14 / 15
ⅩⅣ
しおりを挟む
昨日騎士様は夕飯を作って待っていたということで、朝ごはんは私の好物ばかりだった。
そして今日の夕飯は一緒に作るという約束をして、渋る騎士様を無理矢理仕事に行かせたのは今から二時間ほど前である。
店の扉にかけていた休業の看板を外し、外出中に切り替える。
カルブに二日酔いの薬を届けに行かなければならないのだ、今日の配達はそれしかないのですぐに終わる。あとは急ぎではない仕事をのんびりこなせば明日休業にしても大丈夫だろう。
いやね、なんでこんなに仕事がないのかって、自分の家に他人がいるのなんて久々だったからどうしたらいいのかわからなかったし、寝れないしで、寝れないなら仕事しようと仕事ばっかりしていたら二ヶ月先の予約分まで片付けちゃって、暇なんだよね。
この際だから新しい呪いでも覚えようか、何て今後の仕事について考えながら二日酔いの薬を手にカルブの家に向かうと、入り口には「臨時休業中」の看板が。
家の裏の方へ向かうと、畑仕事に勤しんでいる女の子がいて、私は二度見した。
「あ! ルー姉ちゃん!! 久しぶり!!」
「きゃーっルー姉ちゃんだ!!」と手に持った草刈鎌を振り回しながら駆け寄ってきたのは、王都にいる筈のアンナである。
「え、アンナ? おかえり? あれ、今って長期休暇の季節だっけ?」
「違うよ! マーリン様の知り合いのお兄さんがね、魔法陣を使って行くって言ってたから私も連れてきてもらったんだ! なのにカルブ兄ぃは二日酔いなんだもん! あ、それ二日酔いの薬? 私がカルブ兄ぃに飲ませてきてもいい?」
「あ、はい。どうぞ」
私から二日酔いの薬を渡されたアンナは「カルブ兄ぃー!」と元気よく家の中に消えて行った。恋する乙女の行動力を舐めていた。カルブの貞操危機の予感が若干するが、私の出る幕ではない。
それにしても師匠の知り合いのお兄さんって誰だ、メルディン様か、いやあの人の見た目はお兄さんじゃない。兄弟子たちに見た目がお兄さんの人なんていただろうか。うーん、思い出せない……嫌な予感もするしさっさと家帰って、本でも読みながら騎士様の帰りを待とう。
目の前に長髪で金髪のカカシがいるけれど、知ったこっちゃない。いや、むしろみてないね。私の視界にそんなものは映ってないね。
「さ、かえろ」
「可笑しいだろ。せめて挨拶くらいしたらどうだ」
「あらやだ、空耳かしら。一度医者に診てもらった方がいいかなー?」
「ルーチェ。王として命令したくない、俺の顔を見ろ」
「……ご機嫌よう、国王陛下。こんな国の外れの町になんのご用事で?」
国王へと顔を向け、どこぞの貴族の女性のように足を曲げ腰を落とす礼をすると、眉間に皺を寄せ「お前を迎えにきた」と阿呆なことをほざくもんだから、頭が痛い。
「申し訳御座いませんが、私は夫がいる身です。いくら国王陛下であろうと、夫婦の仲を裂くことは出来ないと思いますが?」
「お前とロートは夫婦ではない。受理する前に俺が止めた」
「……大変申し訳御座いませんが、私は国の為に命を捨てる度胸はありません。他を当たってください」
「正妃として迎え入れる。お前以外の女に王妃は務まらん」
「お断りいたします」
「ロートに別の女がいてもか」
「国王陛下は私の性格をよくわかっていらっしゃるようで」
「うまいこと誘導し一度、私を騎士様から離して、そのあと捕まえようと思っていらっしゃったんでしょうが、ちょっと遅かったですね」と表情を変えない国王に向かってニコリ笑う。
うん、昨日の私なら、修羅場なんてめんどくさし、騎士様の恋路の邪魔をしているならさっさと解放してやろうと思っただろう。ただそれは昨日、いや今日の朝までの私ならというべきだろうか。
「いいのか。お前はロートの邪魔をしているんだぞ」
「今日の朝、私の上に乗って別れたくないと大泣きしながら腰を振ってた男が、別に女を作っていたなんて。器用すぎてその女の人と話してみたいです。紹介してください」
「あの方はそんなに器用だったのかー」と笑う私に対し、無表情だった国王の顔が歪んだ。流石に弟の性生活なんて聞きたくなかったか? いや私も話したくないけど、喧嘩を売ってきたのは国王陛下からですし?
「……あいつは王家でありながらお前のことを知らなかった男だぞ」
「私は元国王軍魔法院所属第三魔法部隊隊長でありながら国王陛下の弟君を知らない女でしたが」
「あぁ言えばこう言う、くそっ、そんなにロートの方がいいか? 俺の方がイケメンだろう!」
「自分のことを妙に自信を持ってイケメンといえる男より、熊みたいな騎士様のほうが好きです」
「俺はお前がマーリンに拾われた時から知ってるんだぞ! その時から王妃にしようと決めていたのに、何でだよ!」
「うわ、ろりこん……」
「違う! あぁああ、もう何でだよ、ずっとお前を王妃にしようとマーリンに魔法以外も勉強させるように言い含めてきたっていうのにっ」
「あれ、光の魔女だから王妃にしようと思ってたんじゃないんですか」
「違う。それは元老院の頭でっかちどもを黙らせる理由にすぎん。……なんだ、王妃になる気になったか!」
「絶対ならないですから安心して城に帰ってください。もういい歳なんですからさっさと嫁さんもらって子作りに励んでください」
「俺はお前がいいからずっと独身だったんだぞ」
「ならそれは国王としての判断ミスですね」と言い、「御前失礼します」と国王の前から去ろうとするが、「駄目だ。お前は俺と一緒に城にいくぞ」と腕を掴まれた。国王の顔を見れば、先ほどまで見せていた兄のような顔ではなく国王としての顔に戻っていて、頬を引き攣らせる。
やばい、どうにかして逃げないと無理矢理結婚させられる。昔のように軽口を叩ける兄のような陛下だったら情に訴えられたが、国王としての陛下には情なんぞ訴えても速攻で切り捨てられるだろう。政略結婚なら他を当たってくれ!
一旦逃げよう。と、魔法陣を発動させようとするが、何故か発動しない。くっそこいつも魔封じの印を結びやがったな! しかも転移の魔法陣を展開し始めているときた。この魔法陣が発動したら最後、城から一生出れなくなるだろう。それは避けなくては。
武力行使だ。不敬罪なんて知ったことかと国王の足を思いっきり踏み潰せば、「痛っ!」と声をあげたと同時に拘束されていた力が弱まったので、その手を振り払い私は走り出す。
魔封じの印の範囲外に出なくては、確かあれは半径二百メートルの円で、そうだ無駄に広範囲魔法だった。たった一人の女のために使う魔法じゃねぇだろ! と叫びながらカルブの家の庭から町へ飛び出し、領主の館へ向かって全速力で走る。と、盛大に何かにぶつかってしまい、顔面を強打した。ついでに反動で私が後方へ跳ね跳びそうになるが、ぶつかってしまった人が押さえこんでくれたため道に転ぶことは免れる。
「痛っ……! ごごめんなさい今急いでて!」
「チヴェッタ殿! よかった、大丈夫か!?」
「あ、騎士様……たださえ低い鼻が大丈夫じゃないです」
「みせてみろ、……あぁ、鼻血が出て来たな。すまんこれで押さえよう」
「ほら」と、ポケットから出されたハンカチは、私が気まぐれでいれた兎の刺繍が入っていて、どうみても私のものだ。が、そのハンカチはすぐに引っ込み、「すまん、こっちだ」と別のポケットから出された濃紺のハンカチを鼻の下に当てられる。
「あとでハンカチについても聞きますからね」
「……わかった。ところで陛下はどこに。貴女が危ないとドゥトール殿が教えてくれて慌てて来たのだが」
「あぁ、流石カルブ……察しのいい男だわ」
「やはり、貴女はドゥトール殿のことが……」
「それはないです。むしろ騎士様こそどうなんです? 王都に彼女がいるとか」
「正直過去に女性と関係を持っていたのは認めよう。だがそれは二十代前半の話で、団長になってからは女性と関係をもつ暇がなかったから、とうの昔に振られている。今の俺にはチヴェッタ殿しかいない」
「まぁその歳とその顔で童貞だったら笑いますけどね」
「……陛下から聞いたのか」
「えぇ。あと私と騎士様、結婚できてないみたいですよ」
「どうします旦那様?」とニコリ騎士様に笑いかければ、「こうしようか」と私を抱き上げた。
毎度思うのだけど、いい歳をした大人の女を片腕で抱き上げられるとかどういうことなの、筋肉なの。筋肉はモテ要素のひとつなの? 筋肉が世界を救う的な感じなの?
「チヴェッタ殿、転移は可能か?」
「無理ですね、魔封じの印が結ばれています。解除できませんか?」
「無理だ、あの印は結んだものしか解除できない。元々王族を護るための魔法らしいからな」
「ならどうします? そろそろ陛下が追い付いてきますよ」
「……ひとつ試してみたいことがある。それが駄目だったら、一緒に死んでくれないか。ルーチェ・チヴェッタ嬢」
「随分重たい最終手段ですね、まぁ一人ぼっちはそろそろ飽きてきたのでいいですよ。私と一緒に死んでくださいロート・レオーネ様」
「あぁ、是非」と満面の笑みで言う騎士様に、私は口付ける。するとそれに応えるように騎士様の舌がぬるりと口の中に侵入し、中を這う。歯をなぞり、舌が絡まってどちらのか分からない唾液を飲み干す。
「ん、ふぅ、ぁ」と私から声が漏れだしたのに気をよくしたのか、口づけが噛み付くようなものに変わり激しさを増す。
待て待て待て、息が続かないからまって、鼻息荒くなるんですけどまって!
なんて思っている私に対し、うっとりした顔で私の表情を伺う騎士様にまぁいいかという気持ちになるので、情が移っているんだろう。
そして今日の夕飯は一緒に作るという約束をして、渋る騎士様を無理矢理仕事に行かせたのは今から二時間ほど前である。
店の扉にかけていた休業の看板を外し、外出中に切り替える。
カルブに二日酔いの薬を届けに行かなければならないのだ、今日の配達はそれしかないのですぐに終わる。あとは急ぎではない仕事をのんびりこなせば明日休業にしても大丈夫だろう。
いやね、なんでこんなに仕事がないのかって、自分の家に他人がいるのなんて久々だったからどうしたらいいのかわからなかったし、寝れないしで、寝れないなら仕事しようと仕事ばっかりしていたら二ヶ月先の予約分まで片付けちゃって、暇なんだよね。
この際だから新しい呪いでも覚えようか、何て今後の仕事について考えながら二日酔いの薬を手にカルブの家に向かうと、入り口には「臨時休業中」の看板が。
家の裏の方へ向かうと、畑仕事に勤しんでいる女の子がいて、私は二度見した。
「あ! ルー姉ちゃん!! 久しぶり!!」
「きゃーっルー姉ちゃんだ!!」と手に持った草刈鎌を振り回しながら駆け寄ってきたのは、王都にいる筈のアンナである。
「え、アンナ? おかえり? あれ、今って長期休暇の季節だっけ?」
「違うよ! マーリン様の知り合いのお兄さんがね、魔法陣を使って行くって言ってたから私も連れてきてもらったんだ! なのにカルブ兄ぃは二日酔いなんだもん! あ、それ二日酔いの薬? 私がカルブ兄ぃに飲ませてきてもいい?」
「あ、はい。どうぞ」
私から二日酔いの薬を渡されたアンナは「カルブ兄ぃー!」と元気よく家の中に消えて行った。恋する乙女の行動力を舐めていた。カルブの貞操危機の予感が若干するが、私の出る幕ではない。
それにしても師匠の知り合いのお兄さんって誰だ、メルディン様か、いやあの人の見た目はお兄さんじゃない。兄弟子たちに見た目がお兄さんの人なんていただろうか。うーん、思い出せない……嫌な予感もするしさっさと家帰って、本でも読みながら騎士様の帰りを待とう。
目の前に長髪で金髪のカカシがいるけれど、知ったこっちゃない。いや、むしろみてないね。私の視界にそんなものは映ってないね。
「さ、かえろ」
「可笑しいだろ。せめて挨拶くらいしたらどうだ」
「あらやだ、空耳かしら。一度医者に診てもらった方がいいかなー?」
「ルーチェ。王として命令したくない、俺の顔を見ろ」
「……ご機嫌よう、国王陛下。こんな国の外れの町になんのご用事で?」
国王へと顔を向け、どこぞの貴族の女性のように足を曲げ腰を落とす礼をすると、眉間に皺を寄せ「お前を迎えにきた」と阿呆なことをほざくもんだから、頭が痛い。
「申し訳御座いませんが、私は夫がいる身です。いくら国王陛下であろうと、夫婦の仲を裂くことは出来ないと思いますが?」
「お前とロートは夫婦ではない。受理する前に俺が止めた」
「……大変申し訳御座いませんが、私は国の為に命を捨てる度胸はありません。他を当たってください」
「正妃として迎え入れる。お前以外の女に王妃は務まらん」
「お断りいたします」
「ロートに別の女がいてもか」
「国王陛下は私の性格をよくわかっていらっしゃるようで」
「うまいこと誘導し一度、私を騎士様から離して、そのあと捕まえようと思っていらっしゃったんでしょうが、ちょっと遅かったですね」と表情を変えない国王に向かってニコリ笑う。
うん、昨日の私なら、修羅場なんてめんどくさし、騎士様の恋路の邪魔をしているならさっさと解放してやろうと思っただろう。ただそれは昨日、いや今日の朝までの私ならというべきだろうか。
「いいのか。お前はロートの邪魔をしているんだぞ」
「今日の朝、私の上に乗って別れたくないと大泣きしながら腰を振ってた男が、別に女を作っていたなんて。器用すぎてその女の人と話してみたいです。紹介してください」
「あの方はそんなに器用だったのかー」と笑う私に対し、無表情だった国王の顔が歪んだ。流石に弟の性生活なんて聞きたくなかったか? いや私も話したくないけど、喧嘩を売ってきたのは国王陛下からですし?
「……あいつは王家でありながらお前のことを知らなかった男だぞ」
「私は元国王軍魔法院所属第三魔法部隊隊長でありながら国王陛下の弟君を知らない女でしたが」
「あぁ言えばこう言う、くそっ、そんなにロートの方がいいか? 俺の方がイケメンだろう!」
「自分のことを妙に自信を持ってイケメンといえる男より、熊みたいな騎士様のほうが好きです」
「俺はお前がマーリンに拾われた時から知ってるんだぞ! その時から王妃にしようと決めていたのに、何でだよ!」
「うわ、ろりこん……」
「違う! あぁああ、もう何でだよ、ずっとお前を王妃にしようとマーリンに魔法以外も勉強させるように言い含めてきたっていうのにっ」
「あれ、光の魔女だから王妃にしようと思ってたんじゃないんですか」
「違う。それは元老院の頭でっかちどもを黙らせる理由にすぎん。……なんだ、王妃になる気になったか!」
「絶対ならないですから安心して城に帰ってください。もういい歳なんですからさっさと嫁さんもらって子作りに励んでください」
「俺はお前がいいからずっと独身だったんだぞ」
「ならそれは国王としての判断ミスですね」と言い、「御前失礼します」と国王の前から去ろうとするが、「駄目だ。お前は俺と一緒に城にいくぞ」と腕を掴まれた。国王の顔を見れば、先ほどまで見せていた兄のような顔ではなく国王としての顔に戻っていて、頬を引き攣らせる。
やばい、どうにかして逃げないと無理矢理結婚させられる。昔のように軽口を叩ける兄のような陛下だったら情に訴えられたが、国王としての陛下には情なんぞ訴えても速攻で切り捨てられるだろう。政略結婚なら他を当たってくれ!
一旦逃げよう。と、魔法陣を発動させようとするが、何故か発動しない。くっそこいつも魔封じの印を結びやがったな! しかも転移の魔法陣を展開し始めているときた。この魔法陣が発動したら最後、城から一生出れなくなるだろう。それは避けなくては。
武力行使だ。不敬罪なんて知ったことかと国王の足を思いっきり踏み潰せば、「痛っ!」と声をあげたと同時に拘束されていた力が弱まったので、その手を振り払い私は走り出す。
魔封じの印の範囲外に出なくては、確かあれは半径二百メートルの円で、そうだ無駄に広範囲魔法だった。たった一人の女のために使う魔法じゃねぇだろ! と叫びながらカルブの家の庭から町へ飛び出し、領主の館へ向かって全速力で走る。と、盛大に何かにぶつかってしまい、顔面を強打した。ついでに反動で私が後方へ跳ね跳びそうになるが、ぶつかってしまった人が押さえこんでくれたため道に転ぶことは免れる。
「痛っ……! ごごめんなさい今急いでて!」
「チヴェッタ殿! よかった、大丈夫か!?」
「あ、騎士様……たださえ低い鼻が大丈夫じゃないです」
「みせてみろ、……あぁ、鼻血が出て来たな。すまんこれで押さえよう」
「ほら」と、ポケットから出されたハンカチは、私が気まぐれでいれた兎の刺繍が入っていて、どうみても私のものだ。が、そのハンカチはすぐに引っ込み、「すまん、こっちだ」と別のポケットから出された濃紺のハンカチを鼻の下に当てられる。
「あとでハンカチについても聞きますからね」
「……わかった。ところで陛下はどこに。貴女が危ないとドゥトール殿が教えてくれて慌てて来たのだが」
「あぁ、流石カルブ……察しのいい男だわ」
「やはり、貴女はドゥトール殿のことが……」
「それはないです。むしろ騎士様こそどうなんです? 王都に彼女がいるとか」
「正直過去に女性と関係を持っていたのは認めよう。だがそれは二十代前半の話で、団長になってからは女性と関係をもつ暇がなかったから、とうの昔に振られている。今の俺にはチヴェッタ殿しかいない」
「まぁその歳とその顔で童貞だったら笑いますけどね」
「……陛下から聞いたのか」
「えぇ。あと私と騎士様、結婚できてないみたいですよ」
「どうします旦那様?」とニコリ騎士様に笑いかければ、「こうしようか」と私を抱き上げた。
毎度思うのだけど、いい歳をした大人の女を片腕で抱き上げられるとかどういうことなの、筋肉なの。筋肉はモテ要素のひとつなの? 筋肉が世界を救う的な感じなの?
「チヴェッタ殿、転移は可能か?」
「無理ですね、魔封じの印が結ばれています。解除できませんか?」
「無理だ、あの印は結んだものしか解除できない。元々王族を護るための魔法らしいからな」
「ならどうします? そろそろ陛下が追い付いてきますよ」
「……ひとつ試してみたいことがある。それが駄目だったら、一緒に死んでくれないか。ルーチェ・チヴェッタ嬢」
「随分重たい最終手段ですね、まぁ一人ぼっちはそろそろ飽きてきたのでいいですよ。私と一緒に死んでくださいロート・レオーネ様」
「あぁ、是非」と満面の笑みで言う騎士様に、私は口付ける。するとそれに応えるように騎士様の舌がぬるりと口の中に侵入し、中を這う。歯をなぞり、舌が絡まってどちらのか分からない唾液を飲み干す。
「ん、ふぅ、ぁ」と私から声が漏れだしたのに気をよくしたのか、口づけが噛み付くようなものに変わり激しさを増す。
待て待て待て、息が続かないからまって、鼻息荒くなるんですけどまって!
なんて思っている私に対し、うっとりした顔で私の表情を伺う騎士様にまぁいいかという気持ちになるので、情が移っているんだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる