父を訪ねて隣町

上坂 涼

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父を訪ねて隣町

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 私にはお父さんがいない。
 どうやら私が三歳の頃に離婚したらしかった。それを初めてお母さんに質問した当時の私は小学校低学年で離婚の意味が分からず、お母さんも小さい私にはまだ酷な話だろうと、適当な事を言ってはぐらかしていたと、小学五年生の頃に告白された。
 それから月日が経って、私は自分の置かれた家庭環境を徐々に把握し始めた。
 お母さんに離婚した事やお父さんの事を聞くのがどこか申し訳なくて、中学生になる頃には、自分からお父さんの事を考える事はやめていた。
 それでもやっぱり、頭の片隅にお父さんの姿は消えずに残っていて……私は、その姿から目を逸らす事しか出来なかった。
 中学生の私までは。
「絵美―! 高校遅刻しちゃうわよー!」
 勉強机に座って、考えを巡らせている私にお母様からのお呼びがかかる。
「……」
 よし。決めた。
「あら。寝てるのかと思えば、なにやってんのよ。返事もしないで」
 お母さんは、私を高校に遅刻させまいと起こしに来たようだ。部屋奥にあるこの勉強机からでも分かるくらいにお母さんは目の下にクマを作っていた。
 私が小さい頃から、女手一つで仕事も家事もこなしちゃってさ。いつまでも新しい男作らないし……本当にこの人は。
「お母さん。私、決めた」
 特に表情を作らずに発言した私の様子に少し思うところがあったようで、お母さんは少し身構えたが、親としての発言を続ける。
「休むとかそんなの駄目よ。もう少しでテストでしょ?」
「休むことには違いないけど……。違うの」
「え、なによそれ。よく分からないんだけど」
 私は、先ほど決意した事を単刀直入に述べた。
「お父さんに会いたい」
「えっ」
 私の発言にお母さんはとても驚いた。大きく目を見開くことも無く、大げさに身じろぎする事も無く……ただひたすら静かに、静かに驚いた。
「駄目?」
 お母さんは動揺していた。お母さんは動揺すると眉が下がり不安そうな表情をするので、すぐ分かる。
「え、いや、そんなことは無いけど……」
「じゃあ今日、会いに行く」
「ちょっと、ちょっと待ってよ。 そんないきなり今日会うなんて、あの人の都合もあるだろうし……学校もあるでしょ?」
 もう一つ。お母さんが動揺しているときは、声も弱々しく小さな声になるのだ。反応が素直過ぎて分からない方がおかしい。
「大丈夫だよ。学年成績三位だし。実に有意義なサボリだし」
 それでもきゅーんきゅーん泣く犬のように、四の五の言うお母さんにズバりと切り込む。
「じゃあ電話してみよう。私が電話しても良いよ」
 私は揺るがない。こうしたいと思ったら、すぐに行動する。じゃないとなんか、すっきりしなくて気持ち悪い。
「分かった……電話してみる。けど、どうしていきなり? 今まで一度もお父さんの事なんか聞いて来なかったのに」
「いきなりじゃないよ。お父さんの事はずっと考えたよ」
「……そう」
「うん。やっぱり離婚してても、私のお父さんだもん。一度も会ってないなんておかしいよ」
「そうよね……うん。確かにそうだ。学校とお父さんの両方に電話してくるから、支度しときな」
「うん分かった」
 どうやら、お母さんも腹を決めたらしく、無表情を作ると電話をしに一階へと降りて行った。私と同じで、お母さんも何か決意したときは無表情になる。
 別にマザコンとかじゃないけど、あ、一緒だ。って思う部分があるとなんか嬉しい。
 いや、やっぱりこれってマザコンなのかな。
 とかそんなアホな事を考えながらも、支度を済ませる。
「お父さん良いって」
 一階から電話を終えて戻ってきたお母さん。
 私はその時、落ち着いた服装の方が良いのか、少し派手な服装の方が良いのか、着ていく服装選びに右往左往していた。
「……なにしてんのよ」
 お母さんは呆れた声を出す。
「あはは……」
「絶対、自分で掃除しなさいよ?」
 それも当然。チェックのロングスカート、白の花柄チュニック、ポンチョ風のブラウス、デニムショートパンツ、黒タイツ、橙のジャケットやらなんやら。自分の持っている大量の服を私はあちらこちらに散らかしていたのだ。呆れない方がおかしいだろう……だがしかし。
「いや、なんか舞い上がっちゃって。だって初めて会うんだよ? 服装大事でしょ!」
 というわけだ。今回だけは大目に見てほしい。
「そんなもの、いつも通りでいいのよ」
「学校のジャージ?」
「前言撤回。私が意見出してあげるから、存分に悩んで着替えなさい」
「はい」
 かくして、お母さんのアドバイスの下に決めた結果、私の服装は高校の制服となった。
「なんでよ」
「それが一番、あんたらしくて良いじゃないの」
「意味分かんないんですけどー」
 とか言いつつ、確かにこれが一番無難かもしれないと思い始めている自分が悔しい。
「けど、これでようやく会いに行けるんだ」
「うん。そうだね。あの人も言葉や様子には出してなかったけど、あんたに会えるのが嬉しいみたい」
 お母さんは感慨深そうな表情を浮かべていた。何故か、その表情はどこか寂しげにも見えた。
「え、どうして分かるの?」
「分かるわよ。雰囲気で」
 ……そんなもんなんだ。やっぱり夫婦って凄い。きっとそれは友達とか、親友とか、恋人とかそういう次元とは違うものなのかもしれない。なんか、超越! って感じがする。
「へー。さすが元夫婦」
「うるさい」
 そう言って、お母さんは複雑な表情を浮かべた。ちょっと罪悪感。
「じゃあ気を付けて行ってらっしゃい。はい、これ住所が書いてある紙」
 そう言ってお母さんは、私の目の前にメモを差し出す。
 しかし、私はお母さんの発言に身動きを止めていた。
「え、一緒に行くんじゃないの!?」
「行かないわよ。何言ってんの」
「えー。行こうよー」
「嫌よ。大人には大人の事情ってもんがあるのよ」
「またそんなこと言って」
「はいはい。とにかくお母さんはあの人には会えない。察しなさい」
「何を察するのか全然分からないんですけど」
「このメモ渡さないわよ? あんた自身がお父さんに会いたいんでしょ?」
「えーそうだけどさー」
 私は駄々を捏ね続けた。
「さあどうするの?」
「うー。分かったよ。もう」
「はい、メモ」
 私は少しふてくされながらも、紙を受け取った。
「株式会社……ポニー? 大場(おおば)、武彦(たけひこ)?」
 受け取った紙を確認すると、まず目に入ったのが隣町にある超有名IT企業の名前と、その社長の名前だった。
「お母さん。紙、間違えてるんじゃないの?」
「別に間違えてないけど」
「ということは……。え。え、えぇ!?」
「そういうこと」
「……」
 思わず言葉が出なかった。
 目の下にクマを作りまくって苦労している、目の前の女性は、超有名企業の社長が元夫だと仰られている。
「どうして別れたの!? お金持ちじゃん!」
 するとお母さんは、再び寂しそうな表情を浮かべてこう言った。
「あんたも好きな人が出来たら分かるわよ。あんたの年頃だとそうね……。部活動をやってて、さらに部活動に真剣な人だったら間違いなく理解するわ」
「全っ然わかんないんだけど!」
「それが若いって事よ」
 その言葉に、私は眉間に皺を寄せた。
「なんか腹立つんですけど」
 そういう上から目線の発言は凄くムカつく。達観しているというかなんというか。
「いいからほら、とっとと行ってきなさい。あの人も、あんたの為に無理やり時間を作ったみたいだから」
 そう言って、背中を押されて部屋から出される。
「え、え。ちょっと。ポニーに直接出向けって事!?」
「そうだけど?」
「そうだけどって……会社に赴くとか相当な勇気いるでしょうが。しかも学生服……」
「じゃあやめる?」
 私は一瞬悩む。
「……行く」
「さすが我が娘。頑固だ」
 頭をぐしゃぐしゃ乱暴に撫でられる。
「うるさいなぁ」
 少し嬉し、少し恥ずかし。少しムカつき。
 一階に降りて、玄関に向かう。
 私は床に腰を下ろして、靴を履いた。
「じゃあ、行ってくる……」
「おう! いってらっしゃい。あの人によろしくね」
 またお母さんは複雑そうな表情だった。
「うん」
 私はお母さんに返事をすると、外に出た。

 隣町へは自転車で行くことにした。そこまで遠い距離じゃないからだ。
「二人の間になにがあったんだろう」
 道中、私はずっと二人の事を考えていた。
 私の勝手な憶測では、経済面だと思っていた。きっとリストラとか食らって、離婚。みたいな。
 だけど現実は、超有名企業の社長。私の中のお父さんのイメージがガラッと変わる。
 大きくて、メガネかけてて、太ってるけどクマみたいで憎めないような人当たりの良いオジサン的なイメージが、ワックスで髪を整えてて、ビジネススーツを着てて、メガネかけてて、姿勢が良くて……なんかジェントルマン的な。そんなものにすっかりイメージが変わってしまった。
「同じのメガネかけてる部分しかないじゃん……」
 私はお父さんの事を全く知らない。
 良い人なのか、悪い人なのか。顔も、見た目も、身長も、趣味も、性格もなにもかも知らない。
 だけど。これだけは。
 お母さんの事を愛していたという事だけは、間違っていない気がするんだ。
 お母さんの、あの様子を見ていると分かる。
 ただ、何かどうしても別れなきゃいけない理由があって、別れちゃっただけ。そんな気がした。
「だけど、その肝心の理由ってのが分からないんだよなぁ」
 私はペダルを何度も交互に強く押し込んで、自転車のスピードを上げた。

 稲荷坂を颯爽と下り、六本木へと向かう。会社は六本木交差点から徒歩三分のところにあった。都営大江戸線四番出口から徒歩五分の超高層ビルが今回の目的地。
「こ、ここが入り口……だよね?」
 近場の有料駐輪所に自転車を止めて、徒歩で目の前までやってきたわけだけど。
「でけえ!」
 私を見下ろすこのビルは、いったい何階建てなのだろう? この最上階にお父さんがいて、でーんと椅子に座ってるわけ? す、すごすぎない?
 しかし幸いにも待ち合わせ場所は、一階に設けられたカフェ店内だ。自動ドアをくぐって、ひょいと小走りすればミッションクリア。臆することはない。
 と、自らを鼓舞するも、スーツ姿の老若男女が自動ドアをくぐっていく度に、学生服姿である自分の場違い感が高まっていく。
「お母さんのバカ!」
 やっぱり制服なんかで来るんじゃなかった。
 そんなこんなで、小一時間ほど株式会社ポニーの前で右往左往していると、自動ドアからハンバーガーが好きそうな巨漢が出てきた。大人気朝アニメの女の子キャラクター二人がプリントされたTシャツを着ている。
「あれ、なんか私より場違いな人が出てきた」
 その人は私の姿を認めると、大きく手を振ってきた。
「おーい! 絵美! こっちこっち」
「え、え、お父さん!? 嘘でしょ!?」

 一階に設けられたカフェは有名なチェーン店などではなく、個人経営店のようだった。
 お父さんのはしゃぎようは傍目に見ても明らかで、ビルに入り、店内の席に着いてコーヒーを注文するまでの間で、十回以上は「ほんと大きくなったなあ」というフレーズを発していたと思う。
「コーヒー平気か? ここのは最高に旨いんだ。一目惚れして、オファーした店でさ」
 まさかの社長が直々に引き込んだお店だとは……。なんでもありか。
 お父さんが私をまじまじと見つめてくる。
「な、なんですか」
 思わず敬語になってしまった。だけどしょうがない。体重百二十キロは超えているだろう熊みたいな身体に、丸メガネにアニメTシャツ。こんなオタク全開のファッションだなんて、誰が想像出来るの? お母さんはこういうところで愛想を尽かしたのかな。
 ……まあ、それでもお父さんはお父さんだ。変態っぽいけど悪い人ではなさそうだし、作戦を続行しよう。
「いや、もう高校生二年生なんだなあと思ってね」
「あれ、学年知ってたの?」
 お父さんがふふんと腕を組んで腹を揺らす。ゼリーみたいだ。
「当たり前だろう。大事な愛娘だ。ちゃんとお金は使っているか?」
「え、お金って?」
 またもや予想だにしないワードが飛んできた。私の反応にお父さんは額に手をあてた。
「……そうか。梢(こずえ)のやつ、未だにくだらない意地を」
「ねえ、どういうこと?」
 私はお父さんのリアクションにムッとしていた。くだらないなんて言葉を使わないでほしい。上から目線な感じがする。
「二人には良い生活をしてほしいから、毎月百万円を振り込んでるはずなんだ」
 ひゃ、ひゃく!?
「なあ、お母さんは仕事をしてるんじゃないのか?」
「……え、昔からずっとしてるけど」
「やっぱり。金には困らないだろうに、なんでわざわざ」
 しばしの沈黙が訪れた。お母さんがこの人と離婚した理由が分かってきた。と、思う。
 お待たせしました。と、店員さんがコーヒーを持ってくる。
「ありがとう。ほら、絵美。旨いから飲んでみろ」
「うん」
 言われるがままにコーヒーをすすってみる。
「美味しい! コーヒーってこんなに美味しかったんだ」
「そうだろうそうだろう」
「……うん」
 満面の笑みを浮かべる父親を見て、私はまたもや理由が分からなくなってきた。
「驚くなよ? このコーヒーショップも、こんなに美味いってのに閑古鳥が鳴いてたんだ。だから俺が手を差し伸べた。正しいものは、正しく評価されるべき。お前もそう思わないか?」
「うん、そうだね」
 お父さんは、頑固な人なんだなと思った。自分が正しいと思ったことを貫いてしまう。私も頑固だからよく分かる。
「はあ」
「ん、なんだどうした?」
「いや、やっぱり私はお父さんの娘なんだなーと思って」
 先程より大きく笑って、腹を揺らすお父さん。
「ははは。そうだな。突然思い立って、学校休んで、お母さんも説得してきたんだからな。梢から話を聞いた時、俺の娘だなあと思ったよ」
 それから二時間ほど、お父さんと話し込んだ。学校のこと、仕事のこと、友達のこと、映画のこと、ドラマのこと。十年以上も会っていなかったなんて、嘘なんじゃないかと思うほど楽しかった。
 ここでそろそろ本題に入る。作戦決行だ。
「ねえ、お父さん」
「ん?」
「お母さんとやり直そうよ」
 これまでのニコニコ顔から、すとんと口角が下がってブルドッグ顔になる。
「いやいや、無理だよ。僕が良くても梢が首を縦に振らないよ」
「てことは、お父さんはやり直したいと思ってるんだね」
「そりゃ、まあ。けどほら、身を粉にして二人の為に働いて、お金を沢山稼いでも振られたわけだし。未だに振られた理由が分からないんだよ。そもそも今更になって、やり直そうだなんて言えるわけないし」
「お父さんのバカ!」
 私はシュバっと立ち上がって叫んだ。周りの視線が集まってきたけど、知るもんか。
「お、おいおい。落ち着け」
「どうして決めつけるの!? お母さんの気持ちはお母さんしか知らないのに!」
 その言葉を聞いて、お父さんは力なくうなだれた。
「そうなんだけどね。聞く勇気が持てないんだよ。男のプライドっていうのかな。情けない限りだ」
 私はさらに顔を真っ赤にして怒鳴った。
「聞いちゃダメでしょ!」
「え、ダメなの?」
 父親のその答えに、思わずため息が出た。おもむろに椅子へと腰を落ち着かせる。周りから嘲りと苦笑と微笑みが一斉に投げかけられているのを肌で感じた。
「あのね、お父さん。貧乏な人には彼女や奥さんがいないとでも思ってる? 一緒に朝起きて、一緒にご飯食べて、一緒に寝るだけで良いんだよ」
 お父さんは、ふるふると頭を振った。
「でも、僕には……自信がないよ」
 父親らしさを微塵も感じないリアクション。それもそうか。私が三歳の頃に離婚したのだから。もしや私の方が恋愛上手なのでは? それならば。
「もう! しょうがないなあ! それでも社長なの?」
 私は再び立ち上がり、腰に両手を当てた。
「私がお父さんをプロデュースしてあげる」

 お父さんとは大学生の頃に出会ったらしい。お母さんは夢を追いかけるひたむきな姿勢に惚れたんだって。告白はお母さんから。プロポーズはお父さんから。いつもお母さんがリードしてたから、お父さんは甘えていたんだと思う。
「絵美! お母さんから返事が返ってきたぞ!」
「当然」
 単純に百万円振り込むよりも、少額のお金に手紙を添えて、買ってほしいものを書いておいた方が嬉しいもんだ。プレゼントが一番理想だが、お母さんの好きなものをそこまで知らないらしい。我が父ながら、とんでもない男である。
「ちょっと待ってね。今、メール開いてみるから」
 あれから私は、時々お父さんとデートしている。お母さんを大事に出来る男に育てあげる重要なミッションを遂行中だ。お母さんには出来ないミッション。娘である私だけが出来るミッション。
「今日はこのお金で、絵美の大好物のミートスパゲティを作ろうと思います。だってさ! やったな絵美」
「よっしゃ!」
 思わずガッツポーズ。
「ところでクレープが一つしか無いみたいだけど?」
「ああ。絵美が食べたかったクレープは材料切れだったらしくて、僕のだけ買ってきた。食べる?」
「はあ!? それなら他の買ってくれば良いでしょ!」
「いやあ、嫌いなクレープだったらどうしようかと思って」
 ははは。と片手で後頭部を掻いている父親の脳天にぺしんと平手を食らわせる。
「嫌いなクレープなんてあるか! そういうとこだよ!」
「父親を叩くなんて……ひどい」
「うじうじするな! 前を向け! お母さんに見直してもらうんでしょ!」
 オタク全開ファッションの中年が、制服姿の私を子犬のような目で見つめてくる。この光景を周りはどう捉えるのだろうか。考えたくもない。とにかくファッションの改善を最優先でいこうと決めた。
「とにかくもう一個、クレープ買ってきて!」
「ええ、またあの行列を並ぶの?」
 無言で父を見つめる。
「分かった。分かったよもう」
「ありがとう。その間、お父さんが買ってきたクレープを食べて待ってるから」
「おいおい、それじゃあ今から僕は自分のを買ってくるってことか? それなら別に僕は食べなくても」
 ビシッと行列を指して一喝。
「つべこべ言わずに並ぶ!」
「はあ……やだなあ」
 娘に言われて、のろのろと行列の最後尾に向かう父親。あれでも社長なのだから、実は社長という職業は大したことないのではと思ってしまったり。
「前途多難だなあ。本当に見直す気あるのかな全く」
 そんなダメパパの背中を見つめながら、クレープに口をつける。
「あ。お父さんって、みかん好きなんだ」
 ふふっと笑って、私は口元に付いた生クリームを指で拭った。
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