毒薔薇姫は運命を変える?!

刹那

文字の大きさ
47 / 48
四章

〜諦めない〜

しおりを挟む
「紅音、葵。そろそろ起きなさい。」

紅音は重たいまぶたを開ける。見慣れたリビングなはずなのに、何故か違和感を感じる。
紅音は寝ぼけた頭で声のする方を見る。

「お母様。。?」

「何言ってるの?紅音ったら寝ぼけてるの?」

その女性は、可笑しそうに笑う。

「お姉ちゃん、お嬢様になる夢でも見てたの?」

クスクスと葵が笑うが次の瞬間、目を見開き慌て出した。

「お姉ちゃん、どうして泣いてるの?私が笑ったから??ごめんね。」

葵のその言葉に自分が泣いているのだと気がつく。

違うと伝えたいのにうまく声が出ない。

すると葵も涙目になり、大きな瞳からポロポロと涙が流れ始めた。

「あらまぁ、2人ともどうしたの?」

お母さんは紅音と葵を抱きしめ、2人の背中をトントンと叩く。

「大丈夫よ。大丈夫。」

紅音はお母さんの胸に顔を埋めながら、ゆっくりと意識を手放した。

*******

そして、次に目を覚ましたとき、そこは真っ暗な世界だった。
空気は重くじっとりと肌に汗をかく。本能的にここにいてはダメだと思うのに身体がいうことを聞いてくれない。

ここはどこ?葵達はどこ?
あれ?私に妹なんていたかな?お父様とお母様と私、それに。。。。あれ?私は1人だった?
私は、私は誰だろう。

いくら考えても思い出せない。家族がいた。大切な人がいたような気がする。忘れちゃいけない。何かを忘れてしまった。そんな気がするのに思い出せない。

でも、もういい。疲れちゃった。

考えるのをやめてどのぐらいたっただろうか。再び意識を手放そうとしたとき、かすかに声が聞こえた。

「……ちゃん、お姉ちゃん。」

そこには、見たことがないはずなのに何故か懐かしい美しい少女がいた。

貴女は誰?と聞きたいのに声が出ない。

「お願い。忘れないで、諦めないで、お姉ちゃんの大切な人たちがずっと待ってるわ。」

お姉ちゃんって、私のことを知ってるの?貴女は私のなに?

「私は貴女の一部よ。ここには長く居られないの。お願い、忘れないで。。。」

少女は優しく抱きしめると、溶けていくように姿を消した。
「忘れないで」と言いながら。

暖かい。知ってる。この温もりを私は知ってる。

その時だった小さな光が見え「カトレア様、カトレア様。」とその光から声が聞こえた。

あぁ、私は、カトレアだ。思い出したわ。
行かないと、待ってる人がいる。

「行かせない。」

その声と共にカトレアの伸ばしていた手を誰かが引き止める。
そこにいたのは

「私?」

そう、小さい自分だった。それも前世の自分である。

「ここに居ればもう傷つかない。忘れてしまえば、いいんだよ。」

小さな自分は必死にカトレアの手を摘む。

「…待ってる人たちがいるの。だから行かないといけないの。」

カトレアは小さな手に自分の手を重ね。そに手を外そうとする。

「なんで?助けられないのに?またその人たちを傷つけるかもしれないよ?」

カトレアは外そうとする手が緩む。しかし、カトレアはその手にまた力を入れ解く。

「そうかもしれない。でも、私はもう幸せになる事を諦めたくないの。それに、今手放してしまったら私は一生後悔するわ。」

カトレアはその小さな体を抱きしめ、「私は幸せよ。だから心配しないで。」そしてそっと離れる。

「待って!1人にしないで。」と叫んでいるがカトレアは振りかえらず「大丈夫。もう1人じゃない。」と言うと、迷うことなく小さな光へ手を伸ばす、するとあたり一面の暗闇が晴れるように光に包まれ、カトレアはもう一度意識を手放した。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

処理中です...