美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛

らがまふぃん

文字の大きさ
17 / 73
夢幻の住人編

しおりを挟む
この章は、エル様がただでさえあまり社交に顔を出させないアリスを、さらに出させなくさせる元凶のお話しです。


*∽*∽*∽*∽*


 可哀相に 可哀相に
 酷い 本当に酷い
 僕ならあなたにそんなことをしない あなたの自由を奪ったりしない
 悪魔だ アイツは悪魔 天使の羽をむしり取る 最悪の悪魔
 あなたを助ける 今度は僕が助けるから
 その羽で 自由に飛べるようにしてあげる
 待っていて 僕の天使

*~*~*~*~*

 大きめの体を丸めて、出来るだけ目立たないように隅に寄っている。本当はこんな隅に縮こまっているような、縮こまっていていい人間じゃないけれど、優秀な人間というのは妬まれる。自分たちのデキが悪いことが悪いのに、集団になっていることで心が大きくなるのか、得意気に優秀な者をいたぶる。
 「っと、すみません。って、なんだ、おまえか」
 「まあ。そんな言い方悪いわよ」
 「だって、なあ?」
 「はは。まあかかわるなよ。行こう」
 「兄上は優秀なのに、何でアイツってああなんだろうな」
 「ご両親の苦労が目に見えるようだ」
 何も反論をしないのは、今はその時ではないから。機を見ているだけだというのに、何を勘違いしているのか、怯えて何も言えない臆病者だと嗤う。だけど、本当は僕に認めて欲しいから、そうやっていつも突っかかってくることを僕は知っている。
 今の内に、精々笑っていればいい。僕が動くとき、必ず後悔するんだ。僕のことを、誰もが羨むだろう。だって僕は特別なんだ。僕は特別だから、特別な出会いをして、特別な人生を歩む。
 今はまだ誰も気付いていないだけ。
 特別な人が僕を見れば、特別だとわかる。だからそれまでの辛抱だ。蛹の期間が長ければ長いほど、羽化したとき、それは筆舌に尽くせない特別となる。
 ああ、ほら。
 見つけた。
 僕が、特別を見つけた。だから、あとはあなたが僕を見つけてくれれば、僕は特別の中の特別になれる。
 「――ということがございましたの」
 「まあ。大丈夫ですか?お体、おつらくはないのでしょうか」
 僕は言葉を失った。もしかして、あなたは僕に気付いているの?
 「ええ、旦那様が、選んでくださって。あの、恥ずかしいですわ」
 「ふふ。とても素敵ですね。とてもよくお似合いです」
 ああ。そう。そうか。あなたはやはり僕に気付いている。
 「念願叶いまして、一週間後には」
 「まあ。おめでとうございます。素晴らしいですわ。その努力が認められたのですね。本当に素晴らしいですわ」
 だから、だからこんなにも僕の側に来てくれたんだね。
 僕の存在に気付いているよ、とアピールしている。その小さな体で、僕を守ってくれている。
 ああ、ああ、なんて、なんてことだ!
 今すぐにでもあなたの手を握りたい。その小さな体を包み込んであげたい。でもダメだ。今は、あなたに贈るための物を何一つ持っていない。贈り物一つ出来ない男だと呆れられてしまう。
 待っていて。あなたのその手を彩る指輪を。あなたのその首を飾るネックレスを。あなたのその髪を輝かせる髪飾りを。あなたを一層引き立てるドレスを。あなたの心の美しさを永遠に守るための誓いを。
 すべてを持って、あなたの前に立つから。
 待っていて。
 あなたに羽を取り戻してあげる。
 待っていて。
 僕の天使。



*つづく*

表現や思考が拙いのは、”僕”の仕様です。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結】救ってくれたのはあなたでした

ベル
恋愛
伯爵令嬢であるアリアは、父に告げられて女癖が悪いことで有名な侯爵家へと嫁ぐことになった。いわゆる政略結婚だ。 アリアの両親は愛らしい妹ばかりを可愛がり、アリアは除け者のように扱われていた。 ようやくこの家から解放されるのね。 良い噂は聞かない方だけれど、ここから出られるだけ感謝しなければ。 そして結婚式当日、そこで待っていたのは予想もしないお方だった。

婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました

有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。 魔力が弱い私には、価値がないという現実。 泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。 そこで目覚めた彼は、私を見て言った。 「やっと見つけた。私の番よ」 彼の前でだけ、私の魔力は輝く。 奪われた尊厳、歪められた運命。 すべてを取り戻した先にあるのは……

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。

大森 樹
恋愛
【短編】 公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。 「アメリア様、ご無事ですか!」 真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。 助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。 穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで…… あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。 ★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。

処理中です...