ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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21、悪役令嬢なのに…逆ハー!?

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 ベルシュ様とテリス。
 ゾルゼンスにロルス。
 その他数名の高位貴族令息たち。

 ぶりっ子に私、親友のシンディ。そしてあまり良く知らない令嬢数名。

 ロルスの父である宰相をはじめとした、国の重鎮の数々。

 玉座には国王、その横に王妃様が座っておられる。王の横に立つのは神殿の最高権威である神官長。

 なんとも物々しい面々で埋め尽くされた玉座の間は、重たい空気に支配されていた。

 その空気を破るがごとく口を開いたのは国王その人だった。

「え~さて~」

 ──もっと威厳ある言い方ないんかい!
 誰だよ、以前王宮パーティで『気品と威厳に満ち溢れた国王は、ただ存在するだけで気圧される程の威圧感を持っていた』とか言ったの。私か、私なのか!見る目ないにも程があるわ!!

「皆にも伝えたが、どうやらそこの異世界人であるミサキが聖女確定したらしい」

 あらかじめ聞いてたからだろう、特にどよめきは起こらない。が、視線はぶりっ子に集中する。それを快感とばかりにニヤニヤ笑うぶりっ子。うーん、その頬を引っ張りたい!

 皆が黙って王の言葉の続きを待つ。
 そして王はおもむろに口を開いたのだ。

「ま、そんなわけで、聖女を嫁にした者が次の王ね」

 爆弾投下と共に──











「のおおお!!ギブギブ!ギブぅぅぅ!!!」

 言わずと知れた王のギブギブが部屋中にこだまするが──助ける者は皆無だ。

 そりゃそうだろう、技をかけてるの王妃様だもの。

「国王、ギブですか、ギブですね!?じゃあ先ほどの発言は撤回ってことでいいですね!?」
「んのおおおお~~~っっ!!」
「王妃様、もっとやっちゃってください!」
「まかせなさい!」
「ふんごのおおおお~~~!」

 ふんごのおって何だろう。なんかもう悪役令嬢の出る幕無いよなあと思いながら、ボーッと目の前の光景を見つめる。

 技をかける王妃様と、レフェリーのごとく王に詰め寄る宰相。

 そんな両親の様子を無表情で見やるテリスと──笑顔が恐いベルシュ様。そうよね、王太子の自分をそっちのけで何考えてんだって発言だもんねえ。

 そもそもぶりっ子と結婚するのがベルシュ様やテリス以外だったらどうなるの?王家が変わるの?
 ここに王子二人以外の男子を呼んでる時点で、王はそれでも良いと思ってるのだろう。

 そりゃ貴族令息はもとより、そのほとんどが重鎮としてこの場にいる貴族達も目の色変えるわなあ。

 表立って王を責めないのは、不敬だからとかよりも、腹黒連中の頭の中でパチパチとソロバンがはじかれてるのだろう。どちらが得か損か!ってね。まあほとんどが自分の息子が王になる方を選ぶんだろうけど。

 大反対してる宰相は──元々息子であるロルスはベルシュ様と共に歩むのを望んでただろうし、そもそも息子を王になんて野心はないだろう。そんな宰相息子のロルス、王と王妃に宰相の様子を見てゲラゲラ笑ってるんですけど……。

 テリス王子としては、ミサキの心を射止めれば王位も転がってくるとあって、特に反対する気はないようだ。当然他の貴族令息たちも。

 じゃあ笑顔が恐いベルシュ様は?
 と恐る恐る彼の顔を窺うと。

 意外と氷のような冷たい目はしてなかった。あれ?

「ん?どうしたの、アンナ」
「え、いや……ベルシュ様は反対しないんですか?あんな勝手な王の提案を」
「う~ん、別に反対しないかなあ。むしろ他の者が王になってくれるなら喜ばしいことじゃないかなと」

 これ、つまるところはぶりっ子の結婚相手争奪戦から離脱……というか、そもそも戦線に入らない宣言なんですけどね。分かるけど分かりたくない。理由知りたくないわあ。

「アンナ、王妃になるの嫌でしょ?だったら王にならない方がアンナと楽しく夫婦になれそうだものね」

 理由、知りたくなかったわあ!
 私のために王の座を捨てるとか……なんともはや……王家でぬくぬく生きてきたお坊ちゃまのご意見ですねえ。王に成らなかったらどうやって生きてくんだろう。

「私の剣と魔法の腕は自他ともに認めるものだしね。騎士団にでも入ったら生活には困らないと思うよ」

 はい、ちゃんとお坊ちゃまは将来の事を考えてました。
 そうですね、ベルシュ様はお強いですもんね。
 剣の腕は、おそらく国最強。騎士団長も顔負けレベルですから。
 魔法の方もゾルゼンスには及ばないまでも、魔導士が集う魔塔の長が王族で無ければ是非迎えたかったと言わしめる実力の持ち主。

 そんな彼なら王族でなくてもやってけるわなあ。私一人どころか子供が複数居ても──って何考えてるんだ私は!

 ベルシュ様はお友達お友達お友達……

 去れ、悪魔の妄想!

「何ブツブツ言ってるのさ」

 自己暗示のごとくブツブツ言ってたら、ゾルゼンスに頭をポンと叩かれた。
 あ、居たんでしたっけね貴方も。

「こうなると君は王太子の婚約者ではなくなるんでしょ?なら俺なんてどう?」
「はい?」
「俺もまだ決まった相手居ないんだよね。でも天才の俺の血を残せと周りがうるさくてさあ。面倒だと思ってたけど、君なら俺も楽しく過ごせそうだし。どう?俺のお嫁さんにならない?」

 イケメンに。紫の髪と瞳のイケメンに。
 お嫁さんにならない?と言われて喜ばない女子が居るだろうか?

 ──いますよ、ここに。

「はあ?」

 思わず間抜けな声を出してしまったわ。



 
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