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兄という生き物
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新しい話始めました。
兄妹もの、かどうか疑問ですが、一途な溺愛ものです。
思っている溺愛と方向性が違うと感じたらすみません。
コメディ要素ありですが、残酷・虐待要素もありです。
*∽*∽*∽*∽*
「兄ちゃんが守ってやるから泣くな、咲穂!」
お兄ちゃんは、いつだってヒーローだった。
表情筋をお母さんのお腹の中に忘れてきた私は、周囲からよくいじめられた。それを、お兄ちゃんは怒ってくれた。
「咲穂の可愛さがわからねー奴らはこうしてくれる!」
いじめっ子たちのこめかみをグリグリしたり、顔を油性ペンで修正してあげたり、私の写真をA4サイズにのばしたものに「薄口醬油♡」と吹き出しつきで写真の私にしゃべらせている風の意味不明なものをランドセルに貼り付けてやったり。
ちなみに何で薄口醤油なのか聞いたら、醬油という漢字がかっこいいからとの回答だった。濃口ではなく薄口なことも何か意味があったのかはわからないが、感性は人それぞれだ。
何にせよ、写真はやめて欲しかった。私の写真を不特定多数が持つことに何となく恐怖を感じるからだ。みんなその場で剥がして捨てて行ってくれるからまだ良かったが。丑の刻参りとかに使われたらどうするの。
「大丈夫か、咲穂!泣くな!兄ちゃんがついてるぞ!」
いじめっ子たちを撃退すると、お兄ちゃんは私に必ずそう言った。一度として一滴の涙も流したことなどなかったけれど、お兄ちゃんのその言葉には、いつも泣きたくなった。
成長するにつれ、いじめはなくなっていった。お兄ちゃんの報復を恐れるようになったからだ。喧嘩っ早いということではなく、何というか、お兄ちゃんの報復は、精神的にくる。それを受けてまで、私にかまう意味などない。男子からは概ねそんな感じだが、女子からいじめられなくなった理由は、偏にお兄ちゃんがイケメンといわれる部類の人間だったから。イケメンに嫌われたくないお年頃の女子たちは、お兄ちゃんに庇われる私を遠巻きに陰口をたたくくらいしかしなくなった。
それから、お兄ちゃんとお付き合いをしたい女子たちから仲を取り持つよう言われたこともあるが、事前にお兄ちゃんから言われていたことで撃退していた。
「いいか、咲穂。兄ちゃんはイケメンらしいので、もしかしたら咲穂に俺との仲を取り持てと言ってくる輩がいるかもしれない。そんな奴らから身を守る方法を授ける」
どんなことからも私を守ってくれたお兄ちゃん。
「咲穂っ!」
全身で。
「痛…なぃ…、咲穂」
僅かにでも私に痛みが来ないようにと、全身で私を守ってくれたお兄ちゃん。
「ごめ…、守…な……、さほ」
血塗れなんて言葉じゃ足りないくらい血塗れで。
私なんかよりずっと大変なことになっているのに、私の心配をして。
「…めん、怖…思……、ごめ…」
命を懸けてまで守ってくれたお兄ちゃん。
謝らないで。
私、とっても幸せだったんだよ。
お兄ちゃんのおかげで、とっても幸せだったんだから。
怖くなんてない。怖い思いなんてしてないよ。
いつも、今だって、こうして側にいてくれているから。
ぎゅってして、全身で守ってくれているから。
たくさんの知識がある人だと思っていた。
だけど、超人的な身体能力があるわけではない。
暴走する車に勝てるはずもないのに。
躊躇うことなくその身を盾にしてくれた。
お兄ちゃん、お兄ちゃん。
「ぉ にぃちゃ…、だぃ す…」
私の意識はそこで途切れた。
だけど、私のヒーローは、間違いなくお兄ちゃんなのだ。
*つづく*
兄妹もの、かどうか疑問ですが、一途な溺愛ものです。
思っている溺愛と方向性が違うと感じたらすみません。
コメディ要素ありですが、残酷・虐待要素もありです。
*∽*∽*∽*∽*
「兄ちゃんが守ってやるから泣くな、咲穂!」
お兄ちゃんは、いつだってヒーローだった。
表情筋をお母さんのお腹の中に忘れてきた私は、周囲からよくいじめられた。それを、お兄ちゃんは怒ってくれた。
「咲穂の可愛さがわからねー奴らはこうしてくれる!」
いじめっ子たちのこめかみをグリグリしたり、顔を油性ペンで修正してあげたり、私の写真をA4サイズにのばしたものに「薄口醬油♡」と吹き出しつきで写真の私にしゃべらせている風の意味不明なものをランドセルに貼り付けてやったり。
ちなみに何で薄口醤油なのか聞いたら、醬油という漢字がかっこいいからとの回答だった。濃口ではなく薄口なことも何か意味があったのかはわからないが、感性は人それぞれだ。
何にせよ、写真はやめて欲しかった。私の写真を不特定多数が持つことに何となく恐怖を感じるからだ。みんなその場で剥がして捨てて行ってくれるからまだ良かったが。丑の刻参りとかに使われたらどうするの。
「大丈夫か、咲穂!泣くな!兄ちゃんがついてるぞ!」
いじめっ子たちを撃退すると、お兄ちゃんは私に必ずそう言った。一度として一滴の涙も流したことなどなかったけれど、お兄ちゃんのその言葉には、いつも泣きたくなった。
成長するにつれ、いじめはなくなっていった。お兄ちゃんの報復を恐れるようになったからだ。喧嘩っ早いということではなく、何というか、お兄ちゃんの報復は、精神的にくる。それを受けてまで、私にかまう意味などない。男子からは概ねそんな感じだが、女子からいじめられなくなった理由は、偏にお兄ちゃんがイケメンといわれる部類の人間だったから。イケメンに嫌われたくないお年頃の女子たちは、お兄ちゃんに庇われる私を遠巻きに陰口をたたくくらいしかしなくなった。
それから、お兄ちゃんとお付き合いをしたい女子たちから仲を取り持つよう言われたこともあるが、事前にお兄ちゃんから言われていたことで撃退していた。
「いいか、咲穂。兄ちゃんはイケメンらしいので、もしかしたら咲穂に俺との仲を取り持てと言ってくる輩がいるかもしれない。そんな奴らから身を守る方法を授ける」
どんなことからも私を守ってくれたお兄ちゃん。
「咲穂っ!」
全身で。
「痛…なぃ…、咲穂」
僅かにでも私に痛みが来ないようにと、全身で私を守ってくれたお兄ちゃん。
「ごめ…、守…な……、さほ」
血塗れなんて言葉じゃ足りないくらい血塗れで。
私なんかよりずっと大変なことになっているのに、私の心配をして。
「…めん、怖…思……、ごめ…」
命を懸けてまで守ってくれたお兄ちゃん。
謝らないで。
私、とっても幸せだったんだよ。
お兄ちゃんのおかげで、とっても幸せだったんだから。
怖くなんてない。怖い思いなんてしてないよ。
いつも、今だって、こうして側にいてくれているから。
ぎゅってして、全身で守ってくれているから。
たくさんの知識がある人だと思っていた。
だけど、超人的な身体能力があるわけではない。
暴走する車に勝てるはずもないのに。
躊躇うことなくその身を盾にしてくれた。
お兄ちゃん、お兄ちゃん。
「ぉ にぃちゃ…、だぃ す…」
私の意識はそこで途切れた。
だけど、私のヒーローは、間違いなくお兄ちゃんなのだ。
*つづく*
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