毒薔薇姫は運命を変える?!

刹那

文字の大きさ
48 / 48
四章

目覚めた貴女

しおりを挟む
瀕死状態から何とか命は取り止めだが、未だにカトレアは目を覚ましていなかった。

「傷も回復し、問題はありません。」と診断を終えた魔法医が言う。

「ではどうして目覚めないのだ!」

「申し訳ありません。しかし、これ以上の治療はできません。」

「もう、1ヶ月だぞ!それでも世界一の魔法医なのか!」と怒鳴るクラウドに「殿下、落ち着いて下さい。」とガイが止めに入る。

「お前は、くやっ。。。」

悔しくないのかと、詰め寄ろうとするクラウドはその言葉を飲み込んだ。
ガイのその手から血が滴り落ちていたからだ。

「みんな悲しくて、辛いに決まってます。」とサラはガイの手をハンカチで包む。ガイは「すみません。」とそのハンカチを受け取る。

クラウドもわかっている。どうしようもないのだと。今はカトレアの体力を信じるしかないと言うことは分かっている。それでも、カトレアはいまだに目覚めない。敵の足取りすら掴めていない状況で、このやるせない気持ちをおさめることはできなかった。

「取り乱してすまなかった。一度、王宮に戻る。」

「俺も、仕事に戻ります。」

クラウドとガイは静かに部屋を出て行った。
サラはカトレアの手を握る。

「お嬢様、早く目を覚ましてくださらないとこの屋敷は寂し過ぎます。お友達が毎日お見舞いに来てくれてますよ。素敵な友達を持ちましたね。でも、ファーラ様は部屋に閉じこもってどんどん痩せ細ってしまって今にも倒れそうです。カトレア様が会いに行かないといけないんですよ。それにみんな、貴女がいないと闇の中でさまよってしまいます。お嬢様、私もすごくさびしいですよ。。。」

サラは静かに涙を流した。


*******

半月がたったが未だにカトレアは目を覚さない。
それどころかどんどん痩せ細っていっている。

誰の目から見ても、このままではカトレアの命が尽きてしまう事は歴然であった。

「カトレア様、俺は貴女がいない世界で生きていけません。約束したじゃないですか。そばに居るって、帰ってきてください。カトレア様。」

ガイがカトレアの手に触れたときだったぴくりと指が動いた気がした。

「カトレア様、カトレア様!!」

名前に反応するかのようにまたぴくりと手が動く。

「カトレア様、起きてください。お願いします。」

「っ……。ガ。イ?」

カトレアの開かなかった目がゆっくりと開き、ガイを見る。

「また、かな…しませて、しまったのね。」

「…………っ」

話したいことがあるのに声が出ない。ガイはただただ震える手でカトレアの手を握りしめる。
もうどこにも行かないように。

「……カトレア様っ。」

やっと出た言葉は愛おしい人の名前だった。

「心配かけて……ごめんね。」

ガシャンと言う食器の落ちる音の方を振り返るとそこには、サラが呆然と立っていた。

「サラ、泣かないで。」

その言葉でサラはゆっくりとカトレアの元に近づき、泣き崩れる。

「っ…よかったっ。」

カトレアは弱々しい手付きで、サラの頭を撫でる。

「王宮にすぐに連絡しますので、サラ。お願いします。」

そう言うとガイはその場を離れすぐに王宮へと連絡を送った。

「…よかった。」

ガイの目から一粒の涙が頬をつたった。



しおりを挟む
感想 8

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(8件)

黒猫
2017.06.28 黒猫

『最近容赦にですね』→(最近容赦ないですね) だと思います!


主人公が最終的、誰と結ばれるのか楽しみです(><*)ノ

解除
立花 詩季
2017.06.25 立花 詩季
ネタバレ含む
2017.06.25 刹那

立花 詩季様指摘ありがとうございます(o^^o)
少しお人好しにし過ぎかなと悩んでいたのですが好きと言っていただき嬉しいです!
私も書きながらこの先どうなるかワクワクしています。
最後まで楽しんでいただけたらそれだけで本当に嬉しいです(о´∀`о)
不束者ですが応援よろしくお願いします。

解除
黒猫
2017.06.12 黒猫

指摘は…不安の文章での「カトレア、お誕生日おめとう(ございます)。」のことではないでしょうか?(・_・?)

2017.06.13 刹那

黒猫様
教えていただきありがとうございます。
これは、両親と使用人を分けているのでこのままにします。

解除

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。