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5、悪役令嬢の仕事キッチリこなします!
しおりを挟むんが!
現実は当然そんなに甘くないよなあ。
ヒロインがそんな簡単に諦めるわけないよねえ。
「まあ、それではベルシュ様は卒業と同時に即位されるのですか?」
「そうだね、父上も高齢だから……そうなるだろうね」
「ではすぐにご結婚もされるんでしょうか?」
「う~ん、それはどうかなあ」
これ、ヒロインと王太子の会話ね。
場所は学園の中庭。
据え置かれたテーブルと椅子。そこでほのぼの王太子と二人で会話してたら、なんかやって来た。
ヒロインだから許されるとか思ってるかもしんない子がやって来ましたよ。
聖女かもしれない彼女は(まだ確定したわけでは無い。確かゲームの終盤じゃなかったっけなあ)、子供の居ない伯爵家の養女となったんだけど。
馴れ馴れしく王太子に話しかけられる立場ではないんですが。
「え~、卒業と同時に結婚なんて素敵ですう!憧れちゃうなあ!」
まあ常識無いもんね、ヒロイン。ヒロインだもんね。この言葉で全て許されると思ってる存在だもんねえ。
「でもアンナシェリは一学年下だから。卒業を待ってからかな?」
そこで私に話ふるなし。
いやまあ私が婚約者なんだからふられるだろうけどさ。
「わたくしはちゃんと卒業して地盤を固めてからでないと嫌ですわ」
チロリと二人を見やって言えば
「えー!私なら愛する人と結婚出来るならすぐにでもしたいなあ!アンナシェリ様あ、ベルシュ様への愛が足りないんじゃないですかあ?」
いちいち語尾伸ばすやっちゃなあ。イライラするわ!
てか何王太子の腕に手をからめてんだよ。
王太子困ってんじゃねーか。
「ミサキさん、そんな風に殿方の腕に軽々しく触れては……」
「やだ、アンナシェリ様、嫉妬ですかあ?それとも嫌味ですかあ?虐めですかあ?それくらいで睨まなくてもいいと思うんですけどお」
イラッ
「淑女として当然の事をご存知ないようなのでお教えしたまでのことですよ」
「えーだってしょうがないじゃないですか、私いきなりこの世界に飛ばされたんですからあ。この世界の常識なんて知りませんよ。思いやりないなあ、アンナシェリ様あ!」
イライラッ
「こちらの世界に来てからそろそろ半年は経つとお聞きしましたわよ。まだ常識を理解出来てないのはミサキさんの能力値が低いからでは?」
「酷い!アンナシェリ様ってなんて意地悪なんですか!酷い~!ベルシュ様、アンナシェリ様がいぢめるぅ~!」
イライライライライラあああっっっ!!!!
「まあまあミサキ、アンナはきみのことを思ってだね。アンナ、もう少し優しい言い方を」
ブチッ
よし分かった。
優しく教えてやろうじゃねえか。
誰でもない、王太子の命令なんだ、聞いてやろうじゃねえかあ!!!
「よし分かった、表出ろや小娘」
「え」
「えじゃねえ、外出ろ小娘」
「いやここ中庭、外──」
「こっち来いやあ!」
悪役令嬢らしく、教育してやろうじゃねえかああ!!!!
その後。
シッカリ締めてやりましたよ。
長時間説教タイムしましたよ。
ネチネチネチネチ
これでもかってくらいにネチネチと教えてやったわ!これで暫くは大人しくしてるだろ。舐めんな小娘、こちとら前世と合わせりゃ40年以上の人生経験があるんじゃ!
そんな鬼になって説教してる私を、王太子、ニコニコして見てましたから。半泣きのヒロイン助けること無く。「アンナは面倒見のいいお姉さんたなあ」とか呑気に言いながら。
そうです、私の素などとっくに王太子に見せてるからね!
能力値を上げるとか有能ぶりを発揮とか一切しなかった私。やったことと言えば素の自分を見せること。それだけ。
最初はビックリしてた周囲もそのうち受け入れてくれた。慣れって怖い。
王太子も今や私の荒っぽい言動を楽しむまでの変態──もとい、心の広い方となりましたよ。
ちなみにシンディはこんな私の性格にむしろ惚れてくれてる。ロルスは面白がっている。
みんな柔軟な心の持ち主で何より。
さてぶりっ子ヒロインや。
半ベソかきながらも、「だって、なんでえ、私わあ」とか言ってるけど。
まだやる根性はキミにはあるかな?
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