34 / 35
櫻花荘に吹く風~201号室の夢~ (34)
しおりを挟む熟れた果実のように赤く染まった秘壷への入口が、俺だけを待ち受けている。
適量なんて具合も分からず、ただ彼が感じる痛みを和らげたい一心で使いまくったローションで、その場所が厭らしく濡れ光っている。呼吸をするかのように動く場所から、タラリと滴る粘つく液が、より一層の淫靡さを引き立てていた。
既に限界間近まで育っている屹立を、収縮を繰り返す秘壷の入口へ宛がい、ゆっくりと腰を進めた。
「く……っ、ぁ、すげ……」
吸い込まれて行く俺の屹立に、まーくんの熱い内側が絡み付いてくる。
指で散々解したつもりでいた後孔は、俺の昂ぶりに合わせて、健気にもぎちぎちと広がって行く。
「――ッ、あっ、ぃ……」
「ふ……大丈夫?」
一番辛いだろう張り出した部分を押し込む瞬間、まーくんの身体が強張った。途端に入口の締め付けが増し、尖端を潜り込ませた状態のままで動きを止めて、まーくんの様子を窺う。
本当は一息に突き入れてしまいたい。
俺の下で身悶えるこの身体を、本能の赴くままに貪り尽してしまいたいという危険な思いを、ぎりぎりのラインで理性が繋ぎ止めていた。
「ごめん、もうちょい、我慢して……」
「へ……き、だから……良く――っ、あ」
「ゆっくり……するから」
エアコンのない室内は蒸し暑く、滴る汗が顎を伝い落ちる。俺もまーくんも汗だくで、お互いが放つ熱に翻弄されていた。
なかなか締め付けの緩まないその場所に、抱えていた彼の足を担ぎ直した俺は、萎え気味になっていた彼の中心へと手を伸ばした。
指で解した時にも中が緩んだ事を思い出しながら、愛しい人の昂ぶりを刺激する。
「ん、良いよ、上手……こっち集中して……」
「はっあ、あ、ああ」
「も……少し」
手の中で彼の昂ぶりが育つと共に、後孔の締め付けが和らぎ奥へと誘い込む動きを見せ始めた。その瞬間を逃さないよう、手の動きはそのままに、熱く滾る熱棒をぐっと押し込む。
どの位の時間が掛かったのか分からなかったけれど、少しずつ、少しずつ奥へと進んで行く俺の熱に負けないほど、熱くうねる内襞が俺を包んでくれる。
(すげ……繋がってるんだ、俺達――)
大輔からレクチャーを受けたとは言っても、こんな小さな孔に本当に入るのか、一番不安だったのは俺自身だった。
まーくんの、彼の全てを手に入れたい。
そう思いながらも、あんなに硬く閉ざしていた蕾が、俺を受け入れるために解けてくれる様を想像する事は、どうしてもイメージが出来なかった。
それが今、こうしてひとつに繋がっている。
「入っ、た」
「――ハッ、っん」
「分かる? 全部、まーくんの中に入ってる」
「……ん、すご、熱い、よ……」
「ありがと、まーくん」
奥まで熱棒を埋め込んだところで、彼の熱さを、彼の感触を自身へと覚え込ませるように動きを止めた。
互いの鼓動さえも、ひとつに混ざり合ったような気がした。
この気持ちを何て表現して良いのか分からず、浮かんだ言葉を熱い息を吐き出しながら告げれば、どうしようもないほどの愛おしさが、胸を競り上がって来る。
「まーくん……昌樹……っ」
「良……太……」
壊れ物を扱っている時のように、彼を抱き締める腕が震えていた。
俺へと伸ばされた彼の腕もまた、同じ位震えていて。
身体だけじゃなく、心まで繋がることが出来たのだと、理屈じゃなく、実感出来た瞬間だった。
彼の内に自分自身を埋め込んだ状態で、動きを止めたまま一体感を味わう。
抱き締めれば抱き返される心地好さ。母の胸に抱かれる、その温もりを知らない俺にとって、それは初めて感じる、心の籠もった人肌の温もりだった。
「好きだよ、マジで、好き――」
「良……く……」
普段であれば不快に感じるはずの、触れ合う他人の素肌の汗ばんだ感触すらも、相手がまーくんであるだけで嬉しくて。抑えきれない感情が口から零れ落ちれば、俺を受け入れた窮屈な体勢の彼が、そっと俺の頭を撫でてくれた。
「僕も、好きだよ……」
荒い呼吸の合間に、まーくんが言葉を返してくれる。
それは予想を超えた、俺の一番欲しかったひと言。
「――僕は、君に家族を増やしてあげる事は、出来ないけど……ずっと、傍にいるから……良くんの、良太の傍に、いさせて」
「まーく……」
呟きと共に彼の目尻に浮かんでいた涙が、ホロリと頬を伝った。その煌きと共に広がる微笑みを、俺は一生、忘れる事はないだろう。
温もりも、息遣いも、感じ過ぎるほど感じているのに、俺の下にいる西村昌樹という人物が纏う空気が変わった気がした。
澄んだ空の下に、薄桃色の花を付けた枝を広げる桜の木のような、清涼感の溢れる清らかな空気。窓から入り込んでくる風がまーくんの髪を柔らかく撫でていく。
それはまるで、俺達を祝福してくれているのだと、そんな風に告げる桜の声が届いたかのような、不思議な感覚だった。
「好きだよ、良くん……」
瞬間、俺の猛った中心を痛いくらいに締め付けていた内部が、ふわりと包み込むように柔らかく綻んだ。
突然の変化によってもたらされる官能の焔は絶大な力を持っていて、そこから一気に全身を駆け巡る快感に、腰から蕩けそうになる。
「ッ――も、駄目だ……ごめん、動く」
「あっ! っ、んぅ」
一瞬で持っていかれそうになる波を、奥歯を噛み締める事で堪える。
うねって絡みついてくる熱い内襞に焼かれそうになりながら、吐き出すように言葉を告げた俺は、彼の腰を掴み直し、動きを再開した。
突然の刺激に跳ね上がる裸身を押さえ込み、深くを弧ね回し、浅い場所を突き上げる。
「ひ、ああ、あっ、良……も、ゆっくり……っ」
「無理っ、ごめん、ごめんね」
テクニックも何も、考える余裕なんて吹き飛んでいた。
初めての経験に戸惑う彼を気遣う事すら出来ず、それでも僅かに残る冷静な部分が、自分だけじゃいけないとブレーキを掛けてくれる。
「ふ、んうっ、ャ、ああっ」
「ここ? 良いとこ、当たってる?」
「やっ……あ、あ、ぅ――」
先ほど指で見つけた場所を探しながら腰を回せば、ある一定の場所に来た時に、まーくんの反応が大きい部分に触れた。
しこりのように張り出した箇所を押し当てるように突き上げると、俺の背に回された彼の指先に力が籠もるのが分かる。
「はっ、まーくん…昌樹、教えて……一緒に、気持ちよくなりてえよ」
「ん、んっ」
直ぐにでも暴発してしまいそうな猛りを抑えつつ、問いを繰り返す。相手の快感まで気にしたセックスなんて、今までの俺には考えられない事だった。
だけど今は、彼との行為だけは、独り善がりで終えたく無かった。
そんな俺の想いを感じ取ってくれたのだろう。言葉を発する事もままならない状態のまーくんが、必死に首を縦に振ってくれた。
「そ……い、あっ」
「ん、俺も、気持ち良い」
縋り付いてくる彼の頬に、触れるだけのくちづけを落とした俺は、ラストスパートへ向けて体勢を立て直した。
俺の下腹に擦れる彼の屹立からは、新たな雫が伝い落ち、互いの腹を濡らしている。まーくんも感じてくれている。その事が、より一層俺の快感をも引き立てる。
「まーくん、昌樹……」
「あ、あっ、良――っう、あ」
彼の腰を抱え込みながら、腰の動きを徐々に早めて行く。
一突きする度に脳天まで駆け上がる、痺れるような快感。彼の内側の動き全てが、埋め込んだ昂ぶりを通じて感じ取れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる