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1、
しおりを挟む「お姉様、婚約者をください」
「──は?」
今朝はいつもより少し早起きして、朝食を済ませた。部屋に戻り身支度をしているのが今の状態。
準備が出来たら婚約者に会いに行こう。
そう思ってたのに。
突然の妹の来訪。妹──ビリア。これから出るので用件は後にして。そう言ったのに、待つことなくビリアは言い放った。
それが冒頭の台詞である。
何を言われたのか理解するのに数秒。理解できても理解できない。この子は何を言ってるのだろうか?
「婚約者?私の婚約者って……マシュー様のこと?」
「それ以外の誰が居るのですか」
そうね。私もそう思う。
私には婚約者は一人しか居ない。普通はそうだと思う。
そして私の婚約者は、我が国の第二王子であるマシュー様だ。17歳の私。一つ上になる彼はもうすぐ貴族が通う学園を卒業し、本格的に王族の仕事を学び始める。それはつまり、次期王となる第一王子の補佐としての仕事。を、開始するということだ。
更に一年後、私が卒業すると同時に結婚する事が決まってる。その一年の間に、彼は日々研鑽し、立派な公爵家当主となる事を誓ってくれた。
親同士が決めた婚約だけど、私はマシュー様が大好きだし、彼もまた私を愛してくれた。
ちなみに今日は、もうすぐ卒業の彼に贈り物を届けに行く予定。
私達の関係は良好で、何ら問題はない。
有るとしたら。
「お姉様は醜いから、マシュー様が気の毒です。だから私が彼と結婚すれば全て丸く収まるというもの。公爵家は予定通りにマシュー様を後継となる婿とお迎え出来るし。マシュー様も美しい私が妻となりハッピー、私もハッピー。ほら、何の問題もないでしょ?」
「大有りです。というか私の幸せは?」
そこ抜けてない?
言ったら、フンッと笑われた。鼻で笑われた!
「ビリア?」
「お姉様ったら、そんな醜い容姿をしながら幸せになろうと思ってるんですか?図々しいにも程がありますわ!」
随分と酷い事を言われてる気がするけど。ここは黙って聞いておくべきなのかしら。
「お姉様は一度鏡を見た方が宜しいんじゃないでしょうか?かなり人を不快にする容姿ですわよ」
鏡なら先ほど、着替える時に見てたけど。
別に特別美人だとは思ってないけれど、私は普通だと思ってる。ただ美の基準なんてひとそれぞれだ。私はそう思ってなかったけど……そんなに酷いかしら?
「私ってそんなに醜いかしら?」
「そりゃもう!今度鏡を送って差し上げましょうか?」
いや、持ってるからいらないけど。鏡を複数持って自分を見まくるって、どんだけナルシストなのよ。
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