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「ミカエルっ、どうして!どうして…。」
ポロポロと大粒の涙を流しその場に倒れこみそうになる彼女をミカエルは抱きとめる。
「エミリア、泣かないで。」
ミカエルはエミリアの目元にキスをし落ち着かせようとするが、それでもエミリアの涙は止まることを知らない。
「ミカエル!助けて、お願いよ…。」
ミカエルは困ったように目を細め、落ち着かせるようにエミリアの頭を優しく壊れ物を扱うように撫でる。
「エミリアのお願いは聞いたあげたい。でもね。僕たちが運命を変えることはご法度だ。それは君も分かってるだろう。」
「そんなこと分かってるわ。でも、どうしてあの人ばっかり…。そんなの、あんまりだわ。」
赤子のように泣きじゃくり、なんで、嫌だを繰り返す。
今のエミリアにはミカエルの声が届かない。
哀しみと絶望に呑まれかけているのだ。
「エミリア落ち着くんだ。君の心が壊れてしまう。」
「そんなことどうでもいい!ミカエルに出来ないなら私があの人の元に行く。」
さっきまで優しくエミリアを支えていた手が咎めるように強く腕を掴む。
「…エミリア、それは利口な考えじゃない。僕がどれほど君を待ってたと思う。例えそれが君にとって大切な事でも僕から離れると言うなら…僕は何をしてしまうか分からない。」
これは脅しでもましてや冗談でもなかった。ミカエルは自分自身でもエミリアに対する感情だけは支配できなかったのだ。
それほどまでにエミリアを愛していた。いや、愛い、そんなものでは足りないほどに。
「ミカエル…。」
エミリアはミカエルの手にそっと自分の手を添える。
エミリアとて、ミカエルと離れるのは本望ではない。それでも、彼女の為にならなんでも出来た。
「僕達が彼女の運命を変えることは出来ない。だけど、彼女自身が自分の運命を変えるための手助けならできる。」
「ほんと!?」
「うん。でも一つだけ条件がある。」
「あの人の為になるならなんだってするわ。」
「なんだか面白くないね。」とボソリと呟く。その時の笑顔は凍りついてしまいそうなほど冷たかった。
きっとその場に誰かいたら顔を真っ青にさせ逃げ出していたに違いない。
そんなことエミリアは嬉しさでちっとも気づいていない。
「彼女が君にとって大切な存在なのは分かってる。でも、僕から離れるなんて二度と言わないでくれ。」
エミリアがもし、俺をおいて行くと言うのなら全てを壊して仕舞えばいい。
ただ、それだけのことだ。
「分かったわ!ミカエルお願いあの人助けて。」
「……ミケ、ティナ。」
ミカエルが呼ぶと、それに答えるように小さな白い光と黒い光が現れる。
「呼んだかミカエル様」
「お呼びですか。ミカエル様」
白い光はぴょんぴょんとエミリアの顔の周りで跳ねる。
「エミリア様は相変わらずの美しさだな。」
ティナ(黒い光)はいかにもお調子者そうなミケ(白い光)の頭を叩く。
実際には形があるわけではないのだが、エミリアとミカエルにはそう見える。
「痛いやろ。ティナ!」
「少しは落ち着きなさい。全く。…所でミカエル様、エミリア様。ご用件はなんでしょうか。」
「あぁ、その事なんだが彼女の元に行って欲しい。そして…、契約をしてほしんだ。」
ミカエルは泉に赤子をうつしだす。
「へー、魅力の力を持って生まれたんかいな。それに…エミリア様と同じものを感じるわ。」
ミカエルは「あぁ、そうなんだ。」と頷く。
「彼女はエミリアの魂の片割れだ。」
ミケは楽しそうに空中をくるくる回る。
しかし、ティナはそうはいかなかった。
「…例え、ミカエル様とエミリア様のお願いでも、聞くことはできません。人間に人間ごときに契約するなど…たとえ、エミリア様の片割れだとしてもできません。」
ティナは、自分が主人と決めたもの以外の側に行くことはしない。
人間は弱く醜い争いを何度も何度も繰り返す。
愚かで、醜い人間が嫌いだ。
もう、信じたくないのだ。
「…貴女は優しいから傷ついてしまているのね。でもね、人間は成長する生き物なのよ。悪い人ばかりじゃない。それに、あの人はね。誰よりも真っ直ぐで優しい、そして弱い人だから…ティナ貴女にそっくりね。」
「人間と一緒にしないでください!人間は繰り返す何度も。」
「そうね。だから、見守ってあの世界をあなたの目で見てそれでも駄目なら契約しなくてもいいわ。貴女の好きにしていい。でも覚悟してあの人と出会ってしまったらもう戻れないわ。逃げれないから。」
笑顔が余りに美しくて3人はエミリアから目が離せなかった。
「俺は、かまわないで。」
「ふふふ。じゃぁよろしくね。2人とも。」
「おお、任せとき。」
「…行ってまいります。」
ミケとティナはスッと消えていった。
「あんなこと言って。ティナは本当に消すよ。」
「うん。いいの。だってティナは絶対落ちるわ。あの人はそう言う人なの。」
エミリアは、「メロメロになっちゃうわ。」と微笑む。
「…、僕からも贈り物をしよう。」
そう言うとミカエルの手から金色の薔薇が出てきた。
「…綺麗。これって。」
「奇跡の薔薇だよ。」
薔薇はミカエルの手の中で蕾になり芽になり種に戻っていた。
「…この花を育てることができるかは彼女次第だけど。」
ミカエルの手にあった種は光に包まれるとミケとティナと同じように消えていった。
「でも、彼女なら大丈夫だろう。」
「えぇ、きっと大丈夫ね。」
どうか、あの人の運命が幸せへと進みますように。
エミリアは強く強く祈る。
ポロポロと大粒の涙を流しその場に倒れこみそうになる彼女をミカエルは抱きとめる。
「エミリア、泣かないで。」
ミカエルはエミリアの目元にキスをし落ち着かせようとするが、それでもエミリアの涙は止まることを知らない。
「ミカエル!助けて、お願いよ…。」
ミカエルは困ったように目を細め、落ち着かせるようにエミリアの頭を優しく壊れ物を扱うように撫でる。
「エミリアのお願いは聞いたあげたい。でもね。僕たちが運命を変えることはご法度だ。それは君も分かってるだろう。」
「そんなこと分かってるわ。でも、どうしてあの人ばっかり…。そんなの、あんまりだわ。」
赤子のように泣きじゃくり、なんで、嫌だを繰り返す。
今のエミリアにはミカエルの声が届かない。
哀しみと絶望に呑まれかけているのだ。
「エミリア落ち着くんだ。君の心が壊れてしまう。」
「そんなことどうでもいい!ミカエルに出来ないなら私があの人の元に行く。」
さっきまで優しくエミリアを支えていた手が咎めるように強く腕を掴む。
「…エミリア、それは利口な考えじゃない。僕がどれほど君を待ってたと思う。例えそれが君にとって大切な事でも僕から離れると言うなら…僕は何をしてしまうか分からない。」
これは脅しでもましてや冗談でもなかった。ミカエルは自分自身でもエミリアに対する感情だけは支配できなかったのだ。
それほどまでにエミリアを愛していた。いや、愛い、そんなものでは足りないほどに。
「ミカエル…。」
エミリアはミカエルの手にそっと自分の手を添える。
エミリアとて、ミカエルと離れるのは本望ではない。それでも、彼女の為にならなんでも出来た。
「僕達が彼女の運命を変えることは出来ない。だけど、彼女自身が自分の運命を変えるための手助けならできる。」
「ほんと!?」
「うん。でも一つだけ条件がある。」
「あの人の為になるならなんだってするわ。」
「なんだか面白くないね。」とボソリと呟く。その時の笑顔は凍りついてしまいそうなほど冷たかった。
きっとその場に誰かいたら顔を真っ青にさせ逃げ出していたに違いない。
そんなことエミリアは嬉しさでちっとも気づいていない。
「彼女が君にとって大切な存在なのは分かってる。でも、僕から離れるなんて二度と言わないでくれ。」
エミリアがもし、俺をおいて行くと言うのなら全てを壊して仕舞えばいい。
ただ、それだけのことだ。
「分かったわ!ミカエルお願いあの人助けて。」
「……ミケ、ティナ。」
ミカエルが呼ぶと、それに答えるように小さな白い光と黒い光が現れる。
「呼んだかミカエル様」
「お呼びですか。ミカエル様」
白い光はぴょんぴょんとエミリアの顔の周りで跳ねる。
「エミリア様は相変わらずの美しさだな。」
ティナ(黒い光)はいかにもお調子者そうなミケ(白い光)の頭を叩く。
実際には形があるわけではないのだが、エミリアとミカエルにはそう見える。
「痛いやろ。ティナ!」
「少しは落ち着きなさい。全く。…所でミカエル様、エミリア様。ご用件はなんでしょうか。」
「あぁ、その事なんだが彼女の元に行って欲しい。そして…、契約をしてほしんだ。」
ミカエルは泉に赤子をうつしだす。
「へー、魅力の力を持って生まれたんかいな。それに…エミリア様と同じものを感じるわ。」
ミカエルは「あぁ、そうなんだ。」と頷く。
「彼女はエミリアの魂の片割れだ。」
ミケは楽しそうに空中をくるくる回る。
しかし、ティナはそうはいかなかった。
「…例え、ミカエル様とエミリア様のお願いでも、聞くことはできません。人間に人間ごときに契約するなど…たとえ、エミリア様の片割れだとしてもできません。」
ティナは、自分が主人と決めたもの以外の側に行くことはしない。
人間は弱く醜い争いを何度も何度も繰り返す。
愚かで、醜い人間が嫌いだ。
もう、信じたくないのだ。
「…貴女は優しいから傷ついてしまているのね。でもね、人間は成長する生き物なのよ。悪い人ばかりじゃない。それに、あの人はね。誰よりも真っ直ぐで優しい、そして弱い人だから…ティナ貴女にそっくりね。」
「人間と一緒にしないでください!人間は繰り返す何度も。」
「そうね。だから、見守ってあの世界をあなたの目で見てそれでも駄目なら契約しなくてもいいわ。貴女の好きにしていい。でも覚悟してあの人と出会ってしまったらもう戻れないわ。逃げれないから。」
笑顔が余りに美しくて3人はエミリアから目が離せなかった。
「俺は、かまわないで。」
「ふふふ。じゃぁよろしくね。2人とも。」
「おお、任せとき。」
「…行ってまいります。」
ミケとティナはスッと消えていった。
「あんなこと言って。ティナは本当に消すよ。」
「うん。いいの。だってティナは絶対落ちるわ。あの人はそう言う人なの。」
エミリアは、「メロメロになっちゃうわ。」と微笑む。
「…、僕からも贈り物をしよう。」
そう言うとミカエルの手から金色の薔薇が出てきた。
「…綺麗。これって。」
「奇跡の薔薇だよ。」
薔薇はミカエルの手の中で蕾になり芽になり種に戻っていた。
「…この花を育てることができるかは彼女次第だけど。」
ミカエルの手にあった種は光に包まれるとミケとティナと同じように消えていった。
「でも、彼女なら大丈夫だろう。」
「えぇ、きっと大丈夫ね。」
どうか、あの人の運命が幸せへと進みますように。
エミリアは強く強く祈る。
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