毒薔薇姫は運命を変える?!

刹那

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四章

月夜

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黒髪の美し青年は月を眺めながらただ1人のことを思う。
離れていても忘れることの出来なかった人をただただ思うその姿はとても危うくて触れてしまったら消えてしまいそうで怖くて少女は声をかけるのを戸惑う。
青年はこちらに気づいたのか月の結晶のような瞳に自分が写り少女は頬を染める。

「ガイ、こんな所にいたら風邪ひくよ?」

「そうですね。でも、もう少しだけここにいます。今日はこんなにも月が綺麗ですから。」

その横顔が余りにも儚く愛おしそうに月を見つめるものだから少女は無意識にガイの手を掴む。

「……私もここにいるわ!」

「そうですね、でもお嬢様に風邪をひかれてしまっては旦那様も心配いたします。」

「…も、……する?」

「お嬢様?」

「ガ、ガイも心配する?」

ガイは目を見開いた後すぐに微笑み少女の頭を撫でる。

「はい。もちろん、ここに住まうみんなが心配致します。」

少女は回答が気に入らなかったのか頬を膨らませる。

「明日はパーティーがあるのですから、早く寝ましょう。」

「わかったわよ!ガイも風邪ひいたら許さないからね!お休みなさいガイ。」

「はい。お嬢様。」

ガイは少女の後ろ姿を見ながらポツリと呟く。

「……お嬢様…か。どうしたら忘れられるんだろうな。」

お嬢様と呼ぶたび。ふとした時、月を見たときすら、あなたの顔が浮かぶ。

ガイは自傷気味に笑う。

「ガイアス様。」

「ノアか、どうだった?」

ノアはどこからともなく現れ、ガイに近づき耳打ちをする。

「……そうか。」

ガイはカトレアの元を離れて4年間、ここローズ公爵家の親友である。ダヴィド伯爵のご令嬢、アミ様の執事として働きそして、情報を集めていた。
今までなんの動きもなかった。あの女が、やっと動き出したのだ。
その場所は王宮で16歳から18歳飲みが参加するパーティーだ。

誰も考えもしないからこそその場所にしたのだろうが、他にもパーティーはある筈なのに何故その日を選んだのか疑問が残るが行かない訳にはいかない。

「ノア。ご苦労だったな。」

「いえ。…………。」

何時もならバレ内容に話したらすぐ消えるのに今日のノアは伺うようにこちらを見ている。

「どうした?他にも報告があるのか?」

「…大丈夫ですか?」

「何がだ?」

「そのパーティーは16歳から18歳が出席いらします。ですから……きっとカト……。」

「ノア。」

「…………。」

「もう、俺とあの方は関係ない。」

「……かしこまりました。」

 ノアはまた暗闇の中に消えていった。
そして、ガイはもう1度月を眺める。

「関係ない。」

今度は自分に言い聞かせるように呟いた言葉は暗闇に溶けていった。
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