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18 真相5
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「あれは、私自身の決意表明だ」
「はああ?!」
「“では、復讐するか”と、自分自身に言った言葉だ」
「意味がわからない!」
「私が、おまえに、復讐をする、と決意表明をしたのだ」
まあ、大きな独り言だな、と表情一つ変えることなくコノアは言い放った。
ユフィをこんな目に遭わせやがってっ 絶対復讐してやるっ
言葉の乱れたリスランを思い出して、復讐という言葉を使った。スウィーディーを勘違いさせる意味も、もちろん多分に含んでいた。
「あ、あの状況でそんなこと言われたら、あたしのために復讐をしてくれるって思うでしょう、普通!それを誤解だなん、て」
スウィーディーはハッとした。
ノヴァは嗤う。
「それなら何故、きちんと確かめなかった?私はそんなつもりではなかったんだ。キミが勝手に誤解したのだろう?」
スウィーディーは悔しそうに歯がみする。
「キミ自身で証明したな。すべてを確認することなどあり得ないと。その場の状況や立ち位置で判断するものだ。絶対に間違えてはいけないことは、しつこいくらいに互いの考えにズレがないか確認をしなくてはならない。だがそれを日常に適用させることこそあり得ないのだ。それをほら、たった今、キミ自身で証明したではないか」
ノヴァはコツリと足を踏み出した。
「それに、私はきちんと言ったぞ」
「何を」
「“ねえ、コノアは、どうして、私に協力してくれるの?”そう言ったキミに、私は何と答えた?
“していない”、と、しっかり伝えたな?」
スウィーディーは、目を逸らして舌打ちをした。
「ああ、それから他にもキミは、私の言葉を証明してくれた」
歩きながら、言葉を続ける。
「“貴族として常識のない振る舞いをしているのは、偽りだ。キミは、貴族としての振る舞いをきちんと理解している。孤立するために、わざと常識外れの行動をしているんだ”、と私は言った」
コツコツと近付いてくるノヴァを、スウィーディーは睨みつけている。それに構うことなくノヴァは続ける。
「階段の件を話しているとき、キミは何と言った?“追い抜いてユセフィラ様だって気付いて慌てて謝ろうとしたのよ。自分より爵位が上の人間を挨拶もなしにすり抜けちゃったから”、そう言ったな」
カツン。
スウィーディーの前に立つ。
「上位の者を名前で呼んではいけない。むやみに異性の体に触れてはいけない。こんな簡単なことも知らないキミが、よくそんなことを知っていたな」
ギリ、と殺意が滲むような目で睨むスウィーディーは、怨嗟の込められた声で呻くように言った。
「あんたなんか、信用するんじゃなかった」
そんな様子にも、ノヴァは動じることはない。
「共に行動していて見抜けなかった自分に非があると思わないのか。それは随分おめでたい他責思考だな」
ノヴァは鼻で嗤う。
「もう一度言おう。キミが気付けるチャンスはいくらでもあった。それを都合の良い解釈しかしなかったのは、キミだ」
ノヴァは片方の口角を上げた。
「残念。詐欺師になるには、まだまだだったな」
スウィーディーは思い切り足を踏み鳴らした。
「そんなもの目指してないわよ!よくもリスラン様の前で恥をかかせてくれたわね!」
「その名前で呼ぶことも、貴族の振る舞いがわからない、出来ないフリをして、従兄上を呼びたかっただけ」
「うるさいうるさいうるさいうるさいっ!」
「そのような手口、なかなか思いつかない。思いついても実行まで出来ないだろう」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!!」
「それはそうだ。子どもだって出来ることがこの歳で出来ないなど、恥でしかないからな。誰がそんな恥知らずな真似をするか、という話だ。まあ、ここにいたがな」
「うるさいっ!黙れって言ってるだろ!!」
「それ程までに従兄上に入れ込むのは、王太子妃の座か」
「ふざけるな!誰がそんなもの!」
「違う?そんなことないだろう。そうではないならこんな恥知らずなことをしてまでリスクを負う理由がわからん。尤も、これほど恥知らずな者が王太子妃になどなれるはずがないが。そこまでは考えられなかったと言うことか」
「違うって言ってるだろ!あたしたちは真実の愛で結ばれているんだ!!」
*幕間前後編を挟んでつづく*
「はああ?!」
「“では、復讐するか”と、自分自身に言った言葉だ」
「意味がわからない!」
「私が、おまえに、復讐をする、と決意表明をしたのだ」
まあ、大きな独り言だな、と表情一つ変えることなくコノアは言い放った。
ユフィをこんな目に遭わせやがってっ 絶対復讐してやるっ
言葉の乱れたリスランを思い出して、復讐という言葉を使った。スウィーディーを勘違いさせる意味も、もちろん多分に含んでいた。
「あ、あの状況でそんなこと言われたら、あたしのために復讐をしてくれるって思うでしょう、普通!それを誤解だなん、て」
スウィーディーはハッとした。
ノヴァは嗤う。
「それなら何故、きちんと確かめなかった?私はそんなつもりではなかったんだ。キミが勝手に誤解したのだろう?」
スウィーディーは悔しそうに歯がみする。
「キミ自身で証明したな。すべてを確認することなどあり得ないと。その場の状況や立ち位置で判断するものだ。絶対に間違えてはいけないことは、しつこいくらいに互いの考えにズレがないか確認をしなくてはならない。だがそれを日常に適用させることこそあり得ないのだ。それをほら、たった今、キミ自身で証明したではないか」
ノヴァはコツリと足を踏み出した。
「それに、私はきちんと言ったぞ」
「何を」
「“ねえ、コノアは、どうして、私に協力してくれるの?”そう言ったキミに、私は何と答えた?
“していない”、と、しっかり伝えたな?」
スウィーディーは、目を逸らして舌打ちをした。
「ああ、それから他にもキミは、私の言葉を証明してくれた」
歩きながら、言葉を続ける。
「“貴族として常識のない振る舞いをしているのは、偽りだ。キミは、貴族としての振る舞いをきちんと理解している。孤立するために、わざと常識外れの行動をしているんだ”、と私は言った」
コツコツと近付いてくるノヴァを、スウィーディーは睨みつけている。それに構うことなくノヴァは続ける。
「階段の件を話しているとき、キミは何と言った?“追い抜いてユセフィラ様だって気付いて慌てて謝ろうとしたのよ。自分より爵位が上の人間を挨拶もなしにすり抜けちゃったから”、そう言ったな」
カツン。
スウィーディーの前に立つ。
「上位の者を名前で呼んではいけない。むやみに異性の体に触れてはいけない。こんな簡単なことも知らないキミが、よくそんなことを知っていたな」
ギリ、と殺意が滲むような目で睨むスウィーディーは、怨嗟の込められた声で呻くように言った。
「あんたなんか、信用するんじゃなかった」
そんな様子にも、ノヴァは動じることはない。
「共に行動していて見抜けなかった自分に非があると思わないのか。それは随分おめでたい他責思考だな」
ノヴァは鼻で嗤う。
「もう一度言おう。キミが気付けるチャンスはいくらでもあった。それを都合の良い解釈しかしなかったのは、キミだ」
ノヴァは片方の口角を上げた。
「残念。詐欺師になるには、まだまだだったな」
スウィーディーは思い切り足を踏み鳴らした。
「そんなもの目指してないわよ!よくもリスラン様の前で恥をかかせてくれたわね!」
「その名前で呼ぶことも、貴族の振る舞いがわからない、出来ないフリをして、従兄上を呼びたかっただけ」
「うるさいうるさいうるさいうるさいっ!」
「そのような手口、なかなか思いつかない。思いついても実行まで出来ないだろう」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!!」
「それはそうだ。子どもだって出来ることがこの歳で出来ないなど、恥でしかないからな。誰がそんな恥知らずな真似をするか、という話だ。まあ、ここにいたがな」
「うるさいっ!黙れって言ってるだろ!!」
「それ程までに従兄上に入れ込むのは、王太子妃の座か」
「ふざけるな!誰がそんなもの!」
「違う?そんなことないだろう。そうではないならこんな恥知らずなことをしてまでリスクを負う理由がわからん。尤も、これほど恥知らずな者が王太子妃になどなれるはずがないが。そこまでは考えられなかったと言うことか」
「違うって言ってるだろ!あたしたちは真実の愛で結ばれているんだ!!」
*幕間前後編を挟んでつづく*
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