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四章
〜諦めない〜
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「紅音、葵。そろそろ起きなさい。」
紅音は重たいまぶたを開ける。見慣れたリビングなはずなのに、何故か違和感を感じる。
紅音は寝ぼけた頭で声のする方を見る。
「お母様。。?」
「何言ってるの?紅音ったら寝ぼけてるの?」
その女性は、可笑しそうに笑う。
「お姉ちゃん、お嬢様になる夢でも見てたの?」
クスクスと葵が笑うが次の瞬間、目を見開き慌て出した。
「お姉ちゃん、どうして泣いてるの?私が笑ったから??ごめんね。」
葵のその言葉に自分が泣いているのだと気がつく。
違うと伝えたいのにうまく声が出ない。
すると葵も涙目になり、大きな瞳からポロポロと涙が流れ始めた。
「あらまぁ、2人ともどうしたの?」
お母さんは紅音と葵を抱きしめ、2人の背中をトントンと叩く。
「大丈夫よ。大丈夫。」
紅音はお母さんの胸に顔を埋めながら、ゆっくりと意識を手放した。
*******
そして、次に目を覚ましたとき、そこは真っ暗な世界だった。
空気は重くじっとりと肌に汗をかく。本能的にここにいてはダメだと思うのに身体がいうことを聞いてくれない。
ここはどこ?葵達はどこ?
あれ?私に妹なんていたかな?お父様とお母様と私、それに。。。。あれ?私は1人だった?
私は、私は誰だろう。
いくら考えても思い出せない。家族がいた。大切な人がいたような気がする。忘れちゃいけない。何かを忘れてしまった。そんな気がするのに思い出せない。
でも、もういい。疲れちゃった。
考えるのをやめてどのぐらいたっただろうか。再び意識を手放そうとしたとき、かすかに声が聞こえた。
「……ちゃん、お姉ちゃん。」
そこには、見たことがないはずなのに何故か懐かしい美しい少女がいた。
貴女は誰?と聞きたいのに声が出ない。
「お願い。忘れないで、諦めないで、お姉ちゃんの大切な人たちがずっと待ってるわ。」
お姉ちゃんって、私のことを知ってるの?貴女は私のなに?
「私は貴女の一部よ。ここには長く居られないの。お願い、忘れないで。。。」
少女は優しく抱きしめると、溶けていくように姿を消した。
「忘れないで」と言いながら。
暖かい。知ってる。この温もりを私は知ってる。
その時だった小さな光が見え「カトレア様、カトレア様。」とその光から声が聞こえた。
あぁ、私は、カトレアだ。思い出したわ。
行かないと、待ってる人がいる。
「行かせない。」
その声と共にカトレアの伸ばしていた手を誰かが引き止める。
そこにいたのは
「私?」
そう、小さい自分だった。それも前世の自分である。
「ここに居ればもう傷つかない。忘れてしまえば、いいんだよ。」
小さな自分は必死にカトレアの手を摘む。
「…待ってる人たちがいるの。だから行かないといけないの。」
カトレアは小さな手に自分の手を重ね。そに手を外そうとする。
「なんで?助けられないのに?またその人たちを傷つけるかもしれないよ?」
カトレアは外そうとする手が緩む。しかし、カトレアはその手にまた力を入れ解く。
「そうかもしれない。でも、私はもう幸せになる事を諦めたくないの。それに、今手放してしまったら私は一生後悔するわ。」
カトレアはその小さな体を抱きしめ、「私は幸せよ。だから心配しないで。」そしてそっと離れる。
「待って!1人にしないで。」と叫んでいるがカトレアは振りかえらず「大丈夫。もう1人じゃない。」と言うと、迷うことなく小さな光へ手を伸ばす、するとあたり一面の暗闇が晴れるように光に包まれ、カトレアはもう一度意識を手放した。
紅音は重たいまぶたを開ける。見慣れたリビングなはずなのに、何故か違和感を感じる。
紅音は寝ぼけた頭で声のする方を見る。
「お母様。。?」
「何言ってるの?紅音ったら寝ぼけてるの?」
その女性は、可笑しそうに笑う。
「お姉ちゃん、お嬢様になる夢でも見てたの?」
クスクスと葵が笑うが次の瞬間、目を見開き慌て出した。
「お姉ちゃん、どうして泣いてるの?私が笑ったから??ごめんね。」
葵のその言葉に自分が泣いているのだと気がつく。
違うと伝えたいのにうまく声が出ない。
すると葵も涙目になり、大きな瞳からポロポロと涙が流れ始めた。
「あらまぁ、2人ともどうしたの?」
お母さんは紅音と葵を抱きしめ、2人の背中をトントンと叩く。
「大丈夫よ。大丈夫。」
紅音はお母さんの胸に顔を埋めながら、ゆっくりと意識を手放した。
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そして、次に目を覚ましたとき、そこは真っ暗な世界だった。
空気は重くじっとりと肌に汗をかく。本能的にここにいてはダメだと思うのに身体がいうことを聞いてくれない。
ここはどこ?葵達はどこ?
あれ?私に妹なんていたかな?お父様とお母様と私、それに。。。。あれ?私は1人だった?
私は、私は誰だろう。
いくら考えても思い出せない。家族がいた。大切な人がいたような気がする。忘れちゃいけない。何かを忘れてしまった。そんな気がするのに思い出せない。
でも、もういい。疲れちゃった。
考えるのをやめてどのぐらいたっただろうか。再び意識を手放そうとしたとき、かすかに声が聞こえた。
「……ちゃん、お姉ちゃん。」
そこには、見たことがないはずなのに何故か懐かしい美しい少女がいた。
貴女は誰?と聞きたいのに声が出ない。
「お願い。忘れないで、諦めないで、お姉ちゃんの大切な人たちがずっと待ってるわ。」
お姉ちゃんって、私のことを知ってるの?貴女は私のなに?
「私は貴女の一部よ。ここには長く居られないの。お願い、忘れないで。。。」
少女は優しく抱きしめると、溶けていくように姿を消した。
「忘れないで」と言いながら。
暖かい。知ってる。この温もりを私は知ってる。
その時だった小さな光が見え「カトレア様、カトレア様。」とその光から声が聞こえた。
あぁ、私は、カトレアだ。思い出したわ。
行かないと、待ってる人がいる。
「行かせない。」
その声と共にカトレアの伸ばしていた手を誰かが引き止める。
そこにいたのは
「私?」
そう、小さい自分だった。それも前世の自分である。
「ここに居ればもう傷つかない。忘れてしまえば、いいんだよ。」
小さな自分は必死にカトレアの手を摘む。
「…待ってる人たちがいるの。だから行かないといけないの。」
カトレアは小さな手に自分の手を重ね。そに手を外そうとする。
「なんで?助けられないのに?またその人たちを傷つけるかもしれないよ?」
カトレアは外そうとする手が緩む。しかし、カトレアはその手にまた力を入れ解く。
「そうかもしれない。でも、私はもう幸せになる事を諦めたくないの。それに、今手放してしまったら私は一生後悔するわ。」
カトレアはその小さな体を抱きしめ、「私は幸せよ。だから心配しないで。」そしてそっと離れる。
「待って!1人にしないで。」と叫んでいるがカトレアは振りかえらず「大丈夫。もう1人じゃない。」と言うと、迷うことなく小さな光へ手を伸ばす、するとあたり一面の暗闇が晴れるように光に包まれ、カトレアはもう一度意識を手放した。
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