悪魔の手も借りたい!

どてら

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悪魔召喚

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 自分で呼び出しておいてなんだが、本当にいるとは思わなかった。
「俺様を召喚したのはお前さんか? また随分ちんちくりんな小娘だな」
「.......あ、悪魔?」
「はぁ~自分が何呼び寄せたのかも分からねぇのかよ」
堂々と仁王立ちで私の前に君臨する男こそ、私が勢いとやけくそで召喚してしまった悪魔らしい。人の姿形をしながらも耳や歯、指先は尖っていて鋭い。背中にはコウモリのような羽までこしらえて書籍で読んだ通りのナリをしていた。人で言うなら齢三十後半といったところかな? ダンディなおじ様系イケメンだ、いい筋肉してる。

見蕩れすぎていたのか、真っ赤なスカーレットの瞳がじろりと私を睨みつける。
「そんでお嬢ちゃん、願いは何だ?」
願い.......そうだ。私はこの悪魔とやらに叶えてもらわなければならない望みがあるんだ。
「世界の掌握か? 恨めしい相手の命か? 俗世の願いなら何でも叶えてやれるぜ」
「本当に!?」
「あぁ。ただし、お嬢ちゃんから一つ代償を頂くがな」
口元に弧を描きながら悪魔は問うた。私は深呼吸してから震えそうになる身体を堪えて出来るだけ平静な状態を保つ。そしてゆっくり声を出した。
「私の願いは.......この学園を無事卒業したい、それだけです」
言えた。安堵から胸を撫で下ろす。
「は? それだけか?」
「はい!」
「まぁいいか。で、何を俺様に差し出す?」
自分の心中を言葉に出来た満足感に浸る暇もなく悪魔は続けてきた。ここまで来たらどうにでもなれ。
「ありません」
「あ?」
ドスの効いた声で身体が強ばる。
「お嬢ちゃん困るよ。世の中にはルールってのがあるんだ。そっちがその気なら俺様はあんたから力づくで代償を奪わなきゃいけねぇ」
「それは百も承知です。しかしその前に私の話を聞いてくれませんか?」
偉大な悪魔様~と下手に出れば悪魔は「しょうがないな全く」と頬を掻きながら了承してくれた。意外に話を聞いてくれるタイプらしい。
「まず第一に、私には差し出せる代償がありません。もっと言うなれば私自身にすらその価値はありません」
例え命を差し出したところで対価には及ばないだろう。
「.......あんま自分のこと卑下すんなって」
慰めてくれるとはなんて優しい方なんだ、悪魔だけど。
「その為私は貴方様のような偉大で崇高な方に渡せる物が用意出来ませんでした、ですが勿論対価を踏み倒すつもりは毛ほどもございません!」
借りた物は返す主義ですから。
「じゃあどうする気だ?」
「対価とはつまり同等のものを与え合えればいいということ」
「お、おう?」
これは賭けだ。どうせこのままならお先真っ暗転落人生が待ち受けているのだから悪魔だろうが何だろうが言いくるめて協力してもらわないと。


「私の願いを聞き届けて下さい、そうすれば対価として貴方様の願いを叶えます」

「正気かお前さん」

気でも狂わなければ悪魔なんて呼び出さない。覚悟なら出来ている。
「たかが学園の卒業ごときに何言ってんだ」
あ、そっちか。てっきりお願いの物々交換しましょう、が怒られているのかと。
「たかがじゃないんですよ私にとっては」
学費だって馬鹿にならない。
「普通にしてりゃ卒業ぐらい出来るだろ」
「先程学校長から退学宣言されたばかりです」
「何してんだ」
それは私が知りたいところだ。昔から努力は人一倍してきたつもりなんだが、結果はいつもその何十倍ものしっぺ返しを食らうだけ。周りに言わせれば「報われないを地で行く」運の悪さらしい。


「とにかく助けて下さい、じゃないと私明後日の朝にはここから追い出されるんですよ」

「そう言われてもな~」
「早く願いを!!」
「立場逆じゃねぇか」
「もうゴリ押すしかないんです」
「必死なのは伝わったよ」
呆れた様子の悪魔は深いため息をつくと膝を打った。
「よし、面白そうだから契約してやる! 報酬は嬢ちゃんの卒業後でいいぜ出世払いだ」
「神か!!」
「悪魔だよ残念ながら」
悪魔様ー!! 彼の元に擦り寄り感謝を述べる。
「お嬢ちゃん名前は?」
「クロア・ユーリアスです」
「ならクロアだな。俺様のことはジャックとでも呼んでくれ」
ジャック、私の救世主(予定)。
私たちは熱い握手を交わし互いに契約文を詠み上げた。これで二人もと契約を破ることは出来ない。

「そんでどういう訳で退学しそうになってんだ?」
「教師を怪我させてしまったので」
「.......大人しく退学しとけ」
契約は結んだ者勝ちである。

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