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18 普通の男女交際って
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昼休みにそそくさと教室を出ようとしていたらメグのヤツに呼び止められた。
こいつは今の状況で僕なんかに近づいてきたら自分の身に火の粉が降りかかりかねないというのに勇者だな。
「今日もお前パンか?」
「そうだよ」
「おぉ、んじゃ一緒に行こうぜ。俺も今日はパンだからさ」
そう言って何食わぬ顔で僕に並んでくる。
スクールカーストでは僕と違って上位にいるメグなら僕について言われてることをもう知ってるはずだ。
何かきっと僕に言いたいことでもあるのだろう。
「あぁー、羽深さんとなんかあったの?」
歩き始めてすぐにどストレートな物言いで訊いてくるメグ。
まあ長い付き合いのやつだから変に気を遣って遠回しな言い方されるよりよっぽどいいかと思う。
「うーん。ざっくり説明すると、色々あって朝羽深さんと一緒に登校したんだけどさ。それで教室に羽深さんと二人でいたもんだからそれを佐坂君に見咎められた」
僕はメグに要点だけを端的に説明した。
「なんじゃそりゃ? ふーん、しかし一番めんどくせーヤツに見られたもんだなぁ」
「ふん。まぁね」
「てかさ、お前らもしかしてもう付き合ってんの?」
「えぇ? 誰がだよ」
「いや、もしかしてついにお前が羽深さんに告ったのかなと思ってさ」
「はぁっ!? な、なんで僕がっ?」
「何を白々しいリアクションを。楠木が羽深さんのことを好きなのはバレバレじゃん」
なんでバレてんだよ!?
こいつ人の心が読めるのか?
「わかるっつーの。だっていっつも羽深さんのこと目で追っちゃってるしさぁ」
「マジかよっ? でもだからって僕なんかと羽深さんが付き合うなんて飛躍しすぎだろっ」
「そうか?」
「あ、当たり前だろ」
「ふぅん……」
メグは顎に手をやって何か考えるようなそぶりをしている。
「ま、いっか」
その件でそれ以上絡んでくるわけでもなく、執着なくその話はそこで一旦終わった。
購買でパンと飲み物を買ったら、メグはじゃあなと言ってさっさとどこかへ行ってしまった。
教室に戻って昼休みを過ごすのも気まずそうなので、僕は今日も校庭の隅にある植樹の下の芝生がある場所で過ごすことにした。
パンをかじりつつ、形を変えながら流れて行く雲をぼんやり眺めていたら、曜ちゃんからThreadが届いた。
缶コーヒーで口の中のパンを流し込むように飲み込んでから画面を開いた。
いつものように手作り弁当の画像付きだ。
羽深さんといると乱気流に入った飛行機に乗ってるみたいに感情が乱高下するけど、曜ちゃんにはほっこり癒される。癒し系の女子だ。
と言ったって曜ちゃんも相当な美少女だ。
きっと学校ではモテるんだろうなぁ。そう考えると学校での彼女を知らないだけで実際には高嶺の花的な存在なのかもしれないけども。
曜ちゃんたちのバンドTHE TIMEがついにライブをやるらしい。
近々正式にオファーが行くと思うのでまた一緒にやれたら嬉しいと書いてあった。
一緒に演れたら僕も嬉しいな。
正式に話が来たら是非とも引き受けよう。
あれ以来THE TIMEの他のメンバーとは全然連絡を取っていないが曜ちゃんとだけは結構密に連絡を取り合っている。
また会えるのが楽しみだなぁ。そう思っていたらまた曜ちゃんからの着信。
『タクミくん、今度の日曜日空いてる? 二人で遊びに行こーGO!!GO!!ヾ(>∇<*)o』
二人で……だと……?
こ、これは……噂に聞くデートってやつでは……?
男女が二人で遊びに行く……うぅむ……デートのような気がするけど……しかし文面にそうは書いてないしな……うん、縦に読もうが斜めに読もうが何度読んでもデートとは書いてないな。
気になってネットでデートについて調べてみると【男女が日時を決めて会うこと。その約束。】と定義されている。
今度の日曜日に僕(男)と曜ちゃん(女)が会う約束をする……。
うむ。デートだな。
なんか曜ちゃんと僕の間柄って順調にステップを踏みながら発展してきてる気がするな。
普通の男女交際ってこんな感じなんじゃないだろうか。
いつかそのうち僕か曜ちゃんかどちらからか告白とかしちゃったりなんかして……。
羽深さんの場合はジェットコースターみたいに刺激的だけど、気がついたら全然距離が縮まってない気がするというか……急接近したかと思えば結果的には距離の遠さを確認してるだけのような……。
『都合悪かった?』
おっと。僕がデートの意味を調べたりなんだりしてたから返事が遅れた。
僕は曜ちゃんへの返信をする前になぜか深呼吸をしなくてはいけなかった。深呼吸をして覚悟のようなものを決めてから曜ちゃんへの返事を送った。
『OK! 楽しみだな。どこに行こうか?』
返事をしてから僕は、これもドッキリとかじゃないよな? と怪しくなって辺りをキョロキョロ見回したが大丈夫そうだった。
『ヾ(๑╹◡╹)ノ" わーい
(●≧∀≦)ゞャッタゼ*:゚・☆
じゃあ考えとくね!
タクミくんも行きたいとこ考えておいてネ♡』
ふぅう……。
デートの約束しちゃったぞ……!
人生初デートだ!?
と一旦浮かれたが、明日の朝の登校について考えたらまた元のどよんとした気持ちに戻ってしまった。手放しで喜んでばかりはいられない。
そうだった。
週末のビッグイベントを迎える前にさしあたって対処しなくてはならない問題が目の前に立ちはだかっているのだった……。
明日の登校、どうしよう……。
こいつは今の状況で僕なんかに近づいてきたら自分の身に火の粉が降りかかりかねないというのに勇者だな。
「今日もお前パンか?」
「そうだよ」
「おぉ、んじゃ一緒に行こうぜ。俺も今日はパンだからさ」
そう言って何食わぬ顔で僕に並んでくる。
スクールカーストでは僕と違って上位にいるメグなら僕について言われてることをもう知ってるはずだ。
何かきっと僕に言いたいことでもあるのだろう。
「あぁー、羽深さんとなんかあったの?」
歩き始めてすぐにどストレートな物言いで訊いてくるメグ。
まあ長い付き合いのやつだから変に気を遣って遠回しな言い方されるよりよっぽどいいかと思う。
「うーん。ざっくり説明すると、色々あって朝羽深さんと一緒に登校したんだけどさ。それで教室に羽深さんと二人でいたもんだからそれを佐坂君に見咎められた」
僕はメグに要点だけを端的に説明した。
「なんじゃそりゃ? ふーん、しかし一番めんどくせーヤツに見られたもんだなぁ」
「ふん。まぁね」
「てかさ、お前らもしかしてもう付き合ってんの?」
「えぇ? 誰がだよ」
「いや、もしかしてついにお前が羽深さんに告ったのかなと思ってさ」
「はぁっ!? な、なんで僕がっ?」
「何を白々しいリアクションを。楠木が羽深さんのことを好きなのはバレバレじゃん」
なんでバレてんだよ!?
こいつ人の心が読めるのか?
「わかるっつーの。だっていっつも羽深さんのこと目で追っちゃってるしさぁ」
「マジかよっ? でもだからって僕なんかと羽深さんが付き合うなんて飛躍しすぎだろっ」
「そうか?」
「あ、当たり前だろ」
「ふぅん……」
メグは顎に手をやって何か考えるようなそぶりをしている。
「ま、いっか」
その件でそれ以上絡んでくるわけでもなく、執着なくその話はそこで一旦終わった。
購買でパンと飲み物を買ったら、メグはじゃあなと言ってさっさとどこかへ行ってしまった。
教室に戻って昼休みを過ごすのも気まずそうなので、僕は今日も校庭の隅にある植樹の下の芝生がある場所で過ごすことにした。
パンをかじりつつ、形を変えながら流れて行く雲をぼんやり眺めていたら、曜ちゃんからThreadが届いた。
缶コーヒーで口の中のパンを流し込むように飲み込んでから画面を開いた。
いつものように手作り弁当の画像付きだ。
羽深さんといると乱気流に入った飛行機に乗ってるみたいに感情が乱高下するけど、曜ちゃんにはほっこり癒される。癒し系の女子だ。
と言ったって曜ちゃんも相当な美少女だ。
きっと学校ではモテるんだろうなぁ。そう考えると学校での彼女を知らないだけで実際には高嶺の花的な存在なのかもしれないけども。
曜ちゃんたちのバンドTHE TIMEがついにライブをやるらしい。
近々正式にオファーが行くと思うのでまた一緒にやれたら嬉しいと書いてあった。
一緒に演れたら僕も嬉しいな。
正式に話が来たら是非とも引き受けよう。
あれ以来THE TIMEの他のメンバーとは全然連絡を取っていないが曜ちゃんとだけは結構密に連絡を取り合っている。
また会えるのが楽しみだなぁ。そう思っていたらまた曜ちゃんからの着信。
『タクミくん、今度の日曜日空いてる? 二人で遊びに行こーGO!!GO!!ヾ(>∇<*)o』
二人で……だと……?
こ、これは……噂に聞くデートってやつでは……?
男女が二人で遊びに行く……うぅむ……デートのような気がするけど……しかし文面にそうは書いてないしな……うん、縦に読もうが斜めに読もうが何度読んでもデートとは書いてないな。
気になってネットでデートについて調べてみると【男女が日時を決めて会うこと。その約束。】と定義されている。
今度の日曜日に僕(男)と曜ちゃん(女)が会う約束をする……。
うむ。デートだな。
なんか曜ちゃんと僕の間柄って順調にステップを踏みながら発展してきてる気がするな。
普通の男女交際ってこんな感じなんじゃないだろうか。
いつかそのうち僕か曜ちゃんかどちらからか告白とかしちゃったりなんかして……。
羽深さんの場合はジェットコースターみたいに刺激的だけど、気がついたら全然距離が縮まってない気がするというか……急接近したかと思えば結果的には距離の遠さを確認してるだけのような……。
『都合悪かった?』
おっと。僕がデートの意味を調べたりなんだりしてたから返事が遅れた。
僕は曜ちゃんへの返信をする前になぜか深呼吸をしなくてはいけなかった。深呼吸をして覚悟のようなものを決めてから曜ちゃんへの返事を送った。
『OK! 楽しみだな。どこに行こうか?』
返事をしてから僕は、これもドッキリとかじゃないよな? と怪しくなって辺りをキョロキョロ見回したが大丈夫そうだった。
『ヾ(๑╹◡╹)ノ" わーい
(●≧∀≦)ゞャッタゼ*:゚・☆
じゃあ考えとくね!
タクミくんも行きたいとこ考えておいてネ♡』
ふぅう……。
デートの約束しちゃったぞ……!
人生初デートだ!?
と一旦浮かれたが、明日の朝の登校について考えたらまた元のどよんとした気持ちに戻ってしまった。手放しで喜んでばかりはいられない。
そうだった。
週末のビッグイベントを迎える前にさしあたって対処しなくてはならない問題が目の前に立ちはだかっているのだった……。
明日の登校、どうしよう……。
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