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5 誰も知らない出来事 スウィーディーside
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「ここなら誰もいない。何かあったのか、ワーテラー公爵令嬢様と」
その言葉に驚いて、コノアを見上げる。
救護室に連れて来てくれたコノアは、あたしをベッドに座らせると、すぐに扉の方へ引き返してしまった。そのまま授業に戻ると思ったら、開け放たれたままの入り口の壁に寄りかかってそう言った。
きっと、誰か来たらすぐ話を切り上げられるように見張ってくれているんだ。
あたしの話を、人に聞かれないように配慮してくれていることが、とっても嬉しい。
「私の話を、聞いてくれるの?」
誰もが口を開けば賛辞の言葉しか出て来ない、ユセフィラ様。そんなユセフィラ様なのに、あたしは、怖いの。そんなあたしの話、信じてもらえるのかな。そもそも、ユセフィラ様と何かあったって思ってくれることが信じられない。ユセフィラ様は誰にでも分け隔てなく接してくれる女神だって、慈悲深い聖女だって言われている。そんなユセフィラ様と、何かあるなんて誰も思わない。あったとしても、悪いのはユセフィラ様じゃなくて、むしろ聖女で女神のユセフィラ様を怒らせた方だ、怒らせるなんてあり得ないって、大顰蹙を買うのに。
「ああ」
間髪入れずにコノアは頷いてくれたけど。
「でも、私、みんなから嫌われてるんだよ?そんな子の話、信じてくれるの?」
恐る恐る尋ねると、
「ほぅ。嫌われている自覚はあるのか」
驚いたようにそう言われた。
「もう!ひどいよ、コノア!」
からかわれてるのかな。もう、コノアったら。
「だが、みんなから嫌われているわけではないだろう。好意を向けている目もあるだろう」
コノアの言葉に、一瞬過ぎった顔。
「う、ん、まあ、ね」
気恥ずかしくて、ちょっと顔を逸らす。
すごいな、コノア。まだほんの数時間しかこの学園にいないのに、いろいろ見ているんだ。
「それから信じる信じないは、私は自分の目で見て感じたものしか信じない、とだけ言っておこう」
そう言ったコノアは、とても同い年と思えないほど大人びた表情をしていて。
何でだろう、あたしは、コノアなら信じられるって思った。
だから話したの。
包み隠さず。憶測もある、証拠もない。でも、あたしの気持ちを、全部、全部。
授業が始まることも気にせず、コノアは黙って聞いてくれた。あたしの下手な説明に苛立つこともなく、相槌を打つだけで、最後まで黙って聞いてくれた。
全部話し終わったあたしは、涙が零れていた。
「キミの話が事実なら、キミがワーテラー公爵令嬢様に対して恐怖するのも頷ける」
事実なら。そう言ったコノアの言葉に、さらに涙が溢れる。
「信じて、くれないの?」
コノアは、フゥ、と息を吐くと、あたしに近付いて来た。
「言っただろう。目で見て感じたものを信じると」
あたしの目の前に来ると、手が差し出された。差し出されたその手には、真っ白なハンカチがあった。ハンカチに目をやり、もう一度コノアを見上げると、コノアはそっぽを向いていた。照れて、いるのだろうか。
「ふふ。ありがとう、コノア」
ありがたくハンカチを手に取り、そっと涙を拭うと、コノアはそのハンカチをあたしの手から引き取り、また自分のポケットにしまった。
「コノア、汚しちゃったから、洗ってから返すわ!」
慌ててそう言うと、気にするな、と言われてしまった。
やっぱり、優しい人。
ねえ、コノア。
あなたの前でなら、あたしはバカなフリをしなくてもいいかな?
ムリして笑わなくてもいいかな。
あたしはあたしでいても、いいかな。
本当のあたしを、見せてもいいかな。
*つづく*
その言葉に驚いて、コノアを見上げる。
救護室に連れて来てくれたコノアは、あたしをベッドに座らせると、すぐに扉の方へ引き返してしまった。そのまま授業に戻ると思ったら、開け放たれたままの入り口の壁に寄りかかってそう言った。
きっと、誰か来たらすぐ話を切り上げられるように見張ってくれているんだ。
あたしの話を、人に聞かれないように配慮してくれていることが、とっても嬉しい。
「私の話を、聞いてくれるの?」
誰もが口を開けば賛辞の言葉しか出て来ない、ユセフィラ様。そんなユセフィラ様なのに、あたしは、怖いの。そんなあたしの話、信じてもらえるのかな。そもそも、ユセフィラ様と何かあったって思ってくれることが信じられない。ユセフィラ様は誰にでも分け隔てなく接してくれる女神だって、慈悲深い聖女だって言われている。そんなユセフィラ様と、何かあるなんて誰も思わない。あったとしても、悪いのはユセフィラ様じゃなくて、むしろ聖女で女神のユセフィラ様を怒らせた方だ、怒らせるなんてあり得ないって、大顰蹙を買うのに。
「ああ」
間髪入れずにコノアは頷いてくれたけど。
「でも、私、みんなから嫌われてるんだよ?そんな子の話、信じてくれるの?」
恐る恐る尋ねると、
「ほぅ。嫌われている自覚はあるのか」
驚いたようにそう言われた。
「もう!ひどいよ、コノア!」
からかわれてるのかな。もう、コノアったら。
「だが、みんなから嫌われているわけではないだろう。好意を向けている目もあるだろう」
コノアの言葉に、一瞬過ぎった顔。
「う、ん、まあ、ね」
気恥ずかしくて、ちょっと顔を逸らす。
すごいな、コノア。まだほんの数時間しかこの学園にいないのに、いろいろ見ているんだ。
「それから信じる信じないは、私は自分の目で見て感じたものしか信じない、とだけ言っておこう」
そう言ったコノアは、とても同い年と思えないほど大人びた表情をしていて。
何でだろう、あたしは、コノアなら信じられるって思った。
だから話したの。
包み隠さず。憶測もある、証拠もない。でも、あたしの気持ちを、全部、全部。
授業が始まることも気にせず、コノアは黙って聞いてくれた。あたしの下手な説明に苛立つこともなく、相槌を打つだけで、最後まで黙って聞いてくれた。
全部話し終わったあたしは、涙が零れていた。
「キミの話が事実なら、キミがワーテラー公爵令嬢様に対して恐怖するのも頷ける」
事実なら。そう言ったコノアの言葉に、さらに涙が溢れる。
「信じて、くれないの?」
コノアは、フゥ、と息を吐くと、あたしに近付いて来た。
「言っただろう。目で見て感じたものを信じると」
あたしの目の前に来ると、手が差し出された。差し出されたその手には、真っ白なハンカチがあった。ハンカチに目をやり、もう一度コノアを見上げると、コノアはそっぽを向いていた。照れて、いるのだろうか。
「ふふ。ありがとう、コノア」
ありがたくハンカチを手に取り、そっと涙を拭うと、コノアはそのハンカチをあたしの手から引き取り、また自分のポケットにしまった。
「コノア、汚しちゃったから、洗ってから返すわ!」
慌ててそう言うと、気にするな、と言われてしまった。
やっぱり、優しい人。
ねえ、コノア。
あなたの前でなら、あたしはバカなフリをしなくてもいいかな?
ムリして笑わなくてもいいかな。
あたしはあたしでいても、いいかな。
本当のあたしを、見せてもいいかな。
*つづく*
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