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三章
~訓練~
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「カトレア、もっとしっかり手を上げろ!」
「踏み込みが甘い!」
心地よい朝日の中今日も私はなぜかクラウドに剣術を学んでいた。
確かに、剣術をしたいって言ったよ?
言ったけどさ、なんで教える相手がクラウドなのでしょうか…。
遡ること数日前
*********
「お父様は、ガイがこの家を出て行くことご存知だったんですか?」
アルベルトは気まずそうに頷くだけで何も言う気は無いようだ。
どうやら、ガイがいなくなった理由も知っているようだがそれも言う気がないらしい。
「そうですか…。」
「カ、カトレア。」
心配そうにオロオロしている。
アルベルトの顔が完全父の顔になっている。
威厳なんて全く感じられない、こんな姿、部下が見たら目を見開いていたに違いない。
「お父様。」
アルベルトの肩がびくんと揺れる。
「お願いがございます。」
「何かな。」
「私に剣術を学ばさせてください。」
剣術とは本来男が習うもので女の身しかも公爵令嬢という身分の高い淑女がしていいものではない。
「…それは。」
「許可してくださいますよね?」
私は怒っているのだ。
だから、ここはお父様が何と言っても絶対に引かない。
「し、しかしなぁー。」
「お父様、私傷つきましたの。とてもとても。」
「それは、お父様が悪かった!」
泣き出してしまったカトレアを見てアルベルトは慌てる。
もちろん、嘘泣きだ。
「ですから、この傷ついた心を癒すために。剣術に挑戦してもいいですよね?」
「…………。」
もう一押しだ。
「いい、ですよね?」
「………分かった。」
*********
と許可をもらったのはよかったのだがどうしてこの国の王子なのだ。
もっと適任者がいたはずだ。
「クラウド、様…。」
「なんだ?分からないことでもあるか?」
「お忙しい身ですのに私を教えるのは大変なのではないですか?」
「それに関してはなんら心配いらんぞ。母上が乗り気だしな、むしろ毎日でも行けと言うくらいだ。」
王妃様…貴女って人は!
「そうですか…。」
「まぁ、気にするな。」
気にする。
めちゃめちゃ気にする。
私が見たいのはヒロインとのラブラブであって、こういった展開は一向に期待していないのだ。
「カトレア様安心してください。クラウド様はラウネル魔法学園を卒業なさり最年少で騎士団長を所得なさいましたからね。」
ちょっと前から全く来ないなとは思っていたがどうやらラウネル魔法学園に行っていたらしい。
ラウネル魔法学園を卒業すれば将来は約束されたも同然なため沢山の人が入学する。
毎年、一千万人は入学しているのだがラウネル魔法学園が世界一難関だと言われるのはほとんどの人間が卒業できないことにある。
なぜなら、あまりの辛さに半分近くが入って3日のうちにやめてしまう。そして、卒業する頃には三割程度しかし残っていない、しかもそこから卒業できるのは半分。
そんなとこを最年少で卒業できるなんてさすがヒーローである。
ハイスペックだ。
て、少し前なら思ってたけど、クラウドは基本真面目で素直だ。
だからこそ、卒業できたのだ。
私も行きたかったけど学校に行けるのは男だけなのよね。
全く不公平だわ。
「…女性でも通えたらよかったのに。」
「カトレアなら絶対に卒業できていただろうな。」と頭を撫でる。
どうやら聞こえてしまっていたらしい。
なんか、うん。
こりゃーモテるわ。
美形で王子様でしかも優しい。
うんうん、これならヒロインちゃんを任せられるな。
「では、訓練を開始する。」
初めてあった時が嘘のようにかっこよくなった。
これなら、いろいろ安心だ。
でも、少し寂しい気もする。
周りはどんどん成長しているのに私は未来を変えるために一歩踏み出したばかり、まだまだ道のりは長い。
小さな一歩でも私には大きな一歩なのだ。
「クラウド様!私、負けませんわ!」
「よく分からんが、望むところだ!」
私は、生きる。
今度こそ自分らしくあるために。
そして、大切な人たちを守るために
「踏み込みが甘い!」
心地よい朝日の中今日も私はなぜかクラウドに剣術を学んでいた。
確かに、剣術をしたいって言ったよ?
言ったけどさ、なんで教える相手がクラウドなのでしょうか…。
遡ること数日前
*********
「お父様は、ガイがこの家を出て行くことご存知だったんですか?」
アルベルトは気まずそうに頷くだけで何も言う気は無いようだ。
どうやら、ガイがいなくなった理由も知っているようだがそれも言う気がないらしい。
「そうですか…。」
「カ、カトレア。」
心配そうにオロオロしている。
アルベルトの顔が完全父の顔になっている。
威厳なんて全く感じられない、こんな姿、部下が見たら目を見開いていたに違いない。
「お父様。」
アルベルトの肩がびくんと揺れる。
「お願いがございます。」
「何かな。」
「私に剣術を学ばさせてください。」
剣術とは本来男が習うもので女の身しかも公爵令嬢という身分の高い淑女がしていいものではない。
「…それは。」
「許可してくださいますよね?」
私は怒っているのだ。
だから、ここはお父様が何と言っても絶対に引かない。
「し、しかしなぁー。」
「お父様、私傷つきましたの。とてもとても。」
「それは、お父様が悪かった!」
泣き出してしまったカトレアを見てアルベルトは慌てる。
もちろん、嘘泣きだ。
「ですから、この傷ついた心を癒すために。剣術に挑戦してもいいですよね?」
「…………。」
もう一押しだ。
「いい、ですよね?」
「………分かった。」
*********
と許可をもらったのはよかったのだがどうしてこの国の王子なのだ。
もっと適任者がいたはずだ。
「クラウド、様…。」
「なんだ?分からないことでもあるか?」
「お忙しい身ですのに私を教えるのは大変なのではないですか?」
「それに関してはなんら心配いらんぞ。母上が乗り気だしな、むしろ毎日でも行けと言うくらいだ。」
王妃様…貴女って人は!
「そうですか…。」
「まぁ、気にするな。」
気にする。
めちゃめちゃ気にする。
私が見たいのはヒロインとのラブラブであって、こういった展開は一向に期待していないのだ。
「カトレア様安心してください。クラウド様はラウネル魔法学園を卒業なさり最年少で騎士団長を所得なさいましたからね。」
ちょっと前から全く来ないなとは思っていたがどうやらラウネル魔法学園に行っていたらしい。
ラウネル魔法学園を卒業すれば将来は約束されたも同然なため沢山の人が入学する。
毎年、一千万人は入学しているのだがラウネル魔法学園が世界一難関だと言われるのはほとんどの人間が卒業できないことにある。
なぜなら、あまりの辛さに半分近くが入って3日のうちにやめてしまう。そして、卒業する頃には三割程度しかし残っていない、しかもそこから卒業できるのは半分。
そんなとこを最年少で卒業できるなんてさすがヒーローである。
ハイスペックだ。
て、少し前なら思ってたけど、クラウドは基本真面目で素直だ。
だからこそ、卒業できたのだ。
私も行きたかったけど学校に行けるのは男だけなのよね。
全く不公平だわ。
「…女性でも通えたらよかったのに。」
「カトレアなら絶対に卒業できていただろうな。」と頭を撫でる。
どうやら聞こえてしまっていたらしい。
なんか、うん。
こりゃーモテるわ。
美形で王子様でしかも優しい。
うんうん、これならヒロインちゃんを任せられるな。
「では、訓練を開始する。」
初めてあった時が嘘のようにかっこよくなった。
これなら、いろいろ安心だ。
でも、少し寂しい気もする。
周りはどんどん成長しているのに私は未来を変えるために一歩踏み出したばかり、まだまだ道のりは長い。
小さな一歩でも私には大きな一歩なのだ。
「クラウド様!私、負けませんわ!」
「よく分からんが、望むところだ!」
私は、生きる。
今度こそ自分らしくあるために。
そして、大切な人たちを守るために
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