じで手の平を額に当てた。
「まぁどうでもいいや。おにーさん丁度いいからちょっとお金貸してよ」今度は三人のうちで一番ガタイのいい奴が自分にそう言ってきた。
「今そんなに持ち合わせがないですし、第一知り合いでもないのにお金は貸しませんよね。これはカツアゲってやつですか?」思ったままが口に出た。ヤバそうな人間とは接触を避けてきたのもあるが、カツアゲというものをされそうになるのは、それが人生で初めてだった。
「ふざけんなよ」そう言って先ほどのガタイの一番いいやつが胸倉を掴みに来た。シャツのボタンがとれても嫌なので、自分はそれを軽くかわして左手でいなした。そうすると彼はちょっとふらついてしまった。もう少し体幹を鍛えたほうがいいかもしれない。
「なんだこいつ」そう言いながら他の1人が自分の後ろに回る。まぁ後ろから掴みかかるつもりかなというのは分かるのでそれも躱す。次に三人目も横から手首を掴んでこようとするのでそれも躱した。
入れ替わり立ち代わり3人は自分のどこかしらを掴んで来ようとするので、気持ち悪いのでそれらを全部躱して行った。男に掴まれてもうれしくはない。
「きもち悪いやつだな…幽霊かよ」ガタイのいいやつにそう言われてしまった。知らない人間を掴もうとする方が気持ち悪いと思うのだが、自分が気持ち悪いと言われてちょっと傷ついた。
「まぁいいや、おねーさんまたね」そう言って三人は去っていった。後には自分と田村さんが残された。
「茂木先輩凄いですね。どうして後ろの人の動きが分かるんですか?」田村さんに名前を言われて気が付いた。彼女は自分を巻き込まないように知らない人間のふりをしたのだろう。やはりこの間の神社でヘタレ認定を受けているに違いない。
「ああ、ちゃんと自分の事分かってたんだ。このあたりは遅くなると人通りが少ないから危ないよ」そうか、普通は後ろからかかってくる人間の動きは分からないんだろうなと思いつつ、適当に話を変えてごまかすことにした。
「あんまりこの道は使わないんですけど、今日はバイトで遅くなったんでたまたま…」そういう彼女に
「期末試験中なのにバイトしてるの?」と聞き返してしまった。そういう自分も試験期間中なのに塾通いをして試験と関係ない勉強をしている。
「試験期間は学校が早く終わるから稼ぎ時なんですよ」田村さんはそう言った。
「まぁ受験勉強のしどきでもあるけどね」推薦を狙うのでもない限り、高校の成績はそんなに気にしなくてもいいというのが持論だ。ただ3年で特進クラスに入るには学校の定期試験の成績も大切ではある。
そこま言って自分は思い出した。田村さんは確かA組だった。一学年十クラスもあるので、図書委員会のメンバーでもクラスを全て覚えているわけではないが、A組は特進クラスだ。失礼ながら彼女はその風貌と違和感があったので心にひっかかっていた。
特進クラスの入れ替えは学年ごとではあるが、特に優秀だったり逆に落ちこぼれた場合には、学期ごとの入れ替えも少しはある。つまり彼女は定期試験時にバイトしていても問題ないくらいに成績がいいという事なのだろう。
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