ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

リオール

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35、悪役令嬢は帰りたい

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「えええええ!!??」

 何ですかこれはぁ!なぜに私まで連れ去られる!?

「ちょっと待って、ちょっと待ってぇ!!」
「暴れるな危ない」
「じゃあ降ろして下さい!どうして私も一緒に!?」
「何を言っている」

 本気で不思議そうに、怪訝な顔でケアミスに睨まれた。なんで!私、何かおかしなこと言ってる?

「お前は私の嫁だろうが」
「おかしなこと言ってるの貴方ですよね!?」

 私おかしなこと言ってない!どこをどうすれば私が魔王弟の嫁に!?

「あの聖女のどこが兄上は気に入ったのか理解に苦しむが……まあお前でなかったのならそれでいい。お前は私の嫁だ」
「頭わし掴みにしときながら嫁!?」

 ならもう少し優しさプリーズ!

「何言ってる、愛情ゆえだろうが」
「その愛情表現は理解できまっせん!」

 とにかく放せ!いや待て今放されて落ちると確実に死ぬ。この高さはまずい。地上にゆっくり降ろせええ!

「魔の国はいいぞ、いつも暗くてどんよりしてて、おどろおどろしさが最高だ。すぐに気に入るだろう」
「ごめんなさい、帰らせてください」
「まあ景色など見てる暇などないかもしれないがな。私とお前の愛の巣にこもりっきりになるかもしれんからな」
「ねえ聞いて私の話!りっすんとぅーみー!!」
「なんだそれは」
「聞こえてるじゃねえかあ!」

 聞こえないフリすんなあ!降ろせ帰せ、私はお日様ポカポカな人間界が大好きです!

「退屈な人間界より私と共に──」

 まだ何か言いかけたケアミスだったけど。不意に、表情が引き締まる。

 バッと何かを避ける仕草と、何かが横をかすめて行ったのは同時。

 何だと見上げれば、なんかでっかい火の玉が飛んでくのが見えた。え、あれ何?

「随分なめた真似してくれるな」
「え!?」

 すぐそばで声がしたので振り返る──ちなみに私は現在魔王の肩に荷物よろしく担がれてます──と、なんとすぐそばにゾルゼンスが飛んでるではないか。おーう飛行魔法!そういやあったね、そんなの!

 助けに来てくれたのね、マイヒーローぉぉ!!

 と涙目になりかけてすぐに涙が引っ込む。
 ちょっと待て、今の火の玉マジじゃなかったか?マジに魔王弟に当たってた場合ですね。当たったらですね。

「ゾルゼンス様、今の攻撃当たってたら私どうなってました?」
「死んでるに決まってるだろう」
「ひいいいい!」

 顔に縦線入るセリフをサラッと言われた!やだ何この魔法使い!怖い!

「どうせ避けられると分かっての攻撃だ」
「いや問題はそこじゃないと思います」

 抗議しようとしたら、またも何かの気配を感じた。

 今度もバッと避けるケアミス。今度は彼の頬をかすめたようで、頬に一筋の傷とそこから血がタラリ……。見ると剣が飛んでった。おおおいぃ!

「私のアンナをどこに連れてく気だ」

 そして予想外に側にいたのはベルシュ様。え、なんで!?ベルシュ様って飛行魔法使えたっけ!?

「俺のおかげに決まってるだろ」
「あ、なるほど」

 なるほど、ゾルゼンスの魔法で飛んでるんですね、納得。て、そういう問題じゃないわ!
 ケアミスの肩に担がれた私。とケアミスの間を見事にすり抜けて行った剣。あれ少しでもずれたら刺さってません?

「もしアンナに刺さって死んだら、私も後を追うから安心して」
「安心しませんよ!」

 何てこと言うんですか貴方は!まさか今になってヤンデレ要素が出て来たんですか!?大丈夫かこの国、やばい人が王になったかもしれませんよ!そして隙あらば私を殺しに来てないか 原作!?

 ふと冷静になって見回す。担がれてるので結構苦しい体制なんだけどね。

 冷ややかな目をして二人を見る魔王弟ケアミス。

 氷の微笑を浮かべた大魔導士ゾルゼンス。

 冷酷非道な言葉を吐く国王ベルシュ。

 なんなんでしょう、この寒気を感じる三つ巴な状況。とりあえず私は居ない方が良くない?去ってもいいでしょうか?あ、降ろしてもらわないと去れませんね、こりゃ失礼しました。……降ろしてお願い。

「なんだ貴様らは。私と嫁の愛に溢れた生活を邪魔するのか」

 何言ってんだ、お前。声に出したら怖いので心で突っ込みますよ。
 最初の冷たい雰囲気どこいった。いや冷たいのはそのままだけどね。なんか変なこと言ってる自覚ないんですかね。

 などと思ってると、ぬっと剣が突き付けられた。ベルシュ様がケアミスに。でも近いので非常に恐いんですけど!人に刃物を向けちゃいけませんって習ってませんか!?え、魔王弟だからいいって!?そうですか、とりあえず降ろせええ!

「誰が、誰の、嫁、だと?」

 ゆっくりと、確認するように。低~い声でベルシュ様がケアミスにといただす。

「私とこの……あ~……嫁だ」
「……アンナシェリです、宜しく……しなくていいですけど」

 嫁嫁言いながら名前を知らないふざけた魔王弟がここに。思わず律儀に教えてしまったわ。でも嫁じゃないですからね、絶対に!

「アンナと私が愛し合うのを邪魔するのか」

 やめて、なんか恥ずかしいからやめてその台詞!言ってて恥ずかしくないですか!?儚げな魔族の美青年が言っていいセリフじゃないと思うんですけど!

「アンナは私の婚約者だ」
「え、まだ有効なんですかそれ」
「当然」

 当然なんだ、そうなんだ、知りませんでした。逃げたい。

「アンナは王妃になんてなりたくないの、分からないの?馬鹿なの?頭おかしいの?アンナは俺の嫁になると決まってるんだよ」

 頭おかしいのお前だゾルゼンス!私は誰の嫁にもなりません!

「私の夢は田舎でひっそり静かに独り暮らしを満喫することなんですけど」

 デスエンド回避したらそうするつもりだったんです。夢の一人暮らし!この夢を叶えることこそが私にとってはこのゲーム世界のハッピーエンディング!それを邪魔する者はなんぴとたりとも許さん!

「そんなわけで降ろしてください。帰して。おうちに帰りたいです」

 とりあえず帰って娘&妹を放って逃げた父と兄を〆たい。おうち恋しい。












=====作者の独り言=====

忙しくて更新出来てなくてごめんなさい。そしてぶつ切り・・・
なんか・・・話が進まないなあ(汗
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