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四章
目覚めない貴女
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「カトレア様!」
俺は一体何を守りたかったんだ。
守りたかったはずのその人は今、傷だらけになって倒れているというのに。
この世で一番失いたくない人。
幸せであってほしい人。
幸せにしたい人。
それなのに、俺は。
「あら、王子様の登場?」
少女は心の底からつまらなそうに問う。
「………、か。」
「何か言ったかしら。」
少女はニコリと微笑み首をかしげる。
愛らしい姿のはずなのに、その光景はあまりにもいびつにうつる。
それはそうだ、少女の周りには血の海ができ、服と仮面は真っ赤に染まり、足元に遺体と少女2人が気を失って倒れているのだから誰が見たって、その普通ではない状況に恐怖を覚えるだろう。
しかし、ガイが覚えたのは恐怖ではなく、怒りだった。
自分に対する怒り。
そして、目の前にいる女に対する怒り。
「お前がしたのかっ!」
「ふふふ。そんなに怒らないでいいじゃない?せっかくのイケメンが台無しよ?」
少女は可笑しそうに笑う。
そして、何かに気づいたようにガイの顔をじっと見る。
「あら、あなた人獣なのね!って事はガイかしら!うーん、でも、貴方はこの女と会うのはもっと先のはずなんだけど……。それに、敵対してたと思うのだけど…。やっぱり少し違うのかしら。おかしいわね?まぁ、でもそんな事どうでもいいのよね。最後にハッピーエンドを迎えるのは私なんだから。」
この女はさっきから何を言ってるんだ。
「…黙れ!俺が聞いてるのはそんな事じゃない。お前が、カトレア様を傷つけたのかと聞いてるんだ!」
「えぇ、そうよ?だから何。」
少女は、おかしなことを聞くのね。と笑う。
「この女は、悪なのよ?だから、私がみんなを救うの。お礼なんていらないわ。だってそれが私の役目だもの!」
ガイは嬉しそうに笑っている女を横目に、この場をどうやって離れるか考えていた。
こんな時だからこそ、感情的になるのは得策ではないと頭では分かっている。
しかし、怒りで理性を失いそうになる。
『落ち着きなさい。』
ガイはハッとしカトレアを見るが目を覚ましているわけではないようだった。
「…はい。カトレア様」
ガイは深く深呼吸をする。
少しづつだが頭がクリアになっていき、五感を研ぎ澄ませる。
そして、あることに気づく。
この魔力…しかしあれは、伝説の話で現実なはずがない。
いや、今はそんなことどうでもいい。ここをどうやって切り抜けるかが重要だ。
相手の力量を測れないほど馬鹿じゃない。
二人を守りながら戦うのは正直難しい。
それでも、やらないとダメだ。
「…できれば使いたくなかったが。」
ガイが臨戦態勢に入ろうとした時、外が騒がしくなった。
「クラウド皇太子がことらに向かっています。今すぐここを離れてください。」
どこからか声が響くと、女の後ろの空間に亀裂が入る。
少女は、黙り何かを考えていたと思ったらすぐに微笑んだ。
「まだ殺さないであげる。じゃぁね。」
女は振り返りその亀裂に手をかける。
「待て!俺はお前を絶対に許さない。」
「……許さないも何も、貴方はだだのモブ、私には全く関係ない存在よ。でも、一ついいことを教えてあげる。カトレアは目覚めないわよ。それこそ奇跡でもない限りね。」
そう言い残すと、少女は亀裂の中へと姿を消した。
ガイはハッとし、カトレア達の元に走る。
「カトレア様!ファーラ様!」
「んっ、ガイ…さん?」
目を覚ましたのはファーラだけだった。
ガイは頭が真っ白になるのを感じた。
「ガイさん、しっかりしてください。カトレアは生きています!」
呼吸を確認すると確かに浅いが息をしている。
しかし、危険な状態であることに変わりはない。
それに、あの女の言葉…。
ガイはそっとカトレアを抱き上げすぐに外に向かう。
外には複数の兵士とクライド、ルイスがこちらに向かっていた。
ガイの腕の中のカトレアを見て二人は顔を真っ青にさせる。
「カトレア!ガイ、これはどういうことだ!」
「…カトレア様は瀕死の状態です。急ぎ治療をお願いします。」
そう言うと、ガイはそっとカトレアをクラウドに預ける。本当は自分自身で助けたい。しかしいまこの状況で自分にできることはない。
そんなことは分かっているが、悔しさと不甲斐なさで押し潰されそうだ。
「わかった。すぐに治療を行える様に公爵邸に連絡し、王宮の医者を待機させろ!!」
クライドが部下に命令すると、馬車に乗り込む。
「カトレア、絶対に死ぬな。」
俺は一体何を守りたかったんだ。
守りたかったはずのその人は今、傷だらけになって倒れているというのに。
この世で一番失いたくない人。
幸せであってほしい人。
幸せにしたい人。
それなのに、俺は。
「あら、王子様の登場?」
少女は心の底からつまらなそうに問う。
「………、か。」
「何か言ったかしら。」
少女はニコリと微笑み首をかしげる。
愛らしい姿のはずなのに、その光景はあまりにもいびつにうつる。
それはそうだ、少女の周りには血の海ができ、服と仮面は真っ赤に染まり、足元に遺体と少女2人が気を失って倒れているのだから誰が見たって、その普通ではない状況に恐怖を覚えるだろう。
しかし、ガイが覚えたのは恐怖ではなく、怒りだった。
自分に対する怒り。
そして、目の前にいる女に対する怒り。
「お前がしたのかっ!」
「ふふふ。そんなに怒らないでいいじゃない?せっかくのイケメンが台無しよ?」
少女は可笑しそうに笑う。
そして、何かに気づいたようにガイの顔をじっと見る。
「あら、あなた人獣なのね!って事はガイかしら!うーん、でも、貴方はこの女と会うのはもっと先のはずなんだけど……。それに、敵対してたと思うのだけど…。やっぱり少し違うのかしら。おかしいわね?まぁ、でもそんな事どうでもいいのよね。最後にハッピーエンドを迎えるのは私なんだから。」
この女はさっきから何を言ってるんだ。
「…黙れ!俺が聞いてるのはそんな事じゃない。お前が、カトレア様を傷つけたのかと聞いてるんだ!」
「えぇ、そうよ?だから何。」
少女は、おかしなことを聞くのね。と笑う。
「この女は、悪なのよ?だから、私がみんなを救うの。お礼なんていらないわ。だってそれが私の役目だもの!」
ガイは嬉しそうに笑っている女を横目に、この場をどうやって離れるか考えていた。
こんな時だからこそ、感情的になるのは得策ではないと頭では分かっている。
しかし、怒りで理性を失いそうになる。
『落ち着きなさい。』
ガイはハッとしカトレアを見るが目を覚ましているわけではないようだった。
「…はい。カトレア様」
ガイは深く深呼吸をする。
少しづつだが頭がクリアになっていき、五感を研ぎ澄ませる。
そして、あることに気づく。
この魔力…しかしあれは、伝説の話で現実なはずがない。
いや、今はそんなことどうでもいい。ここをどうやって切り抜けるかが重要だ。
相手の力量を測れないほど馬鹿じゃない。
二人を守りながら戦うのは正直難しい。
それでも、やらないとダメだ。
「…できれば使いたくなかったが。」
ガイが臨戦態勢に入ろうとした時、外が騒がしくなった。
「クラウド皇太子がことらに向かっています。今すぐここを離れてください。」
どこからか声が響くと、女の後ろの空間に亀裂が入る。
少女は、黙り何かを考えていたと思ったらすぐに微笑んだ。
「まだ殺さないであげる。じゃぁね。」
女は振り返りその亀裂に手をかける。
「待て!俺はお前を絶対に許さない。」
「……許さないも何も、貴方はだだのモブ、私には全く関係ない存在よ。でも、一ついいことを教えてあげる。カトレアは目覚めないわよ。それこそ奇跡でもない限りね。」
そう言い残すと、少女は亀裂の中へと姿を消した。
ガイはハッとし、カトレア達の元に走る。
「カトレア様!ファーラ様!」
「んっ、ガイ…さん?」
目を覚ましたのはファーラだけだった。
ガイは頭が真っ白になるのを感じた。
「ガイさん、しっかりしてください。カトレアは生きています!」
呼吸を確認すると確かに浅いが息をしている。
しかし、危険な状態であることに変わりはない。
それに、あの女の言葉…。
ガイはそっとカトレアを抱き上げすぐに外に向かう。
外には複数の兵士とクライド、ルイスがこちらに向かっていた。
ガイの腕の中のカトレアを見て二人は顔を真っ青にさせる。
「カトレア!ガイ、これはどういうことだ!」
「…カトレア様は瀕死の状態です。急ぎ治療をお願いします。」
そう言うと、ガイはそっとカトレアをクラウドに預ける。本当は自分自身で助けたい。しかしいまこの状況で自分にできることはない。
そんなことは分かっているが、悔しさと不甲斐なさで押し潰されそうだ。
「わかった。すぐに治療を行える様に公爵邸に連絡し、王宮の医者を待機させろ!!」
クライドが部下に命令すると、馬車に乗り込む。
「カトレア、絶対に死ぬな。」
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