幻想機動輝星

sabuo

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第2章 騎士の夢 BLADE RUNNER

第43話 8月1日

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アラストリア王立学園所属、白百合騎士団団長リディス・マリアファスの朝は早い。
まだ日の出のうちに起床。顔を洗い、そのまま剣の鍛錬。それが彼女の日課だった。
素振りに始まり、対人、対魔物を目的とした剣の『型』 それらの一通り剣の鍛錬を行う。
城塞都市であるレバリスク市の周りは、広い草原だった。
鍛錬を終えた彼女は、夜がだんだん明けて行くのを見ながら、彼女は明るい方へ、東に向かった。そして町の外れにある城壁の上で、それを見る。
日の出。それを見るのも彼女の日課の一つだった。
カントバルの谷から上がっていく日を見ながら、彼女は胸のうちに、これもまた毎日同じ事を誓った。
「お父様、かならず立派な騎士になってみせます」



寮に戻り、朝食を食べた後、彼女は制服に着替える。
アラストリア王立学園の制服、ブレザーに、スカート。今は夏だからブレザーは着ない。上は半そでのシャツだ。
五つある寮の中でも最高級である白百合荘(白百合騎士団の名前の元でもある)は町の東側。静かな森林の中にあった。
寮から出ると彼女は市の中心部に向かう。まだ朝七時。店の大半はまだ閉まっていた。人通りも少ない。
いつもなら朝練のため騎士団の生徒が登校する姿を見るのだが、いない。
「当然か」
今は夏休み。
ほとんど、いやリディスと『問題生徒』を除いて誰もこの町に、王立学園の生徒はいない。
そう、その問題生徒、だ。
「はあ…」
そういえば、彼女が開放されるのは今日だったとリディスは思い出した。
これで通算30回。留置所の人とは名前で呼び合う位親しくなっている。もういっその事、学校に行く前に留置所に行こうか、
「いや、駄目だ」
校長に呼ばれているのだ。なんでも重要な案件らしい。校長にしては珍しく深夜に電話を掛けてきた。
王立騎士団出身の校長は、夜遅くに、しかも電話を掛けるなどということは絶対にしない人だ。
話がある場合は直接。それも日中にというのが校長のモットーだ。どうもそれは過去に何かあったらしいのだが。
それはいい。問題は、それを破ってまで夜中に電話で『緊急の案件がある。明日、学園に登校するように、と言われたのだ。
それはどういうことだろうか。
そう、リディスが思った時にはすでに彼女は学園に入っていた。




「SMFの第七特務戦隊が急遽この町に来ることになりました」
重要案件だった。
第七特務戦隊? SMFの?
「正確には、極東連合軍のHASTSG(ハストエスジー)、超高度戦略・戦術戦隊群に属する独立した戦隊です」
第一戦術飛行戦隊 (1st‐TFS)
第二戦略航空戦隊 (2nd‐SAS)
第三高度機動戦隊 (3rd‐HMS)
第四戦術騎士戦隊 (4th‐TKS)
第五戦術魔法戦隊 (5nd‐TMS) 
第六戦略情報戦隊 (6nd‐SIS)
これら六つの戦隊からなるHASTSGは、たしか今、南部方面に展開中のはずだ。しかし
「それは知っています校長…しかし、第七特務戦隊? そんな戦隊は記憶には」
「先日、新設されたばかりの部隊です…私も昨日、初めて聞きました」
今年で50歳になる校長は、イスから立ち上がりながら、校長室の窓から外を見る。
「目的は、新たなる地脈と調査だそうです…ええ、もちろん他にも目的があるのでしょうが」
「と、いいますのは?」
「この部隊の創設には、レオス・オブライエンが直接関わっています。通常、HASTSGの人員は、連合軍各隊と、SMFがそれぞれ人員を供出しあうものなのですが」
「この部隊はSMFの人員しかいないと」
「ええ。とにかく言える事は、ただの実地実験ではないという事です」
まあ、連合軍一の英雄であり、かぶき者の考える思惑です、実際に起きるまで誰にもわからないでしょう。と、校長はどこかあきらめた顔で言った。
「つきましては、あなたにはその者達の案内を頼みたい」
「案内、ですか?」
「ええ…不満ですか?」
「いえ…ただ。具体的にはどうすれば」
「そのままの意味です…あなたしか居ません。ビースは便りになりません」
「そうですね…わかりました。謹んで、お受けします」
「ありがとう、リディス…詳細は明日。一応、彼らの到着は三日とのことです」
「分かりました。では」
そう言って、校長室からでようとしたリディスを、校長は呼び止めた。
「ビース・アルバは先ほど脱走したとの報告がきました…留置場はもぬけの殻です」
「…分かりました」
親友の通算31回目の脱走に、心の中でため息をし、リディスは校長室を出た。




まさかその第七特務戦隊が、彼女の人生を大きく変える事になるとは露知らず。
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