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四賢者編
トキネVSサタジット
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「やはりまたお会いできましたね」サタジットはトキネに向かってそう挨拶をした。
「折角ご招待いただきましたから伺いました。ここは不思議なところですね。外と違って寒くなければ暑いわけでもない。暗くもないし明るくもない」
「そうですね。我々の文明では成し得ない技術でしょう」
「我々?あなた自身は人間という事でいいのかしら?それに私がいつ来るのかも分からないのにずっと待っていてくださったんですか?」
「そうとも言えるし、そうでないとも言える。あなたがここに現れることが確定したので我々もここにいるんです。この世の出来事は全て確定した事実ではなくただそこには関数が存在するだけです」
「数学はよく分かりませんが、我々という事は他にもいらっしゃるんですよね」
「今日は私がこの第一層の担当となりましたので簡単に説明させていただきます。この空間は五層構造になっていて、それぞれの層には守護者が一人ずつ滞在していてあなたを待っています」
「四賢者なのに五層なんですか」
「第五層に通じる四つの門の様に考えてもらうといいかと思います。その四層の守護者が四賢者です。全ての賢者があなたを認めれば、第五層に到達できます。本来であればそこで寿命という呪縛からは解放されるところですし、普通の人はそれを求めてここに来ますが、あなたにはその必要なないでしょう。その代わりそこであなたが知りたいことが全て分かると思います」
「なるほど、認めるというのは…まぁそんな野暮は聞かないでおきましょう。ただ、折角なので自己紹介していただければ幸いですが…」そう言いながらトキネは防寒着を脱ぎ捨てていく。中からは深紅の道着が現れる。
「私の名はサタジット・レイ。見ての通りインド人です。一応外の世界ではユーナム財団所属の思考加速のギフテッドという事になっています。年齢はそうですね…もう数えるのはやめましたが大体1600歳くらいだと思います。現在インドで呼ばれているところのカラリパヤットと呼ばれる武術を作ったものです」
「その武術の名前は聞いた事があります。源流が世界最古の武術とも呼ばれているものですね。確か達磨大師はインドで学んだカラリパヤットを中国に持ち帰って少林拳を作ったとか」そう言いながらトキネは手や足首をまわして準備運動を始めている。
「少林拳はともかく、カラリパヤットと手合わせするのは初めてなので楽しみです」そう言ってトキネは懐から手ぬぐいを取り出すと頭に巻いた。
まだサタジットとは大分距離が空いているところで、腰を落として構えをとる。一方のサタジットも腰を更に低く落とし、眼前に左右の手をクロスして構える。
「手をクロスする構えというのは日本の武道には無いですね。空手で胸ぐらを掴まれた時に振り解くための型があるくらいです」
「これはライオンの構えと呼ばれるものです。まずはそちらからどうぞ」そう言われてすぐさまトキネは縮地でサタジットに近づくと、掌底による当て身をひとつ繰り出した。動きとしては相撲の突っ張りに近い。しかしその腕は空を切り、次の瞬間サタジットの右ひじが腹部にカウンター気味にヒットした。肉をバットで叩くような嫌な音が響き渡る。
「流石素晴らしい動きだ。でもあなたでは私に勝つことはできません。一応ユーナムでは思考加速という事になっていますが、相手の動きに合わせて動いている訳ではありません。相手が動いたときに私の動きもまた決まるのです。物理学で言う所の量子もつれと一緒ですね」
「なるほど…しかし物理もよく分かりません」トキネはそう言いながら左わき腹のダメージを確認している。あばらは折れていない。多少の痛みは残っているが動きには支障が無さそうだ。
「折角ご招待いただきましたから伺いました。ここは不思議なところですね。外と違って寒くなければ暑いわけでもない。暗くもないし明るくもない」
「そうですね。我々の文明では成し得ない技術でしょう」
「我々?あなた自身は人間という事でいいのかしら?それに私がいつ来るのかも分からないのにずっと待っていてくださったんですか?」
「そうとも言えるし、そうでないとも言える。あなたがここに現れることが確定したので我々もここにいるんです。この世の出来事は全て確定した事実ではなくただそこには関数が存在するだけです」
「数学はよく分かりませんが、我々という事は他にもいらっしゃるんですよね」
「今日は私がこの第一層の担当となりましたので簡単に説明させていただきます。この空間は五層構造になっていて、それぞれの層には守護者が一人ずつ滞在していてあなたを待っています」
「四賢者なのに五層なんですか」
「第五層に通じる四つの門の様に考えてもらうといいかと思います。その四層の守護者が四賢者です。全ての賢者があなたを認めれば、第五層に到達できます。本来であればそこで寿命という呪縛からは解放されるところですし、普通の人はそれを求めてここに来ますが、あなたにはその必要なないでしょう。その代わりそこであなたが知りたいことが全て分かると思います」
「なるほど、認めるというのは…まぁそんな野暮は聞かないでおきましょう。ただ、折角なので自己紹介していただければ幸いですが…」そう言いながらトキネは防寒着を脱ぎ捨てていく。中からは深紅の道着が現れる。
「私の名はサタジット・レイ。見ての通りインド人です。一応外の世界ではユーナム財団所属の思考加速のギフテッドという事になっています。年齢はそうですね…もう数えるのはやめましたが大体1600歳くらいだと思います。現在インドで呼ばれているところのカラリパヤットと呼ばれる武術を作ったものです」
「その武術の名前は聞いた事があります。源流が世界最古の武術とも呼ばれているものですね。確か達磨大師はインドで学んだカラリパヤットを中国に持ち帰って少林拳を作ったとか」そう言いながらトキネは手や足首をまわして準備運動を始めている。
「少林拳はともかく、カラリパヤットと手合わせするのは初めてなので楽しみです」そう言ってトキネは懐から手ぬぐいを取り出すと頭に巻いた。
まだサタジットとは大分距離が空いているところで、腰を落として構えをとる。一方のサタジットも腰を更に低く落とし、眼前に左右の手をクロスして構える。
「手をクロスする構えというのは日本の武道には無いですね。空手で胸ぐらを掴まれた時に振り解くための型があるくらいです」
「これはライオンの構えと呼ばれるものです。まずはそちらからどうぞ」そう言われてすぐさまトキネは縮地でサタジットに近づくと、掌底による当て身をひとつ繰り出した。動きとしては相撲の突っ張りに近い。しかしその腕は空を切り、次の瞬間サタジットの右ひじが腹部にカウンター気味にヒットした。肉をバットで叩くような嫌な音が響き渡る。
「流石素晴らしい動きだ。でもあなたでは私に勝つことはできません。一応ユーナムでは思考加速という事になっていますが、相手の動きに合わせて動いている訳ではありません。相手が動いたときに私の動きもまた決まるのです。物理学で言う所の量子もつれと一緒ですね」
「なるほど…しかし物理もよく分かりません」トキネはそう言いながら左わき腹のダメージを確認している。あばらは折れていない。多少の痛みは残っているが動きには支障が無さそうだ。
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