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第2章 騎士の夢 BLADE RUNNER
第46話 フリークス遭遇
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衝撃とともに、体を押し付けられる感触。
約500メートルあるカタパルトを一気に抜いて輝星は飛び立つ。機首上げ。浮遊感。飛んだ。
「やった、飛んだ!」
後席のオールが声を上げた。
「すごいや! 光男君!!」
「ああ…すごいな、本当に飛んでる」
スティックを操作し、左旋回、近江山城の針路から外れ、逆に正面から近江山城の左舷を抜く。
「おおう」
改めて、馬鹿でかい艦だと思った。全長852メートルの巨大な船体、その艦体に取り付けられた多数の武装。
後ろを見てみると、大きなノズルが三つ、小さいノズルが六つ。そこから緑色の圧縮魔力を噴き出して近江山城は進んでいた。
飛んでいる。
輝星も近江山城も、確かに飛んでいた。
「…輝星からCP、これより機動試験を開始する」
『CP了解、近江山城から半径10キロ以内で』
「了解…オール、いいか?」
「いつでも…浜大津でも同じ事をやったからね。まず何をする?」
「とりあえずスロットルを最大にしてみる」
スロットルレバーを押し、最大。MAXへ。
「「ぐぼはあッ!!」」
と、そんな風に俺こと朽木光男とオールが輝星の飛行試験していた時、目的地であるレバリスク市内で人探しをやっている聖騎士がいた。
白百合騎士団団長リディス・マリアファスである。
人探しの相手とは、もちろん彼女の親友である…問題『聖騎士』
「はあ…」
思わずため息をつく、何度目だろう。
「なんで拘留期間あと一日で脱走するのかしら…」
本人曰く、『拘留所の飯が不味い』そうなのだが。いや、分からないでもない。
以前、彼女がどうして拘置所から脱走するのか調べた事があった。聖騎士はHAK内の特権階級であり、数多くの特権を持っている。彼女がよく起こす喧嘩程度なら、通常一週間が、聖騎士はある法律によって三日程度で済まされる。
なのにどうしてか彼女が一日目の夜に脱走するのだ、たった三日我慢すればいいのに、いやそもそも喧嘩を起こさなければいい。
大抵起こすのは彼女だ。
「…無理ですね」
彼女は聖騎士では珍しい、出世によって聖騎士になった。確か軍団規模のフリークスを1人でやったとかそういう話だ。
その武勲を認められ、聖騎士になった。
当時は大騒ぎになった。本来名だたる騎士の家から聖騎士は出るべきなのに、ルーバの者から出してもよいのか?
ルーバ族は放牧民族であり戦闘民族だ。向かってくる敵は殺すべし慈悲は無い。というのが彼らの信条である。
かつてこの地を治めた魔帝でさえ彼らには一目置き、敵との戦いにおいては北方のアマゾネスとの共同軍集団を作り、敵の正面に突撃させたそうだ。本人たちも喜び勇んでやったというから本当に頭がおかしい。
そして彼女は、そのアマゾネスとルーバ族の者を両親のもっていたからいっそう大丈夫かと言われた。
ところが以外な事に、騎士連盟は彼女を聖騎士に任命した。このとき彼女は14歳。ある者と並んで当時最年少の聖騎士が2人生まれた。
まあ、結論から言って、
「全然大丈夫じゃありませんでしたわね」
彼女はなんというか、騎士というより人間界のジャパンにいるとか言うボウソウ族とかいうやつだった。
聖騎士になった三日後に酒屋で騒ぎを起こしてお縄についた。その後も彼女はさまざまな拘置所沙汰(なぜか刑務所まではいかない)を引き起こし、今に至る。
そんな彼女の性格はすごく単純、『気に入らなかったらぶちのめす』 拘留所の食事は確かにまずかった、だから彼女は脱走したのだろう。
幼馴染ではなかったらとうに見捨てている。
「本当はいい人なのですが」
ただ、昔からキレ気味で喧嘩好きで、最悪な事に彼女は喧嘩が強かった。そしてそれは今も健在だ。
対フリークス戦においても。
『近接格闘戦で彼女に敵う者はいない』というのは既にHAK騎士界では常識だ。対フリークス戦の先陣も彼女。
本当に強いのだ、彼女は。
そしてリディスは、そんな彼女の数少ない友だった。
「…恐らくここでしょう」
本通りの裏側、小さな店が立ち並ぶ暗くて狭い路地。脱走した彼女は大抵ここに行く、毎回毎回彼女を連れ戻すリディスにしか分からない情報。
しかし彼女は、それを決して他人に教えなかった。友達故。
地下へと続く階段。そのドアを開ける。
「…来たんだ、リディス」
いきなり彼女に呼ばれた。
小さなバー、名前は知らない。知る奴は居ない。場所は知る人しか知らない。人から教えられないかぎり分からない。
まあつまり『危ない人が一時的に逃げ込む』用の所だ。
そして彼女はそんなバーの一番奥に居た。
特攻服姿の、初見の人はどこからどう見たって不良というか、間違っても聖騎士とは思わないだろう。
だが聖騎士だ。
「探しましたよ…ヒース」
「…フムン」
「光男君…そろそろ…ね。うん、吐きそう」
「頼むから止めてくれ…なあオール、耐Gスーツとかないのか?」
「タイジースーツ? 何ソレ?」
「OK、把握した」
俺は、耐Gスーツなど要らないとかいう馬鹿な事を考えたのだ。要る、絶対に要る。
今の俺たちは私服だ。操縦服では無い。まあつまり、戦闘機の高Gに耐えるための服では無いという事だ。
はっきりいってヤバイ。急速旋回したら余裕で死ねる。
「これ、耐G機構的な奴ないのか?」
「…確か、術式とかで抑えてるとか言っていた」
「甘い、帰ったらそれの強化だな」
「これ以上強化するの?」
「フリークスがどんな奴かは知らんがこの程度の機動でここまで負荷がかかるのはマズイ。致命的だ」
減速させ、旋回。体を押す感覚、きつい。
「とりあえずこれぐらいにしよう。帰還しようオール」
「了解」
そう言った直後に、警告音
「「!!」」
速やかにコンソールパネルを操作し、機体チェック。全系統異常なし。
『近江山城からF‐1輝星。フリークスを確認、九時方向。タイプスピア。数4』
「!!」
速やか左旋回。正対する。
「撃墜する」
「光男君!?」
レーダーに表示、『FREAKS TYPE SPEAR×4』
「今、近江山城はあれを迎撃できない、俺達がやるしかない。爆装してるだろ」
「迎撃できないって」
『近江山城艦橋、アヴェントだ。光男、オール。それを撃墜してくれ!! こちらは迎撃できない!!』
「だろうな、もう向かってる」
『どういうことだ!?』
「火器管制担当要員いないだろ!! 発進の時いなかった…これより迎撃に入る。通信切るぞ!!」
『…頼むッ!!』
「任せろ」
レーダーに表示、距離11000 速度1100
「オール、レーダー管制を頼む。できる限りでいい」
「分かった、やってみる」
オールは俺の言葉に躊躇わず、操作する。
「準備よろし」
「エンゲージ!!」
マスターアームスイッチオン。管制パネル表示、
RDY GUN
RDY XWPLS
RDY XMPM2×4
RDY XMPM3×4
「ターゲット、急速接近、12時方向」
XMPM2を選択。
立体表示型のディスプレイが起動、エネミー表示、四つ。うち二つが赤くなる。ロックオン。
「ファイアッ!!」
発射と同時に右へ旋回。反撃に備える。
「ミサイル着弾まで…当たったッ!!」
XMPM(試作汎用ミサイル)が先行してくる二つ(二匹?)のフリークスに当たる。撃墜。
「ターゲット散開…下からくるッ!!」
「上だッ!!」
即座に機首を上げ、ロール。左を黒い何かが、槍みたいのが通った。
フリークス。
「後方、追いつかれた!!」
「任せろッ!!」
スピードブレーキ作動、速度を落として宙返りし、正対。目の前に、フリークス。
<FIRE GUN>
輝星に搭載された二基の魔力バルカン砲から圧縮された魔力が間欠泉の様に発射され、フリークスを粉々に砕く。
「残りはどこに行った!? オール」
「えーとどこだ…いたッ。12時方向…逃げてる」
「させるか」
XMTL(試作型魔力戦術レーザー)を選択、ターゲットロック。
「ファイアッ!!」
機首下に設置されたレーザー砲から緑色の線が飛び…フリークスが爆散した。
「…オール、他にはいるか?」
「いない…すごいや。僕たち本当に戦ったんだ…」
呆然とした様子のオール。それは俺も同じだった。
「輝星より近江山城。フリークスの迎撃に成功。再確認を頼む」
『こちら近江山城。撃墜を確認したわ…さすが、歴史研究部の航空係』
「おだてても何も出ないぞ。腕も体力も落ちている」
『体力なって元々無いくせに』
「そうだな、帰還する。着艦誘導を頼む」
『りょーかい』
茜の奴、と思いつつ。呆然としていたオールを正気に戻し、改めて機体の確認。
全系統異常なし。マスターアームスイッチを解除し。帰投宣言。
「こちら輝星、飛行試験を終了。周囲に敵無し…ミッションコンプリート、RTB」
約500メートルあるカタパルトを一気に抜いて輝星は飛び立つ。機首上げ。浮遊感。飛んだ。
「やった、飛んだ!」
後席のオールが声を上げた。
「すごいや! 光男君!!」
「ああ…すごいな、本当に飛んでる」
スティックを操作し、左旋回、近江山城の針路から外れ、逆に正面から近江山城の左舷を抜く。
「おおう」
改めて、馬鹿でかい艦だと思った。全長852メートルの巨大な船体、その艦体に取り付けられた多数の武装。
後ろを見てみると、大きなノズルが三つ、小さいノズルが六つ。そこから緑色の圧縮魔力を噴き出して近江山城は進んでいた。
飛んでいる。
輝星も近江山城も、確かに飛んでいた。
「…輝星からCP、これより機動試験を開始する」
『CP了解、近江山城から半径10キロ以内で』
「了解…オール、いいか?」
「いつでも…浜大津でも同じ事をやったからね。まず何をする?」
「とりあえずスロットルを最大にしてみる」
スロットルレバーを押し、最大。MAXへ。
「「ぐぼはあッ!!」」
と、そんな風に俺こと朽木光男とオールが輝星の飛行試験していた時、目的地であるレバリスク市内で人探しをやっている聖騎士がいた。
白百合騎士団団長リディス・マリアファスである。
人探しの相手とは、もちろん彼女の親友である…問題『聖騎士』
「はあ…」
思わずため息をつく、何度目だろう。
「なんで拘留期間あと一日で脱走するのかしら…」
本人曰く、『拘留所の飯が不味い』そうなのだが。いや、分からないでもない。
以前、彼女がどうして拘置所から脱走するのか調べた事があった。聖騎士はHAK内の特権階級であり、数多くの特権を持っている。彼女がよく起こす喧嘩程度なら、通常一週間が、聖騎士はある法律によって三日程度で済まされる。
なのにどうしてか彼女が一日目の夜に脱走するのだ、たった三日我慢すればいいのに、いやそもそも喧嘩を起こさなければいい。
大抵起こすのは彼女だ。
「…無理ですね」
彼女は聖騎士では珍しい、出世によって聖騎士になった。確か軍団規模のフリークスを1人でやったとかそういう話だ。
その武勲を認められ、聖騎士になった。
当時は大騒ぎになった。本来名だたる騎士の家から聖騎士は出るべきなのに、ルーバの者から出してもよいのか?
ルーバ族は放牧民族であり戦闘民族だ。向かってくる敵は殺すべし慈悲は無い。というのが彼らの信条である。
かつてこの地を治めた魔帝でさえ彼らには一目置き、敵との戦いにおいては北方のアマゾネスとの共同軍集団を作り、敵の正面に突撃させたそうだ。本人たちも喜び勇んでやったというから本当に頭がおかしい。
そして彼女は、そのアマゾネスとルーバ族の者を両親のもっていたからいっそう大丈夫かと言われた。
ところが以外な事に、騎士連盟は彼女を聖騎士に任命した。このとき彼女は14歳。ある者と並んで当時最年少の聖騎士が2人生まれた。
まあ、結論から言って、
「全然大丈夫じゃありませんでしたわね」
彼女はなんというか、騎士というより人間界のジャパンにいるとか言うボウソウ族とかいうやつだった。
聖騎士になった三日後に酒屋で騒ぎを起こしてお縄についた。その後も彼女はさまざまな拘置所沙汰(なぜか刑務所まではいかない)を引き起こし、今に至る。
そんな彼女の性格はすごく単純、『気に入らなかったらぶちのめす』 拘留所の食事は確かにまずかった、だから彼女は脱走したのだろう。
幼馴染ではなかったらとうに見捨てている。
「本当はいい人なのですが」
ただ、昔からキレ気味で喧嘩好きで、最悪な事に彼女は喧嘩が強かった。そしてそれは今も健在だ。
対フリークス戦においても。
『近接格闘戦で彼女に敵う者はいない』というのは既にHAK騎士界では常識だ。対フリークス戦の先陣も彼女。
本当に強いのだ、彼女は。
そしてリディスは、そんな彼女の数少ない友だった。
「…恐らくここでしょう」
本通りの裏側、小さな店が立ち並ぶ暗くて狭い路地。脱走した彼女は大抵ここに行く、毎回毎回彼女を連れ戻すリディスにしか分からない情報。
しかし彼女は、それを決して他人に教えなかった。友達故。
地下へと続く階段。そのドアを開ける。
「…来たんだ、リディス」
いきなり彼女に呼ばれた。
小さなバー、名前は知らない。知る奴は居ない。場所は知る人しか知らない。人から教えられないかぎり分からない。
まあつまり『危ない人が一時的に逃げ込む』用の所だ。
そして彼女はそんなバーの一番奥に居た。
特攻服姿の、初見の人はどこからどう見たって不良というか、間違っても聖騎士とは思わないだろう。
だが聖騎士だ。
「探しましたよ…ヒース」
「…フムン」
「光男君…そろそろ…ね。うん、吐きそう」
「頼むから止めてくれ…なあオール、耐Gスーツとかないのか?」
「タイジースーツ? 何ソレ?」
「OK、把握した」
俺は、耐Gスーツなど要らないとかいう馬鹿な事を考えたのだ。要る、絶対に要る。
今の俺たちは私服だ。操縦服では無い。まあつまり、戦闘機の高Gに耐えるための服では無いという事だ。
はっきりいってヤバイ。急速旋回したら余裕で死ねる。
「これ、耐G機構的な奴ないのか?」
「…確か、術式とかで抑えてるとか言っていた」
「甘い、帰ったらそれの強化だな」
「これ以上強化するの?」
「フリークスがどんな奴かは知らんがこの程度の機動でここまで負荷がかかるのはマズイ。致命的だ」
減速させ、旋回。体を押す感覚、きつい。
「とりあえずこれぐらいにしよう。帰還しようオール」
「了解」
そう言った直後に、警告音
「「!!」」
速やかにコンソールパネルを操作し、機体チェック。全系統異常なし。
『近江山城からF‐1輝星。フリークスを確認、九時方向。タイプスピア。数4』
「!!」
速やか左旋回。正対する。
「撃墜する」
「光男君!?」
レーダーに表示、『FREAKS TYPE SPEAR×4』
「今、近江山城はあれを迎撃できない、俺達がやるしかない。爆装してるだろ」
「迎撃できないって」
『近江山城艦橋、アヴェントだ。光男、オール。それを撃墜してくれ!! こちらは迎撃できない!!』
「だろうな、もう向かってる」
『どういうことだ!?』
「火器管制担当要員いないだろ!! 発進の時いなかった…これより迎撃に入る。通信切るぞ!!」
『…頼むッ!!』
「任せろ」
レーダーに表示、距離11000 速度1100
「オール、レーダー管制を頼む。できる限りでいい」
「分かった、やってみる」
オールは俺の言葉に躊躇わず、操作する。
「準備よろし」
「エンゲージ!!」
マスターアームスイッチオン。管制パネル表示、
RDY GUN
RDY XWPLS
RDY XMPM2×4
RDY XMPM3×4
「ターゲット、急速接近、12時方向」
XMPM2を選択。
立体表示型のディスプレイが起動、エネミー表示、四つ。うち二つが赤くなる。ロックオン。
「ファイアッ!!」
発射と同時に右へ旋回。反撃に備える。
「ミサイル着弾まで…当たったッ!!」
XMPM(試作汎用ミサイル)が先行してくる二つ(二匹?)のフリークスに当たる。撃墜。
「ターゲット散開…下からくるッ!!」
「上だッ!!」
即座に機首を上げ、ロール。左を黒い何かが、槍みたいのが通った。
フリークス。
「後方、追いつかれた!!」
「任せろッ!!」
スピードブレーキ作動、速度を落として宙返りし、正対。目の前に、フリークス。
<FIRE GUN>
輝星に搭載された二基の魔力バルカン砲から圧縮された魔力が間欠泉の様に発射され、フリークスを粉々に砕く。
「残りはどこに行った!? オール」
「えーとどこだ…いたッ。12時方向…逃げてる」
「させるか」
XMTL(試作型魔力戦術レーザー)を選択、ターゲットロック。
「ファイアッ!!」
機首下に設置されたレーザー砲から緑色の線が飛び…フリークスが爆散した。
「…オール、他にはいるか?」
「いない…すごいや。僕たち本当に戦ったんだ…」
呆然とした様子のオール。それは俺も同じだった。
「輝星より近江山城。フリークスの迎撃に成功。再確認を頼む」
『こちら近江山城。撃墜を確認したわ…さすが、歴史研究部の航空係』
「おだてても何も出ないぞ。腕も体力も落ちている」
『体力なって元々無いくせに』
「そうだな、帰還する。着艦誘導を頼む」
『りょーかい』
茜の奴、と思いつつ。呆然としていたオールを正気に戻し、改めて機体の確認。
全系統異常なし。マスターアームスイッチを解除し。帰投宣言。
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