やさぐれ令嬢は高らかに笑う

どてら

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悪役会議⑵

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「それで、モラン・ゼバス辺境伯とはどのような関係なんですか?」
話題を戻すためずっと気にかけていた人物の名前を出す。どうしてあの男がベーカー家の内情に詳しいのか。
「それがねぇ~分からないんだ」
「はい?」
「モラン辺境伯自体とは何の関係もないんだよ、情報として知っているだけでね。だから彼のバックに誰か居るとは思うんだけど如何せんその.......」
「心当たりが多すぎると」
「.......はい」
アルフレッドらしいといえばらしいけども。
「バーバラ・ゼバスについて何かご存知ですか?」
「モランの娘さんか、彼女今年で17歳になるんじゃなかったかな? アイザックとも歳が離れてるから花嫁候補にも上げてなかったんだ」
10歳差かよ!! ちょっと歳上なんてレベルじゃないだろ。よく7歳になる少年に娘任せようとしたな!?
「断固反対だ.......」
「誕生日パーティーで何があったかは既に聞いてる、妙な男に目をつけられたものだね」
聞いてる、という事はルイが話したのか。
「大丈夫。モランの事は私に任せればいいさ」
「元凶が何言ってるんですか」
アルフレッドが他所から恨みや妬みを買った結果だろう。モランに情報を流したのが誰だとしても、身内から漏れたのはまず間違いな.......あれ?



「「リリアンか!!」」
アルフレッドと私は同時に天井を仰いだ。






どうしてその可能性を考えなかったのだろう。間違いなくアルフレッドに一番執着し、私を疎ましく思っているのはリリアン・ベーカーより他にいないじゃないか。伸ばしていた背筋をソファにつけもたれかかる。肩の力を抜くついでに小言がぽっと出てしまった。
「面倒くさっ」
「たまに素が出るね」
「そういえば頼もしくて優秀なお父様は私に言いましたよね? 「大丈夫、私に任せればいいさ」とか何とか」
「あれは、その、モラン辺境伯のことであって」
「頼みましたよお父様」
語尾にハートが付きそうなほど甘ったるく言えばアルフレッドが肩を落とした。
「女性の機嫌を取るにはどうすればいいんだろうか.......」
「機嫌を取るなんて、一時しのぎしか考えてない時点でアウトですよ。それより」
「分かってる。大体のあらましは検討がついたよ」

リリアンが情報をリークした犯人だとして、彼女とモランを繋いだ黒幕がいるはずだが。
「この短期間でここまで動ける男は私の知る中で一人だけだからね」アルフレッドはそう言ってほくそ笑んだ。

「カース・ワイアット。私の因縁の相手だ」
誰だよ。

「因縁ということは昔何かあったんですか?」
「話せば長いんだけどね、要は同族嫌悪かな」
アルフレッドによく似て腹黒&暗黒微笑(笑)属性の男か。
「私の一番嫌いなタイプですね」
「遠回しに傷つくからやめなさい」
アルフレッドは何食わぬ顔つきのまま話を進める。
「あの男の事だ、近いうちに動くかもしれないな」
私の出生が周りに広まるかもしれない、ということだろう。
「出生の事なんて霞むほど他で悪評でも立てますか? いっそ利用して同情を誘う手も」
「アイリーン」

急に真顔になるアルフレッド。どうしてそんな怒ってるみたいな目をするんだろうか。
「私は自分の駒を大切にする主義なんだ」
「どうせ駒なら捨て駒の方が気分的にマシです」
不貞腐れたような口調になってしまった。拗ねた子供みたいだ。アルフレッドは困惑の表情を浮かべながら顎に手を当てた。
「.......もう少し自分を大事にすることも視野に入れた方がいい」
「善処します」
まだ何か言いたそうなアルフレッドを無視して私は引っかかった事を口にする。
「ワイアットの家名をどこかで聞いた覚えがあるんですが」
「そういえば彼には君と変わらないぐらいの子供がいたな~」
私と同じぐらいの歳の子。嫌な予感がして巡らす思考を止めたくなった。
「確かカイス・ワイアットだったか」
マジか。


 カイス・ワイアット、ゲーム内の攻略対象の一人だ。私や主人公の一つ下で小悪魔系歳下キャラだと郁が言っていたのを思い出した。すぐに記憶と一致しなかったのは私がアイザックのことしか考えていなかった為だろう。正直どんな人物だったか曖昧にしか覚えていない、顔がいいのは聞いてるんだがナルシストだとかヤンデレだとか言われていたような。
「出来るだけ関わりたくないですね」
「それが一番無難だよね」

二人揃って溜息をつく。

「後でお兄様の婚約者候補リストが欲しいんですが」
「作っておくよ、ちなみに暫定一位はダミアン家の御令嬢だ」
レベッカのことか。彼女の人柄についても知っておきたいし今度茶会にでも誘うことにしよう。





「そういえば、呪われた家系って何ですか?」
モラン辺境伯が捨て台詞に吐いていた。恐らくベーカー家のことを指しているんだろうが意味がよく分からない。アルフレッドの目に一瞬動揺が走った気がする。
「君は知らなくていい事だ」
珍しい。今度は私の方が驚かされてしまった。彼が質問に対して回答を渋るなんて余程答えにくいことなのだろうか? 後で調べておくことにしよう。言いたいことは概ね言えたので早いところ退散するか。


「じゃあ頑張ってね、悪役令嬢さん」
アルフレッドはさっきの事なんて無かったように張り付いた笑顔を飾っている。
「そちらも頑張ってくださいねお父様」

二人の悪役は内心どうであれ爽やかな笑みを浮かべながら互いに奨励し合ったのだった。














    
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