【3話完結】愛する人の恋のため私は身を引きましょう。どうぞお幸せに。…なんて言うわけないでしょう?

リオール

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前編

 
 
 私は、婚約者であるあなた──アーサー侯爵令息の事を愛しています。
 たとえ政略で始まった婚約でも、私は確かにあなたのことを愛しているのです。

 虫も殺せぬ優しいあなた。
 私をいつも気遣ってくれる、思いやりのあるあなた。
 ちょっと恐い先生に怒られて、落ち込んでるあなた。
 苦手な勉強でも、頑張る努力の人であるあなた。
 物事がうまくいかなくて、泣いてるあなた。

 どんな姿のあなたも愛しています。

愛して いました

 ですが今日、私は初めて愛せないあなたの姿を見たのです。
 今日、私は初めて嫌いなあなたを見たのです。

 あれは誰なのですか?
 あなたの隣で微笑み、あなたと手をつなぎ、あなたは頬を赤く染め……あなたの手がそっと彼女の頬に触れ。
 照れくさそうにはにかんだ笑みを浮かべ、彼女の顔へと自身の顔を近づけたあなた。

 そんなあなたを私は見た事ありません。見たくありません。
 長い婚約生活で、けして私に手を出さなかったあなた。なのにどうして彼女に甘い口づけを落とすのですか?
 どうして甘い言葉を囁くのですか。

 どうして……愛してる、なんて彼女に言うのですか?

 あなたの婚約者は私なのに。
 ずっとずっと愛し続けてきたのは私なのに。

 どうしてあなたは、私を愛してはくださらないのですか?

見たくない
見たくない

 そんなあなたは見たくない。

 そうしてずっと長いこと苦しんだ。
 嘆き悲しみ苦しんで……ついに、私は良い方法を思いついたのです。

 見たくないなら、見なければいいだけのこと。

 けれどあなたと女は毎日学園にやって来るから。
 やって来ては、学園内で仲睦まじく過ごしているから。
 私の目に入る事も気にせずに、ずっとずっと楽し気に過ごすから。
 コソコソすることもなく、堂々とあなた達は幸せそうに過ごすから。

 ──見ないようにするなんて、到底不可能な事なのだ。

 ではどうすればいいのか?
 答えは簡単。
 あなた達が学園に来なければいいのです。私の視界に入らないようにすればいいのです。

 だから決めました。
 私は愛するあなたと、あなたが愛する女を……

ね?
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