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第2章 騎士の夢 BLADE RUNNER
第44話 発艦試験
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俺はお前達人間には信じられない光景を見てきた。
オリオン座の近くで炎を上げる戦闘艦。
暗黒に沈むタンホイザー・ゲートのそばで輝くCビーム。
そういった記憶も時とともに消えるのだ。雨の涙のようにな。
俺も死ぬ時が来た。
――ロイ・バッティ 映画『ブレードランナー』よりセリフ抜粋――
「…右舷下方、高度2500、航空艦群接近…IFF(敵味方識別装置)照合。友軍。SMF第一巡航艦隊。速度20…まもなく通過」
レーダー担当のタリは感情の無い声で告げた。
「モニターに出す」
ディスプレイにそれが映し出された。一隻の大型航空艦を中心に4隻の中型艦。更にその周りを多くの小型艦が飛んで行く。
「ガラトス級長門型…何番艦だ? いや第一巡航艦隊なら一番艦『長門』だ。金剛型のプロトタイプ。速いな」
「金剛型のプロトタイプ?」
思わず口に出す。こちらでは金剛と長門ってそんな関係なのか、とアヴェントに聞くと。
「ああ。金剛型航空艦は高速性を重視しているんだが…武装の搭載量が問題になってな。だからまず試作として『長門』と『陸奥』を作って技術を得て、金剛型を作ったんだ…もちろん。こちらの世界の話だ。名前が同じだけで旧日本海軍の軍艦とは関係が無い」
もっとも、SMFの所有する艦艇のほとんどは旧日本海軍の軍艦の名前を使っているがな、と彼は付け加えた。
「で、もう荷物は運んだのか?」
「ああ」
荷物はバック一つ。すぐに終わった。部屋が船とは思えないくらいの大きさだったが。
「客船かと思った」
「それは俺も思ったぜ」
操舵を担当している彼、ザーフは答えた。
「さすが元SMF旗艦というか…いやでもさすがに大きいと思うぜ」
「珍しく俺もおまえ同じ事を思った。ザーフ…全長852メートル。僅か14人で動かすには大きすぎる」
「14人!?」
そんな少人数で動かしているのか。
「いや、あんたと茜、あとあのメイドを抜いて11人…自動化のおかげっていう奴ね。もっともそれで作業が楽になったとは言えないけど」
通信・システム担当、メルトはコンソールを操作しながら言った。
「っと、アヴェント。AWACS(早期警戒機)『アオサギ』より通信。『貴艦は現在。山城基地防空識別圏より離脱。そのままルート32を航行せよ。グッドラック』」
「抜けたか…ザーフ。ANS(自動航行システム)セット。高度一万。ルート32だ」
「了解…ルート32、通常輸送航路か…セット完了」
「操縦をシステムに」
「システムコントロール…確認」
「よし…メルト、全員に伝達。メインブリーフィングルームへ集合。ミッションブリーフィングを行う…本来は飛ぶ前に行う事だが」
アルマダ級山城型航空重巡洋艦1番艦『近江山城』
一つの艦に、さらに二つの艦で左右から挟みこんだような形の三胴型(トリマラン)で右舷艦、左舷艦、中央艦後部に航空甲板を有している。
艦の中枢機能、つまり発令所や居住区、機関区はすべて一箇所に集められている、つまり主要区画(バイタルパート)。
それ以外は全て、兵器搭載区画および格納区画らしい。
だからまあ、いちいち852メートルある艦体を走り回る必要はないらしい。格納区画だって主要区画の後部にすぐ位置している。
いざとなれば左右の航空甲板をパージできるらしい。中央艦だけでも航行は可能らしい。
とにかく、艦橋からメインブリーフィングルームまではそんなに遠くない。
…主要区画だけで旧日本海軍の戦艦『大和』に匹敵するが。ともかく、俺たちはメインブリーフィングルームに行った。
中は結構広かった。大きなディスプレイ、パソコン(異世界に来てびっくりした物の一つ。ネットもあるらしい)、コーヒーメーカー。144/1スケールの『近江山城』の模型(!?)等々、14人で使うには大きすぎる。
そして既に、一人の金髪の女性エルフ(長耳族)の大人がいた。
「ええと、芹沢君、ですか?」
メガネを掛けたその人は確認するように俺の事を尋ねてきた。芹沢とはもちろん、俺の名前、偽名。
「朽木光男です…芹沢と名乗っていたようですが」
「じゃあ君が…始めましてっていえばいいのかな。浜大津総合学校2年E組担任、ルース・マインです」
そう言って、ルース先生は挨拶した。しかし、
「なぜ浜大津総合学校の教職員の方が?」
「レオス総司令にお願いをしたんです。みんなの担任として、心配でしたから。あなたも私のクラスなんですよ」
「え、そうなんですか?」
浜大津総合学校に転入していたのか俺は。それは初耳だ。
「ええ、今年の四月に転入してきて…それがSMFの要請で遠くに行くと聞いて心配になって。それに」
「光男、先生は元SMFの隊員なんだ」
アヴェントが説明する。
「俺の方からもお願いしたんだ。さすがに今回の航海を俺たち生徒だけで行うのはリスクが高すぎる。だから先生にアドバイザーをお願いしたんだ」
「そういうことで、よろしくお願いします。光男君」
「え、ええ。よろしくおねがいします」
満面の笑みを伴った挨拶に、俺はしどろもどろになりながら挨拶する。
何だろうこの先生から発せられる聖人(?)オーラ。素性はしらないが
「で、先生。実際どうなんだ?」
ニヤニヤしながらザーフが聞いた。
「本当は仕事から開放されたかっただけなんじゃ?」
「…ザーフ君。そういえば君、数学の期末テストの補習ありましたよねェ。この後にでも」
「さっすが先生!! すさまじい量の仕事をしっかりとやって更に僕たちの事まで心配して来てくださるなんて!!」
「よろしい」
まあ補習は受けてもらいますが、と相変わらずの笑顔の先生。なにか怖い。逆らわないでおこう。
「あと芹沢…じゃなかった朽木君。君も数学のテストで凄まじい点を取っているので補習確定です」
「ですよね」
数学は苦手だ。
じゃあ英語は? ははは、何の事やら…。
その後ほどなくして、メインクルー(と言っても14人)全員が集まり、ブリーフィングが始まった。
「改めて、艦長のアヴェントだ。艦の指揮は俺が取る。みんな指示をよく聞いて…そしてもし目の前にふと操縦桿があっても間違っても動かしたりましてやスロットルをマックスにしてマッハ3で艦を動かして山に激突させたりしないように」
艦長であるアヴェントが意味不明な事を言ったが、ザーフが「俺の事ですねわかります」といった顔をしていたので、恐らくザーフの事だろうっていうかどういう状況だよそれ。
「それでは今回の作戦の目的を、光男。よろしく頼む」
「分かった」
俺は封筒から作戦指令書を取り出し、読み上げる。
「本作戦の目的は大きく二つ。一つは次世代型戦略機動兵器、OG‐TX01のテスト及び同機体のフェイズ2の完成。二つ目は、KARAHASHIの開発していたWG、『三毛猫』の開発・試験だ」
「え」
と声を上げたのは金髪のケモ耳幼女。その横に居たオレンジ色の髪をポニーテイルにまとめた女が聞いてきた。
「『シューティングスター』は分かるが『三毛猫』の開発も進めろと? なぜ?」
「俺も良く知らないんだ」とアヴェント。
「理由はノーコメントらしい。とにかく『三毛猫』のほうも頼む、と。その件に関しては光男、手伝ってくれるか?」
「もちろんだ。お世話になったしな…俺からは以上だ。アヴェントどうぞ」
ああ、と言いながらアヴェントはディスプレイを起動させ、地図を出しながら説明し始めた。
「では、今後の予定だが…確認するが、本当に全部、今後の予定とか航路とか俺がやってもいいのか、光男?」
「うん。最高指揮権は俺にあるが…この世界についてはアヴェントが詳しい。そこらへんを分かっていない俺が今後の予定とかやるととんでもないことになる可能性が高い。ここは素直にお前にまかせたほうがいい」
「慎重な判断だ。ただ、何かあれば俺に言ってくれ。可能な限りお前の要望を通す」
「それで頼む…言ってくれ」
「分かった…本艦は現在、極東海を北西に、速度40キロ、高度一万キロ。通常輸送ルート32コースを航行中。本艦はこれよりHAK、レバリスク市に向かう。ルース先生、説明お願いします」
「分かったわ、ザーフ君」
ルース先生はコンソールを操作し、地図を出す。
「レバリスク市は、HAK領の東にある要塞都市…といっても1000年前に出来たもの。設備が古かったせいでフリークスの第一次侵攻の際、結構な被害を受けましたがなんとか復興、今にいたります。はいここ次の歴史のテストに出ます」
「「「テストに出るんかい」」」
先生を除いた全員がつっこみを入れた。先生は教育熱心のようだ。
「この町にはHAK屈指の名門校。白百合学園があり、町の周囲には学園所有の訓練場が多くあります。はいここテストに出ません」
「「「「出ないんかい」」」
またしても総ツッコミ。フム、この世界のボケ技術とツッコミ技術は高度のようだ、対策せねば。
「尚、近くには極東連合軍のレバリスク基地があります…町の概略はこれくらいかな、どうかな?」
「それで十分です…予定としてはこのレバリスク基地に停泊し、白百合学園の訓練場を使わせてもらうつもりだ…もっとも、何をどう試験するかはまだ決まっていないが…一応『三毛猫』の陸上試験はここで行うと決めている」
『三毛猫』、KARAHASHIが製作したWG。この作戦ではその試験も命令されていた。性能がよければ採用するらしい。
「一応、例のあれ(シューティングスター)は戦闘機らしいので、滑走路がある訓練場を使うが…何かあるか? 光男」
「いや、特に」
そうだった。俺が完成させるべきなのはあれなのだ。まだ戦闘機らしきものとしか分からないが。しかし戦闘機か…フム。
「到着は三日後、詳しい事は現地に付いてからだ…俺からは以上だ。何もなければこれで解散しようと思うが」
「いいえ、特に…そうだ、艦内の規則とかそういうのは?」
金髪の、角の生えた女子が答えた。
「結構重要じゃない?」
「言われて見ればそうだったな…気密扉を勝手に開けない。とか…すまない、夕食までにまとめておく」
他にはなにかあるか? とアヴェントが言った所で、俺は手を挙げた。
「どうした光男?」
「この『近江山城』ってさ、航空甲板あるよな」
「ああ、WG射出用のカタパルトが6つ、艦底部に1つ」
「どれぐらいのものまで射出可能なんだ?」
「あのWGを打ち出すパワーだ。ジャンボジェットだって打ち出せるぜ」とザーフが言った。
「確かにそれぐらいあるな…それが?」
「うん…」
俺は申し訳なさそうに、さっき思った事をぶちまけてみた。
「『シューティングスター』の発艦・着艦試験をしたいんだけど」
オリオン座の近くで炎を上げる戦闘艦。
暗黒に沈むタンホイザー・ゲートのそばで輝くCビーム。
そういった記憶も時とともに消えるのだ。雨の涙のようにな。
俺も死ぬ時が来た。
――ロイ・バッティ 映画『ブレードランナー』よりセリフ抜粋――
「…右舷下方、高度2500、航空艦群接近…IFF(敵味方識別装置)照合。友軍。SMF第一巡航艦隊。速度20…まもなく通過」
レーダー担当のタリは感情の無い声で告げた。
「モニターに出す」
ディスプレイにそれが映し出された。一隻の大型航空艦を中心に4隻の中型艦。更にその周りを多くの小型艦が飛んで行く。
「ガラトス級長門型…何番艦だ? いや第一巡航艦隊なら一番艦『長門』だ。金剛型のプロトタイプ。速いな」
「金剛型のプロトタイプ?」
思わず口に出す。こちらでは金剛と長門ってそんな関係なのか、とアヴェントに聞くと。
「ああ。金剛型航空艦は高速性を重視しているんだが…武装の搭載量が問題になってな。だからまず試作として『長門』と『陸奥』を作って技術を得て、金剛型を作ったんだ…もちろん。こちらの世界の話だ。名前が同じだけで旧日本海軍の軍艦とは関係が無い」
もっとも、SMFの所有する艦艇のほとんどは旧日本海軍の軍艦の名前を使っているがな、と彼は付け加えた。
「で、もう荷物は運んだのか?」
「ああ」
荷物はバック一つ。すぐに終わった。部屋が船とは思えないくらいの大きさだったが。
「客船かと思った」
「それは俺も思ったぜ」
操舵を担当している彼、ザーフは答えた。
「さすが元SMF旗艦というか…いやでもさすがに大きいと思うぜ」
「珍しく俺もおまえ同じ事を思った。ザーフ…全長852メートル。僅か14人で動かすには大きすぎる」
「14人!?」
そんな少人数で動かしているのか。
「いや、あんたと茜、あとあのメイドを抜いて11人…自動化のおかげっていう奴ね。もっともそれで作業が楽になったとは言えないけど」
通信・システム担当、メルトはコンソールを操作しながら言った。
「っと、アヴェント。AWACS(早期警戒機)『アオサギ』より通信。『貴艦は現在。山城基地防空識別圏より離脱。そのままルート32を航行せよ。グッドラック』」
「抜けたか…ザーフ。ANS(自動航行システム)セット。高度一万。ルート32だ」
「了解…ルート32、通常輸送航路か…セット完了」
「操縦をシステムに」
「システムコントロール…確認」
「よし…メルト、全員に伝達。メインブリーフィングルームへ集合。ミッションブリーフィングを行う…本来は飛ぶ前に行う事だが」
アルマダ級山城型航空重巡洋艦1番艦『近江山城』
一つの艦に、さらに二つの艦で左右から挟みこんだような形の三胴型(トリマラン)で右舷艦、左舷艦、中央艦後部に航空甲板を有している。
艦の中枢機能、つまり発令所や居住区、機関区はすべて一箇所に集められている、つまり主要区画(バイタルパート)。
それ以外は全て、兵器搭載区画および格納区画らしい。
だからまあ、いちいち852メートルある艦体を走り回る必要はないらしい。格納区画だって主要区画の後部にすぐ位置している。
いざとなれば左右の航空甲板をパージできるらしい。中央艦だけでも航行は可能らしい。
とにかく、艦橋からメインブリーフィングルームまではそんなに遠くない。
…主要区画だけで旧日本海軍の戦艦『大和』に匹敵するが。ともかく、俺たちはメインブリーフィングルームに行った。
中は結構広かった。大きなディスプレイ、パソコン(異世界に来てびっくりした物の一つ。ネットもあるらしい)、コーヒーメーカー。144/1スケールの『近江山城』の模型(!?)等々、14人で使うには大きすぎる。
そして既に、一人の金髪の女性エルフ(長耳族)の大人がいた。
「ええと、芹沢君、ですか?」
メガネを掛けたその人は確認するように俺の事を尋ねてきた。芹沢とはもちろん、俺の名前、偽名。
「朽木光男です…芹沢と名乗っていたようですが」
「じゃあ君が…始めましてっていえばいいのかな。浜大津総合学校2年E組担任、ルース・マインです」
そう言って、ルース先生は挨拶した。しかし、
「なぜ浜大津総合学校の教職員の方が?」
「レオス総司令にお願いをしたんです。みんなの担任として、心配でしたから。あなたも私のクラスなんですよ」
「え、そうなんですか?」
浜大津総合学校に転入していたのか俺は。それは初耳だ。
「ええ、今年の四月に転入してきて…それがSMFの要請で遠くに行くと聞いて心配になって。それに」
「光男、先生は元SMFの隊員なんだ」
アヴェントが説明する。
「俺の方からもお願いしたんだ。さすがに今回の航海を俺たち生徒だけで行うのはリスクが高すぎる。だから先生にアドバイザーをお願いしたんだ」
「そういうことで、よろしくお願いします。光男君」
「え、ええ。よろしくおねがいします」
満面の笑みを伴った挨拶に、俺はしどろもどろになりながら挨拶する。
何だろうこの先生から発せられる聖人(?)オーラ。素性はしらないが
「で、先生。実際どうなんだ?」
ニヤニヤしながらザーフが聞いた。
「本当は仕事から開放されたかっただけなんじゃ?」
「…ザーフ君。そういえば君、数学の期末テストの補習ありましたよねェ。この後にでも」
「さっすが先生!! すさまじい量の仕事をしっかりとやって更に僕たちの事まで心配して来てくださるなんて!!」
「よろしい」
まあ補習は受けてもらいますが、と相変わらずの笑顔の先生。なにか怖い。逆らわないでおこう。
「あと芹沢…じゃなかった朽木君。君も数学のテストで凄まじい点を取っているので補習確定です」
「ですよね」
数学は苦手だ。
じゃあ英語は? ははは、何の事やら…。
その後ほどなくして、メインクルー(と言っても14人)全員が集まり、ブリーフィングが始まった。
「改めて、艦長のアヴェントだ。艦の指揮は俺が取る。みんな指示をよく聞いて…そしてもし目の前にふと操縦桿があっても間違っても動かしたりましてやスロットルをマックスにしてマッハ3で艦を動かして山に激突させたりしないように」
艦長であるアヴェントが意味不明な事を言ったが、ザーフが「俺の事ですねわかります」といった顔をしていたので、恐らくザーフの事だろうっていうかどういう状況だよそれ。
「それでは今回の作戦の目的を、光男。よろしく頼む」
「分かった」
俺は封筒から作戦指令書を取り出し、読み上げる。
「本作戦の目的は大きく二つ。一つは次世代型戦略機動兵器、OG‐TX01のテスト及び同機体のフェイズ2の完成。二つ目は、KARAHASHIの開発していたWG、『三毛猫』の開発・試験だ」
「え」
と声を上げたのは金髪のケモ耳幼女。その横に居たオレンジ色の髪をポニーテイルにまとめた女が聞いてきた。
「『シューティングスター』は分かるが『三毛猫』の開発も進めろと? なぜ?」
「俺も良く知らないんだ」とアヴェント。
「理由はノーコメントらしい。とにかく『三毛猫』のほうも頼む、と。その件に関しては光男、手伝ってくれるか?」
「もちろんだ。お世話になったしな…俺からは以上だ。アヴェントどうぞ」
ああ、と言いながらアヴェントはディスプレイを起動させ、地図を出しながら説明し始めた。
「では、今後の予定だが…確認するが、本当に全部、今後の予定とか航路とか俺がやってもいいのか、光男?」
「うん。最高指揮権は俺にあるが…この世界についてはアヴェントが詳しい。そこらへんを分かっていない俺が今後の予定とかやるととんでもないことになる可能性が高い。ここは素直にお前にまかせたほうがいい」
「慎重な判断だ。ただ、何かあれば俺に言ってくれ。可能な限りお前の要望を通す」
「それで頼む…言ってくれ」
「分かった…本艦は現在、極東海を北西に、速度40キロ、高度一万キロ。通常輸送ルート32コースを航行中。本艦はこれよりHAK、レバリスク市に向かう。ルース先生、説明お願いします」
「分かったわ、ザーフ君」
ルース先生はコンソールを操作し、地図を出す。
「レバリスク市は、HAK領の東にある要塞都市…といっても1000年前に出来たもの。設備が古かったせいでフリークスの第一次侵攻の際、結構な被害を受けましたがなんとか復興、今にいたります。はいここ次の歴史のテストに出ます」
「「「テストに出るんかい」」」
先生を除いた全員がつっこみを入れた。先生は教育熱心のようだ。
「この町にはHAK屈指の名門校。白百合学園があり、町の周囲には学園所有の訓練場が多くあります。はいここテストに出ません」
「「「「出ないんかい」」」
またしても総ツッコミ。フム、この世界のボケ技術とツッコミ技術は高度のようだ、対策せねば。
「尚、近くには極東連合軍のレバリスク基地があります…町の概略はこれくらいかな、どうかな?」
「それで十分です…予定としてはこのレバリスク基地に停泊し、白百合学園の訓練場を使わせてもらうつもりだ…もっとも、何をどう試験するかはまだ決まっていないが…一応『三毛猫』の陸上試験はここで行うと決めている」
『三毛猫』、KARAHASHIが製作したWG。この作戦ではその試験も命令されていた。性能がよければ採用するらしい。
「一応、例のあれ(シューティングスター)は戦闘機らしいので、滑走路がある訓練場を使うが…何かあるか? 光男」
「いや、特に」
そうだった。俺が完成させるべきなのはあれなのだ。まだ戦闘機らしきものとしか分からないが。しかし戦闘機か…フム。
「到着は三日後、詳しい事は現地に付いてからだ…俺からは以上だ。何もなければこれで解散しようと思うが」
「いいえ、特に…そうだ、艦内の規則とかそういうのは?」
金髪の、角の生えた女子が答えた。
「結構重要じゃない?」
「言われて見ればそうだったな…気密扉を勝手に開けない。とか…すまない、夕食までにまとめておく」
他にはなにかあるか? とアヴェントが言った所で、俺は手を挙げた。
「どうした光男?」
「この『近江山城』ってさ、航空甲板あるよな」
「ああ、WG射出用のカタパルトが6つ、艦底部に1つ」
「どれぐらいのものまで射出可能なんだ?」
「あのWGを打ち出すパワーだ。ジャンボジェットだって打ち出せるぜ」とザーフが言った。
「確かにそれぐらいあるな…それが?」
「うん…」
俺は申し訳なさそうに、さっき思った事をぶちまけてみた。
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