悪役令嬢にざまぁされるのはご免です!私は壁になりました。

リオール

文字の大きさ
22 / 41

22、そんな簡単に婚約解消ってできるの?

しおりを挟む
 
 
 ドリンク吹いた先にはメンテリオス。あ、ごめんごめん(棒読み)

「ななななななな……な!!!」

 半端じゃないヘルンドルのどもりに

「なす」
「なっとうじゃない?」
「なにを言ってるんだお前達は」

 見事なツッコミが生まれた。けして世界観どうなっとんじゃと突っ込んではいけない。野球やババ抜きがある時点で世界観などとうに崩壊している。

 メンテリオス→私→ムサシム

 の素晴らしきかな連携ツッコミ。いやムサシムのは違うか。

「どう見てもそう見えるんだが……違うのか?」

 否定とも肯定ともとれるヘルンドルの様子に、不思議そうにムサシムは首を傾げる。

 そうだよね、変態の行動見てれば嫌でも分かるよね。

 ちょっと焦ったけど、分からない方がおかしい。差し出されたタオルで口を拭きながら、冷静にムサシムを見る。

 ちなみに差し出されたタオルはメンテリオスから受け取った。先ほどのムサシムの指摘になんか思う所があったのかな。でも自分の顔を先に拭いたのを私は見逃さない!

 にしてもムサシムは、硬派でそういう話は無頓着かと思ったんだけどねえ。意外と見てるんだな。騎士は洞察力も大事。
 私の事が話題になってるのになぜか冷静なのはもう慣れたからか、達観したからか。

「ま、まあ……そういうことだ」
「そうか、それは良かった!」
「ん?」

 最後の一言は私だ。何が良かったのだ良くなかろう。由々しき事態だ、大問題だ。

「この年になっても浮いた話もなく、ましてや婚約者も出来ないので心配してたのだ。もしや男色の気があるのではないかと思ってたぞ!」
「え、そうなんですかヘルンドル様。ちょっと距離とらせていただきます」
「まさかキュリアス様のことをそんな目で……」
「そんなわけあるかぁ!!!」

 私とメンテリオスからの白い目で、ヘルンドルは真っ青な顔で叫ぶのだった。
 叫ぶついでに「私はアイシュラ一筋だ!」とか叫ぶのやめてください。恥ずかしいわ。

 しかし言われてみればそうだよね。普通侯爵家嫡男ともなれば、幼い頃に婚約者を決められててもおかしくないのに。

「そういえば、チェイシーには婚約者居ますよね」
 誰だか聞いたことないけど、居るとは聞いている。

「ああ俺のことだ」
「マジか!」

 サラッと言ってのけるムサシムに、思わず驚愕の声をあげてしまった。

 いやまあ同じ侯爵家なら適任かと思うが。まさかのムサシム!原作アイシュラの攻略対象!

 え、じゃなに、もしや原作チェイシーがシュリエッタ様と共にざまぁしてくるのって、婚約者の裏切りに対する制裁でもあるのか?
 そりゃ婚約者の自分を差し置いて他の女に現を抜かすとか、ありえないもんな。怒るよ、そりゃ!

 あんな可愛いチェイシーから婚約者奪うとかありえない!今の私は絶対しない!

 ムサシムも真面目一辺倒って感じだし、今の彼ならチェイシーが居ながら私にフラフラくるなんてことはないだろう。
 二人が貴族として割り切ってるのか、はたまた愛情ある関係なのかは分からないけれど。
 それでもまた一つ、ざまぁ回避に一歩近づいたような予感に私の心中はお花が舞うのであった。
 


※     ※     ※



「あ~ムサシム様ねえ。いつ婚約解消しようかと悩んでるとこなのよ」
「マジかぁ!」

 グハァッとまさかの展開に手で顔を覆う。

 昨日の放課後の件を話したら、まさかのチェイシーからの返答!
 舞ったお花を即回収。

「え、なんでなんでなんで!?」
「えーだって、ねえ。暑苦しいんだもん」

 暑苦しいんだもんときたもんだ!
 そうだね、あの地獄の特訓、熱血漢、飛び散る汗、熱気ムンムンで体から蒸気が立ち上る……暑苦しいわな!
 反論できないわ!

 ここでまさかの婚約解消か……。ざまぁは無いだろう、無いだろうけど!

「ちなみに……いつ頃に解消のご予定?」
 恐る恐る聞いてみると
「私が卒業と同時に結婚の予定だからね。少なくとも卒業する前には……1学年上のムサシム様のことを考えると、もうそろそろ解消した方が先方の為にもいいかしらと思ってるところよ」

 既に両家の親には話を通してあるわ、とのこと。

 チェイシー行動早っ!

「でもでも、ムサシム様はそんなつもり無さそうだったよ?」

 そう、ハッキリとチェイシーの婚約者だと言ってたもの!

「そうでもないわよ?婚約解消しませんかーって言ったら、いいよーって答えてたわよ」

 いや「いいよー」じゃないだろう。軽いなキミら。
 つまりあれだ、まだ正式に解消したわけじゃないから、一応今は婚約者だぜって事で昨日は答えてたのか。

 これは最大級に警戒すべき案件だって事ですね。
 追試対策の勉強を教わりながら、私の頭はフル回転するのだった。……追試の勉強、頭に入ってこない!










==========================

ご指摘いただきまして破棄⇒解消に修正しました。
ご指摘ありがとうございます!
そうですね、この話の場合は解消の方がいいですよね。
失礼しましたm(__)m



 
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

処理中です...