幻想機動輝星

sabuo

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第2章 騎士の夢 BLADE RUNNER

第45話 輝星発進

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航空母艦に乗った事はないが、しかしこの格納庫は空母のそれより大きいと思った。
というかこの格納庫にイージス艦の一隻か二隻入るんじゃあないのか。と、
とにかく、『近江山城』の格納庫は大きく、広かった。ちなみに下はエンジン部分。艦の推進力を荷っている。
「でも本当に大きいな」
「WG一個中隊24機を格納できるスペースに一機のWGと戦闘機しか格納してないからね。これがフルに入るとぎゅうぎゅうずめになるよ」
そう、俺を格納庫まで案内してきた緑色のオークは言った。
「そうだ、僕の名前はオール・オートン。『シューティングスター』の機体製作を担当した、よろしく、光男君」
「よろしく。オール…これか。一応WG一機分のスペースはあるんだな?」
「うん」
それならいい。設計図をざっとみた感じWG一機で足りる筈だ。
「で、あれが」
「うん…OG-TX01」
大きい機体だった。ダブルデルタ翼。水平尾翼が二対(!?)。垂直尾翼が一対しかし、
「航空力学ガン無視だろコレ…」
なんとなくは予想していた。まるでレゴブロックでできているみたいだ。一応、戦闘機っぽく流線型の形をしているが、
しかし、戦闘機っていうのはもうちょっと、なんというかスマートな物だろう。この機体はなんというかごつい。
まるでスーパーXだ。というか、
「キャノピが無いぞこれ、無人機なのか?」
「いや、コックピットは中にあるんだよ。機体の中、それも機体の中心部分に」
「格納式ってか…視界が悪くないか?」
「周囲がすべてモニターになっているんだ…なんというか、その、エヴァンゲリオンの操縦席的なアレ」
「なるほど…なぜそうしたか言っていたか俺?」
「対ゴジラを念頭においているんだって」
「想定基準がおかしい件について」
いったい俺は何と戦うつもりだったんだ? 対フリークスはもちろん考えているだろうが。
「武装は何が?」
「固定武装としては魔力機関砲が二つ。魔力レーザー砲が一つ」
「その時点でかなりヤバめの装備だな…他には?」
「この機体専用のミサイル、爆弾などなど。様々な任務に対応できるようにしたって言ってた」
「様々な任務ね…」
翼の付け根の所に二種類の直方体状の物がそれぞれ二つずつ、左右合わせて二種類計八個の直方体状の物体があった。
…先端になにやらついてるけどこれってもしかして。
「あの…翼の付け根にあるやつってまさか」
「そのまさか、ミサイルだよあれ。しかも中距離用と長距離用の通常汎用ミサイル」
「……」
ミサイルって言うのは円筒状でしかもこんなに太くないって言うかこれ巡航ミサイルだろ!!
トマホーク(アメリカの巡航ミサイル)でさえこんなに太くなかったぞ!!
「速度はマッハ4…威力は知らないけどまだまだだって君が言ってた」
「そりゃそうだねえ!!」
ゴジラ基準だからな!!
「はあ…早速コックピットを見たいんだが」
「うん、ちょっとまってね」
と、オールが作業する間、俺は改めて機体を見てみる。そして気が付いた、
「なあオール、この機体さ、下になんかヘリコプターのそりのようなのあるけどさ、何?」
「着陸輪(ランディングギア)代わりだって、いっぱい詰め込んで重くなったから格納するスペースやらそもそも耐え切れないらしくって」
「……」
この世のどこに着陸輪の無い戦闘機があるのだろうか? 水上戦闘機なら分かるけどけどこれどう見たって水上戦闘機とは思えないっていうかもうとっくの昔に滅んでるわ水上戦闘機。暴論だけど。
第二次大戦か。
「ほら、開いた」
そういった瞬間、機体の中央部分から分厚い装甲がせり出した。俺は乗降用ラダーを昇り、中を見た。
「…うわあ」
大きい、本当に大きい。いわゆる複座(タンデム)だった。
座席はリクライニングしていた。操縦装置は前席後席どちらにもあり、操縦装置の前にはモニター等の周辺機器。だが前と後ろで種類が異なっている。どちらかといえば後席の方が機器が多い。前がパイロット席、後ろがフライトオフィサ席だろう。
「中々居心地がよさそうだ」
「そこらへん妙にこだわってたよ…ここだけに結構時間を割いた」
「迷惑かけてごめんなさい…で、この周りがモニター、と」
「今は電源が入ってないから暗いけど、起動したらすごく見晴らしがいいよ。下方視界も良好だよ」
「ん? ということはもう乗ったのか、これに?」
「うん、最終試験の際に、後ろが僕、前が君だったんだ…すごい体験だったよ」
「じゃあ、飛んだのは飛んだんだな」
「うん…あの、もしかして本当に発艦・着艦試験を今ここでやるの? 航行中の今?」
「うん」
もちろん武装して。




「サブジェネレータ起動。WWR(ウィザードウェイヴリアクター 魔力波動炉)点火用意」
「点火用意。超圧縮魔力生成開始。コンデンサ充填開始」
仕様書の起動手順を読みながら起動を開始する。
TX01の動力源である魔力波動炉の点火には大量の魔力を必要とする。
そのために、TX01には起動用の超高出力の魔力発動機(ウィザードジェネレータ)が積まれていた。
「コンデンサ充填完了。点火準備完了」
「点火(コンタクト)」
「点火(コンタクト)」
バン、と言う音と共に微かな振動と音が聞こえてきた。だんだん大きくなっている。
「魔力波動爆縮体の生成を確認、魔力変換システム変換率15%、MPO(魔力出力)5000KWに到達。WWR点火を確認」
「出力モードをアイドルへ移行、補助エンジン始動せよ」
スロットルレバーを動かしつつオールに指示を出しながら、パネルの表示に出ている魔力の量を注視する。出力は5000KW台で安定していた。
…ちなみに、5000KWと言うのは通常のWG(魔力駆動人型機動兵器)の戦闘魔力出力に値するらしい。
まだ発進準備中なんだけどな。
「補助エンジン起動確認、出力アイドル、ユーハブコントロール」
「アイハブ、メインシステム、起動」
パネルに起動中の文字、10%…25…31…50…69…74…88…92…100%
「起動、メインモニター点灯」
その瞬間、暗かった操縦席が明るくなった。
「おおう」
外の映像だった。格納庫が見えている。後ろを見ると、大きな翼、これはTX01のものだろう。後方の視界もしっかりと確保されていた。

メインパネルに表示。
<STARTSEQUENCE ACTIONINGEST…FS…FCS:KAGAYAKIBOSHI>
カガヤキボシ、とはなんだろうか?
「なあ、カガヤキボシってなんだ?」
「ああ、このTX01の中枢コンピュータだよ。この機体は中枢コンピュータをメインに、各コンピュータが支援する形でシステムが構築されているんだ」
「へえ…」
俺は絶対に設計していない。俺は数学がまったくできないしな…一体誰が?
<ALLSYSTEM…CHECK…OK:KAGAYAKIBOSHI>
「ちなみに、漢字では何て書くんだ? 聞いたかんじ、日本語のようだが」
「輝く星とかいて『輝星(かがやきぼし)』って言ってたよ、君は。ちなみにこの機体のパーソナルネーム」
「マジかい」
<LAUNCH READY>
「発進準備完了…いつでもいいよ…えーと」
「ん?…ああ、光男でいいよ。管制室、聞こえるか? 発進準備用意よし」
『あー、あー、マイクテステス…光男君、聞こえる?』
「茜? お前が管制を?」
『まあね、タリは艦のレーダー管制から手が離せなくて、私が』
「なるほど…頼んだぞ、頼りにしている」
『歴史研究部突撃前衛としては私がTX01を操縦したかったけどね、まあ、トムキャット(F-14)で航空支援やった光男君の方がいいでしょ。バックアップはまかせなさい…『輝星』移動開始』




格納庫内にサイレンが鳴り響く、と同時に『輝星』が天井からアームに持ち上げられ、移動を開始。
後方に下がりエレベーターへ移動、移動終了後にアーム降ろされ、エレベータが上へと動き出した。
『CPより輝星へ、現在近江山城は高度5000まで降下、風速減衰術式を用いて風速を減衰中、ウインド30、ガスト無し』
「輝星了解…風速30mって。オール、最終確認」
「確認した、再確認よし」
「ハッチ閉鎖」
コックピットハッチが閉まり、完全に閉鎖される。
発進用意階に到達と同時にエレベータが停止、そしてまた天井からアームが下ろされ持ち上げられる。エレベータ下降。
『発進カタパルトは3番使用、エレベータハッチ閉鎖』
同時に輝星が降ろされる。
『レールセットを確認。気密扉開放』
横の壁が開いた。蒼い、空。
『カタパルトへ移動』
輝星の下に魔法陣が形成、輝星が浮き、カタパルトへ移動。ロック。
『3番カタパルト、魔力充填中、安全装置解除、術式起動』
カタパルトレール上に大量の魔法陣、後方にも同様に大量の魔法陣が展開、
『進路上障害物無し、クリア、輝星、クリアフォードテイクオフ』
「了解…オール、いいか?」
「いつでも」
即答だった。俺は宣言する。




「『輝星』、テイクオフ」
 

 
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