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四章
変わったものと変わらぬもの
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どうしてこうなったのだろうとガイは腕の中で安心したように眠る少女を見つめる。
自分が知っている姿よりも美しく成長した少女をガイは愛おしそうに抱き抱えた。
「カトレア様……。」
遡ること数時間前。
「お嬢様、私はここまでですので、お気をつけ下さい。」
「えぇ。行ってくるわ。」
アリーを見送ったあとガイは庭の奥にある温室に向かう。
ノアから聞いた情報ではここのはずなんだか、人の気配がない。
当たりを見ても人ひとりいる様子はない。
ノアの情報に間違えは無いはずだ。
あの女に感ずかれた…か……いや、そんなはずはない。
この4年間それだけはないように注意を払った。
絶対にありえない。
注意深く当たりを探ると微かだか動く気配を感じた。
ガイはゆっくりとその気配に近づく。
そこには男が2人立っていた。
「………必ず…だ。」
「あぁ、……だ。」
間違いない。
あいつらだ。
しかし、ここだと声が聞き取りにくいがこれ以上近づけば観ずかれてしまう。
ガイは全神経を2人の男の会話に集中させる。
「月が満ちる時、月の女神が降り立つ、花を捧げよ。」
「はっ、仰せのままに。」
二人の男はそれだけ言うとお互い暗闇の中に消えていった。
月が満ちる時はおそらく満月の夜。
月の女神が今回の主犯だろう。
だとしたら花を捧げよは一体なんだ。
モノかそれとも……人…。
くそっ。
人にしろものにしろ場所がわからないんじゃ意味が無い!
よく考えろ。
あいつらの行動、喋り方、何かあるはずだ。
ヒントがなにか。
……十字架、そして月の女神……。
アース国には唯一月の女神が祀られている教会がある。
……間違いないだろう。
明日の夜、教会で何かが起こる。
ガイはこの場を立ち去ろうと動こうとした時、木の陰から現れた人物に目を奪われ身動き一つできなくなってしまった。
見かけるとは予測できていた。
なのに、こんなにも思考を鈍らせ本能に従ってしまいそうになるとは思いもしなかった。
神様はどうも俺に試練ばかりを与えたがる。
ガイはなんとか理性を働かせその場を立ち去ろうとした
しかし、彼女の体がぐらつき地面へと倒れた。
それを見たガイの足はいとも簡単に彼女の元に向かっていた。
「カトレア様……。」
そして今に至る。
四年という年月は長かったはずなのにこの1回で全てを忘れてしまいそうになる。
しかし、前とは違う。
四年前よりも伸びた髪が肩から滑り落ち、カトレアの真っ白な首が現れる。
幼い少女が美しい女性へと成長していた。
「……んっ…………。」
寝顔は昔のままだ。
ガイは溢れそうになる気持ちを抑え近くにあったベンチにカトレアを寝かせる。
ガイは優しくカトレアの目元を撫でる。
化粧で隠しているがうっすらとくまができている。
カトレア様の事だ、誰にも頼らず一人で突っ走ってお節介をやきまくっているのだろう。
「あなたは俺が目を離すとすぐに無茶をする。」
ガイはゆっくりとカトレアに引き寄せられるように顔を近づけようとした時
カトレアを呼ぶ声が聞こえた。
「お嬢様ー!」
サラか……。
ガイはすぐにその場を離れた。
俺は何をやってるんだ。
巻き込まないために離れたのに意味がなくなってしまう。
愛おしい気持ちが溢れてくる。
愛おしくてただただ愛おしくて切ないこの気持ちは俺の唯一本物と呼べるもの。
「いつまでも、あなただけを思っています。」
壊したくない。
それと同じようにやらなくてはならないことがある。
もう…逃げられないのだ。
「お嬢様、お疲れ様でした。」
「ガイ!帰ったらあなたの紅茶が飲みたいわ!」
「えぇ、お任せ下さい。」
終わりは近い。
もう少しで、すべてに蹴りがつく。
「ガイ!」
「はい。お嬢様。」
それなのにガイの心は、鉛のように沈んでいた。
自分が知っている姿よりも美しく成長した少女をガイは愛おしそうに抱き抱えた。
「カトレア様……。」
遡ること数時間前。
「お嬢様、私はここまでですので、お気をつけ下さい。」
「えぇ。行ってくるわ。」
アリーを見送ったあとガイは庭の奥にある温室に向かう。
ノアから聞いた情報ではここのはずなんだか、人の気配がない。
当たりを見ても人ひとりいる様子はない。
ノアの情報に間違えは無いはずだ。
あの女に感ずかれた…か……いや、そんなはずはない。
この4年間それだけはないように注意を払った。
絶対にありえない。
注意深く当たりを探ると微かだか動く気配を感じた。
ガイはゆっくりとその気配に近づく。
そこには男が2人立っていた。
「………必ず…だ。」
「あぁ、……だ。」
間違いない。
あいつらだ。
しかし、ここだと声が聞き取りにくいがこれ以上近づけば観ずかれてしまう。
ガイは全神経を2人の男の会話に集中させる。
「月が満ちる時、月の女神が降り立つ、花を捧げよ。」
「はっ、仰せのままに。」
二人の男はそれだけ言うとお互い暗闇の中に消えていった。
月が満ちる時はおそらく満月の夜。
月の女神が今回の主犯だろう。
だとしたら花を捧げよは一体なんだ。
モノかそれとも……人…。
くそっ。
人にしろものにしろ場所がわからないんじゃ意味が無い!
よく考えろ。
あいつらの行動、喋り方、何かあるはずだ。
ヒントがなにか。
……十字架、そして月の女神……。
アース国には唯一月の女神が祀られている教会がある。
……間違いないだろう。
明日の夜、教会で何かが起こる。
ガイはこの場を立ち去ろうと動こうとした時、木の陰から現れた人物に目を奪われ身動き一つできなくなってしまった。
見かけるとは予測できていた。
なのに、こんなにも思考を鈍らせ本能に従ってしまいそうになるとは思いもしなかった。
神様はどうも俺に試練ばかりを与えたがる。
ガイはなんとか理性を働かせその場を立ち去ろうとした
しかし、彼女の体がぐらつき地面へと倒れた。
それを見たガイの足はいとも簡単に彼女の元に向かっていた。
「カトレア様……。」
そして今に至る。
四年という年月は長かったはずなのにこの1回で全てを忘れてしまいそうになる。
しかし、前とは違う。
四年前よりも伸びた髪が肩から滑り落ち、カトレアの真っ白な首が現れる。
幼い少女が美しい女性へと成長していた。
「……んっ…………。」
寝顔は昔のままだ。
ガイは溢れそうになる気持ちを抑え近くにあったベンチにカトレアを寝かせる。
ガイは優しくカトレアの目元を撫でる。
化粧で隠しているがうっすらとくまができている。
カトレア様の事だ、誰にも頼らず一人で突っ走ってお節介をやきまくっているのだろう。
「あなたは俺が目を離すとすぐに無茶をする。」
ガイはゆっくりとカトレアに引き寄せられるように顔を近づけようとした時
カトレアを呼ぶ声が聞こえた。
「お嬢様ー!」
サラか……。
ガイはすぐにその場を離れた。
俺は何をやってるんだ。
巻き込まないために離れたのに意味がなくなってしまう。
愛おしい気持ちが溢れてくる。
愛おしくてただただ愛おしくて切ないこの気持ちは俺の唯一本物と呼べるもの。
「いつまでも、あなただけを思っています。」
壊したくない。
それと同じようにやらなくてはならないことがある。
もう…逃げられないのだ。
「お嬢様、お疲れ様でした。」
「ガイ!帰ったらあなたの紅茶が飲みたいわ!」
「えぇ、お任せ下さい。」
終わりは近い。
もう少しで、すべてに蹴りがつく。
「ガイ!」
「はい。お嬢様。」
それなのにガイの心は、鉛のように沈んでいた。
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