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そのはち
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ロナことザガラ曰く、若さを持続させるために、魔力が必要不可欠だと言う。若く愛らしい姿にするため、日々魔力をせっせと集めているようだ。世界からしたら、魔法の国の人間というだけで桁違いの魔法使いなのだが、魔法の国の民であるザガラは、国においては可もなく不可もなくというレベルなのだという。
ロナの容姿がザガラの好みの容姿だったため、本物と入れ替わったようだ。ロナを模写した姿のザガラだ。魔力があるに決まっている。この国の基準に収まるよう魔力値をコントロールし、学園生活を始めた。当然、天才的な使い手になる。そんなザガラは、魔力の多い人物に擦り寄る。ザガラから見て、一番魔力があったのが、ギャレット。練度の高さはミレイが群を抜いていたが、あくまでも量が必要だった。
魔法の国において、ザガラは極々普通。ジュエルやカインのように、トップクラスとまではいかなくても、上位に入るレベルの者たちであれば、上辺の魔力量に踊らされたりしない。潜在的な魔力量を見る。そのためジュエルは、ギャレットではなく、エティハ・グレイアンジュを選んだのだ。
その程度のザガラが、何故覇王ほどの人物に知られているのか。
倫理観ゼロの魔法の国において、たった一つだけ法がある。
同族殺しは死刑。
魔法の国の人間が世界中を殺して回ったとしても、魔法の国は我関せず。強いて言うなら、魔力どのくらい集まった?くらいの関心しか寄せない。それなのに、自国の民に刃を向ける者には、例え自国の民でも赦さない。そんな身勝手な国。
「さて。楽しい余興も終わりました。本題に入りましょうか」
カインの言葉に、ザガラは蒼白になりながら体を震わせる。
「わ、わたし、の、姿は、元のものと、かけ離れた、ものなのに」
ザガラがカインを見て逃げようとした理由。
「嫌ですね。これだから無能は。姿なんて知りませんよ。我々は魂の形で判断しているのですから」
本当に次元が違う。ザガラは、バレないと思っていた。けれど、何がきっかけになるかわからない。だから、逃げようとしたのに。
「おまえを追いかけながら、世界中で魔力を集めていただけですよ。けれど、そろそろ飽きてきました」
いつでも捕まえられた。けれど、追いかけっこも暇潰しにいいかもしれない。
言外に含まれる言葉に、ザガラは崩れ落ちた。
「何故逃げられると思ったのでしょうね。本当に、彼我の差がわからない無能はこれだから。ああ、だから同族殺しなんて出来るのでしょう」
にっこり嗤うカインが、ザガラに左の手のひらを向けると。
「さて。追いかけっこの次は、どんな暇潰しをしましょうか」
ロナ・マルアレアだった者の姿が、枯れ枝のような老人の姿へと変わっていた。
「アレは私に任せていただいても?」
カインの言葉にジュエルが頷くと、カインは、枯れ枝のようになり、動けずにいるロナことザガラを振り返る。その側で呆然としているギャレットへ、邪魔ですね、と呟いたカインは、クイ、と指を動かした。
「ふおおっ?!」
壇上から反対側にある入り口に飛ばされ、扉に背中を打ちつけるギャレットの口から、潰れたカエルのような声が漏れた。近くにいた者が、一応助け起こす。目が回っているようなので、とりあえずもう一度寝かせておくことにした。アホ王子なんぞより、魔法の国の人たちの動向が気になって仕方がないから、仕方がない。
あのロナを、赤子のように扱うカインに、みんなは少なからず恐怖し、また、興奮してもいた。
魔法の天才と言われていたロナ。魔法の国の人間であれば、それはそうだろう。誰もがロナの魔法だけは称賛していた。誰も追いつけない、凄まじい使い手だった。もしかしたら、魔法の国の人々さえ、ロナには敵わないのではないか、などと夢を見た。
魔法の国の人間の魔法を、知らなすぎた。
魔法の国の人間は、滅多にお目にかかれないから仕方がないかもしれない。それでも、あまりにも桁違いすぎやしないだろうか。
ロナが、無能と呼ばれ、赤子のように手も足も出ないなんて。
*つづく*
ロナの容姿がザガラの好みの容姿だったため、本物と入れ替わったようだ。ロナを模写した姿のザガラだ。魔力があるに決まっている。この国の基準に収まるよう魔力値をコントロールし、学園生活を始めた。当然、天才的な使い手になる。そんなザガラは、魔力の多い人物に擦り寄る。ザガラから見て、一番魔力があったのが、ギャレット。練度の高さはミレイが群を抜いていたが、あくまでも量が必要だった。
魔法の国において、ザガラは極々普通。ジュエルやカインのように、トップクラスとまではいかなくても、上位に入るレベルの者たちであれば、上辺の魔力量に踊らされたりしない。潜在的な魔力量を見る。そのためジュエルは、ギャレットではなく、エティハ・グレイアンジュを選んだのだ。
その程度のザガラが、何故覇王ほどの人物に知られているのか。
倫理観ゼロの魔法の国において、たった一つだけ法がある。
同族殺しは死刑。
魔法の国の人間が世界中を殺して回ったとしても、魔法の国は我関せず。強いて言うなら、魔力どのくらい集まった?くらいの関心しか寄せない。それなのに、自国の民に刃を向ける者には、例え自国の民でも赦さない。そんな身勝手な国。
「さて。楽しい余興も終わりました。本題に入りましょうか」
カインの言葉に、ザガラは蒼白になりながら体を震わせる。
「わ、わたし、の、姿は、元のものと、かけ離れた、ものなのに」
ザガラがカインを見て逃げようとした理由。
「嫌ですね。これだから無能は。姿なんて知りませんよ。我々は魂の形で判断しているのですから」
本当に次元が違う。ザガラは、バレないと思っていた。けれど、何がきっかけになるかわからない。だから、逃げようとしたのに。
「おまえを追いかけながら、世界中で魔力を集めていただけですよ。けれど、そろそろ飽きてきました」
いつでも捕まえられた。けれど、追いかけっこも暇潰しにいいかもしれない。
言外に含まれる言葉に、ザガラは崩れ落ちた。
「何故逃げられると思ったのでしょうね。本当に、彼我の差がわからない無能はこれだから。ああ、だから同族殺しなんて出来るのでしょう」
にっこり嗤うカインが、ザガラに左の手のひらを向けると。
「さて。追いかけっこの次は、どんな暇潰しをしましょうか」
ロナ・マルアレアだった者の姿が、枯れ枝のような老人の姿へと変わっていた。
「アレは私に任せていただいても?」
カインの言葉にジュエルが頷くと、カインは、枯れ枝のようになり、動けずにいるロナことザガラを振り返る。その側で呆然としているギャレットへ、邪魔ですね、と呟いたカインは、クイ、と指を動かした。
「ふおおっ?!」
壇上から反対側にある入り口に飛ばされ、扉に背中を打ちつけるギャレットの口から、潰れたカエルのような声が漏れた。近くにいた者が、一応助け起こす。目が回っているようなので、とりあえずもう一度寝かせておくことにした。アホ王子なんぞより、魔法の国の人たちの動向が気になって仕方がないから、仕方がない。
あのロナを、赤子のように扱うカインに、みんなは少なからず恐怖し、また、興奮してもいた。
魔法の天才と言われていたロナ。魔法の国の人間であれば、それはそうだろう。誰もがロナの魔法だけは称賛していた。誰も追いつけない、凄まじい使い手だった。もしかしたら、魔法の国の人々さえ、ロナには敵わないのではないか、などと夢を見た。
魔法の国の人間の魔法を、知らなすぎた。
魔法の国の人間は、滅多にお目にかかれないから仕方がないかもしれない。それでも、あまりにも桁違いすぎやしないだろうか。
ロナが、無能と呼ばれ、赤子のように手も足も出ないなんて。
*つづく*
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