1 / 5
1、
しおりを挟む「ラミ公爵令嬢よ、これまでの聖女に対する悪逆非道の数々、これ以上見過ごすわけにはいかぬ!其方とは今この場で婚約破棄だ!其方は身分剥奪のうえ、僻地修道院に追放とする!!」
王立学園卒業パーティにて、卒業生である王太子アラン様はそう声高に叫ばれた。
愛する(ブフッ…笑)王太子に無慈悲な宣言をされた瞬間。
私こと、ラミ公爵令嬢は泣き崩れ──
「いよっしゃぁ!!狙い通りにバッドエンドをゲットぉっ!これで自由気ままな修道女ライフだー!」
ない!!!!
【お約束の異世界転生。計画通りに婚約破棄されたので去ります──って、なぜ付いてくる!?】
いや~長かった長かった、ひっじょーに長かった。これまでの七年、実に長かった。
日本という国のちょっと寒い地方の田舎で生まれ育った私は、実に自由奔放な生活をしていた。
のだが。
高校に遅刻しそうになって焦った私は、信号が赤に変わる直前の横断歩道に飛び出して。
これまた信号が変わる直前で、焦って右折してきた車に轢かれまして。
花の女子高生生活に終わりを告げたのでした。
飛び出しは駄目です。これ命と引き換えに得た教訓。
まあそこまではいい。良くないけど終わったものは仕方ない。残してきた両親が恋しくはあるけれど、どうか心穏やかに……と願うことしか今の私には出来ない。
良くないけど、そこまでの流れはまあ良い。受け入れました。
だがそこからが良くなかった。
目覚めた先で、私は日本では有り得ない……というかどこの国でも有り得ない紫紺の髪に瞳を持った公爵令嬢に転生しちゃったんですよ。景色見て状況見て直ぐにに分かった、ここは私が常々やっていた携帯乙女ゲーの世界だってこと。
いやホント参ったよね。やってたからね、この世界のゲーム。コンプリートしても何度も繰り返しやってたから、すぐに分かったよね。
いや参ったよね、まさか転生するなんて。まさか悪役令嬢に転生するなんてね!
ありがちすぎる展開に呆然としたのも最初のうち。
とにかく自由を満喫した女子高生してた私にとって、公爵令嬢の生活は実にキツかった。苦しかった。王子とか他の貴族とかと結婚て有り得ないよね。無いよね。
そんなわけで目指したのはバッドエンド一本でした。
え、ヒロイン?虐めたよ、私別に善人じゃないし。ヒロインは元平民の聖女だから、貴族のマナー知らないらしい。結構ネチネチ厳しいこと言ったよ。でも教科書破ったり水ぶっかけたり階段から突き落とすなんてやってないけどね。そんなの酷すぎだし危ないじゃないか(真剣)
え、王太子?冷たくしたよ。ヒロインとイチャイチャしてる時なんて、何やっとんじゃい!とリンゴ投げつけたことも懐かしい(リア充爆発しろ)
え、他の攻略対象?いたっけそんなの?(眼中無し)
とりあえず自ら悪評が広まるように仕向けた結果、見事にツボにはまりました。そういや王太子に壺投げた事もあったっけ。あれ根に持ってんのか、やたらと廊下にあった壺を学園内から排除したよね。職権乱用良くない。
まあそんなこんなでゲームの終わり、お決まりの卒業パーティ。
狙い通りに婚約破棄いただきました!いや長かった。転生した時点で10歳。それから七年、きつかった。特に学園生活は苦しい。女子高生してたのに、また勉強とか勘弁してくださいよ。卒業まであと一年残したところで婚約破棄の追放。やったよおっかさん、これで勉強ともオサラバさよならバイバイだよ!!
だから嬉しさのあまりガッツポーズして叫んだのに。
どうしてみんな黙り込んじゃってるのかな???
25
あなたにおすすめの小説
王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。
守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。
だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。
それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。
婚約破棄されたので、契約不履行により、秘密を明かします
tartan321
恋愛
婚約はある種の口止めだった。
だが、その婚約が破棄されてしまった以上、効力はない。しかも、婚約者は、悪役令嬢のスーザンだったのだ。
「へへへ、全部話しちゃいますか!!!」
悪役令嬢っぷりを発揮します!!!
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
【完結】恵まれ転生ヒロインと思いきや、好色王に嫁がされることに。嫌すぎて足を踏みつけてやったら、反乱を起こした王太子になぜか求婚されました。
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
結婚式直前に婚約者にお金を持ち逃げされ、失意のうちに巻き込まれ事故で異世界転生をする。
異世界で今までにない優しさや温かさ、贅沢なものに囲まれ第二王女として何不自由ない生活を送ってきた。
しかし自国が戦争に負け、相手国の60過ぎの王へ貢物として第13番目の王妃として嫁ぐことが決められてしまう。
そしてその王からの注文で、持ち物は小さな衣装ケース一つ、見送りも、侍女も護衛騎士も付けてもらえず馬車で嫁ぎ先へ。
サレ女の次は好色王の貢物?
冗談じゃない。絶対に嫌! そんなのの花嫁になるくらいなら、もう一度転生したいとばかりに、好色王と対峙する。
その時兵を連れた王太子が現れて――
【完結】私の馬鹿な妹~婚約破棄を叫ばれた令嬢ですが、どうも一味違うようですわ~
鏑木 うりこ
恋愛
エリーゼ・カタリナ公爵令嬢は6歳の頃からこの国の王太子レオールと婚約をしていた。
「エリーゼ・カタリナ!お前との婚約を破棄し、代わりに妹のカレッタ・カタリナと新たに婚約を結ぶ!」
そう宣言されるも、どうもこの婚約破棄劇、裏がありまして……。
☆ゆるっとゆるいショートになります( *´艸`)ぷくー
☆ご都合主義なので( *´艸`)ぷくーと笑ってもらえたら嬉しいなと思います。
☆勢いで書きました( *´艸`)ぷくー
☆8000字程度で終わりますので、日曜日の暇でも潰れたら幸いです( *´艸`)
完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)
水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」
無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。
ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。
だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。
「———えぇ、いいわよ」
たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、
だってお顔がとてもよろしいので
喜楽直人
恋愛
領地に銀山が発見されたことで叙爵されたラートン男爵家に、ハーバー伯爵家から強引な婿入りの話がきたのは爵位を得てすぐ、半年ほど前のことだった。
しかし、その婚約は次男であったユリウスには不本意なものであったようで、婚約者であるセリーンをまったく顧みることはなかった。
ついには、他の令嬢との間に子供ができたとセリーンは告げられてしまう。
それでもついセリーンは思ってしまうのだ。
「あぁ、私の婚約者は、どんな下種顔をしていてもお顔がいい」と。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる